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カインドラ  作者: 深緑蒼水
神々のファンファーレ:開幕篇

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32:セーブ・ゼム・オール

こんばんは、深緑です。

神々のファンファーレも、次回で終わりです。

『神々のファンファーレ【32:セーブ・ゼム・オール】』


石ころのように飛ばされ、転がるソニア達。


(ソニア)「ッグ…。大丈夫か…?」


上空にいるのは、剣を握り、放つ間際のクラマド。

海の化身の、姿はない。


(タイダル・オーティス)「あぁ…。だがもう一度、飛べそうにない…。」


タイダルは撃墜され、クラマドは上空に戻った。

痛い部分を押さえながらでも、立ち続けなくては。


ーズザアアアアアアン!!!!!ー

禍々しい断絶の斬撃が、ソニア達の視界を奪う。黒く、何も見えない。

斬撃の行く末を、待つだけ。

だが未だ諦めを知らない心は、背後で成長を続ける、希望を待ち望む。

たった一人の、ヒーローを。


(クラマド)「死に絶えろ。ありふれた、ただの星。」


斬撃は既に放たれた。この斬撃を耐える余地は、もう星にはない。

星もまた、希望を待つ。


(???)「ヒーローは、世界を守り救うため。人々の前に立つ。それがヒーローの、あるべき姿。」


音もなく、斬撃は消えていた。その存在はただ、手を上げているだけ。


(クラマド)「…。随分と、輝く目をする。それならスーツ越しでも、ハッキリ見えるだろう。」


希望の光は、クラマドの目を照らす。


(ソニア)「リットリオ…?」


視界は眩しく、顔があまり見えない。ただ確実に知っている、彼を呼ぶ。


(???:リットリオ)「ソニア。お前達の背中を、参考にする。守ってくれて、ありがとう。」


ーシュウウウ…!!!ー

眩い光が、宙へと浮かんでいく。特別な空間へと、踏み入れるために。


ーフアアアアアアアアアアアアアア!!!!!ー

眩い光がクラマドと、同じ目線に立った時。世界は光に包まれた。

あらゆるものを照らす、最光の輝きで。


(クラマド)「神になったつもりか。」


視界が晴れた時、まだ眩しかった。

いつからか無くなったものが、全てを照らしている。


(ソニア)「朝だ…。黒い空が、晴れた…。」


太陽が世界を、迎えに来た。晴天に輝き、温かさを連れて。

そして人は、晴天を背に輝き、翼もなく飛ぶ者を、神と崇める。

新たに君臨した者を。


(希望の神:リットリオ)「これで、対等になったな。」


悪と希望は、同じ高さで浮いている。目線は同じ。


(魔王:クラマド)「何が向かって来ようとも、私は悪の魔王であり続ける。」


希望の光は、クラマドの目を照らしている。

けれどクラマドは、それを望まない。


(リットリオ)「それがお前の、選択か?なら俺も、意義を果たす。悪を浄化し、手を差し伸べる。誰一人として、見捨てはしない。それが、ヒーローだ!!!」


ードゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!ー

禍々しくも光る悪と、数多の思いを胸に、希望を発する光が、更なる高みへと登っていく。

もはや人の、視点や尺度で測れるものではない。

正真正銘、神人の戦い。


ーーーーー


(クラマド)「落ちろ!!!空は神の領域だ!!!」


リットリオより速く加速するクラマドが、リットリオの上を取り、斬撃を放つ。


ーズザアアアン!!!ズザアアアン!!!ズザアアアン!!!ー

リットリオへ向かう、無数の斬撃。加減などない全力。


(リットリオ)「気付かなかったのか?それとも認めたくないか!!!」


手を広げ構える。断絶の刃は、脅威ではない。


ーパシュ…。パシュ…。パシュ…。ー

手から展開した、希望たる光り。

展開された障壁は、斬撃を消失させた。


(リットリオ)「これが希望。"悪の浄化"だ!!!」


展開された障壁を、手を握り、戻していく。

悪を浄化し、増した明かりを連れて。


ーズドオオオオオオオオオオオオン!!!!!ー

耳擦れ擦れを通った、灼熱の光線。

クラマドの耳を赤く染め、雲を吹き飛ばした。


(クラマド)「ッグ…!ならば超えていくまで!!!超越こそ我が力!!!」


クラマドは剣を投げ捨て、黒電を走らせた。

纏った黒電は、轟雷のように辺りを、無造作に攻撃する。

天も地上も、見栄えなく。

晴れた空を塞ぐ暗雲が、またやって来た。


(リットリオ)「来る…!!!」


先程のリットリオと同じように、手を広げ展開する。

数段階に分かれ、図形のように象られた、"極大魔法"の証。


ーギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!ー

空一面が今一度、黒く染まり、暗黒の大波が降り注ぐ。

天空まで浸るほどの、大水が。


(クラマド)「希望を名乗るなら止めてみせろ!!!これが私!!!全てを呑み込む悪の意志!!!」


無数の剣の、比ではない。

地上に触れた瞬間、悪に染まる以前に、全てが押し潰される。

圧倒的、質量の多さ。


ーフアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!ー

リットリオは両手を掲げ、両足を広げる。

四肢から膨大な光を放ち、クラマドの攻撃を押し返す。

両手の光りは、世界を包む膜となり、悪の大波を防ぐ。

両足の光が、悪の大波を弾き返す、推進力。


(クラマド)「全力を出せ!!!!!出なければ!!!無情な死に呑まれるのみだ!!!!!」


クラマドの感情が高まり、大波の重量が更に重く、リットリオにのしかかる。

その時リットリオは、確信を得た。


(リットリオ)「これがお前の…。これがお前の…!!!感情か!!!!!ッグ…!!!出ろ!!!力をもっと!!!!!」


何年。到底数えられることのない年数を、悪として生きた、クラマドの感情。

それが今、リットリオの両手に乗っている。


(リットリオ)「マンティーエルに似ている…。絶望に呑まれ、信じる心を失った光…!!!」


大波が少しづつ、押し上がっていく。


(リットリオ)「思うんだ…。マンティーエルがそうなる前に、俺が生まれていたらと…。だが同時に思う…!!!過去の苦難を晴らしてこそ、真のヒーローだと!!!!!」


希望の光りが、太陽や星の輝きへと、迫っていく。

大波は更に押し上がり、クラマドの足が触れてしまうほどに。


(クラマド)「最初に会った、死にかけだった者。それが何よりも輝く目をして、下からやって来る…。」


暗黒の大波は、如何なる光を通さない、水であったはずだ。

それが今、何よりも透き通る海として、クラマドの目に写っている。


(クラマド)「…。」


視界が揺らぎ、手の力が緩まっていく。久しく見ていない、眩い光。


(クラマド)「折れてしまう…。ここまで積み上げたものが…。」


折れる。折れてはいけない。忘れてはならない。悪の意志。

その目指すべき、信念だけは。


ードオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!ー

大波はより濃く、光を遮断した。

クラマドは体勢を変え、頭を地上へと向ける。

両手を広げ、大波を押していく。これこそ、自分の意志。

絶対に否定してはいけない、自分という存在。


(ヒーロー:クラマド)「私は死んでいった者達のため!!!!!偉大なる旅を成し遂げる!!!!!聞こえるのだ…!!!!!彼らの声が!!!!!救いを求める、死者の声が!!!!!」


他者を重んじ、生命の前へと立つ者。

立場や名乗るものが別だとしても、彼らをヒーローと呼ぶ者がいる。


(ヒーロー:リットリオ)「それでも!!!!!俺達は生きていく!!!!!明日を、明後日を!!!当たり前の日々を生きていく!!!帰れ!!!お前の帰るべき場所へ!!!!!」


希望も悪も、一歩も譲らない、感情の押し合い。

今や地上は光で染まり、空は悪で染まっている。

宇宙は光で、染まっている。


(クラマド)「良いものだな…。地上がお前の、味方をしてくれるというのは…。宇宙(そら)はあまりにも、眩しすぎる…。」


ーバオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!ー

クラマドが希望の光に、呑まれていく。大波もまた、光に呑まれて。


ー"クラマド。話をしよう。俺達に足りなかった、日々の話を。"ー


聞こえるはずのない、優しい声。触れられるはずのない、温かな手。

それを今、クラマドは感じた。現実か分からない、希望の中で。


ーー???ーー

温かな空間。

彩り豊かな草原が広がり、心地のよい晴天が、地を照らす。

おまけに春風を添えて。


(クラマド)「…。」


少し遠くに立っていて、顔が空の光で、よく見えない。


(クラマド)「あれは…。」


踏み心地のいい草原を進み、近付いていく。

目の前に立っても眩しく、顔が見えない。


(???)「どうしたの?クラマド。早く行くよ。」


近付いたのにその者は、少し遠くに行ってしまい、後ろを振り返った。

クラマドを待っている。


(クラマド)「私は…。」


薄々と気付いていた。

この謎めいた空間で目を覚ましてから、後ろを自分は、振り返っていないこと。

そしてそれらが今、禍々しい無数の手で、自分を掴んでいることに。


(クラマド)「私には、彼らが居る。そちらには、行けない。」


振り返るとそこには、豊かな空間には似つかない、執念の亡霊達。

目は何も通さない、漆黒の黒点。声はもう無く、呻き声しか上げられない。

それでもクラマドは、彼らの言葉を理解できる。


(クラマド)「旅を続けることを、止めない者達だ。旅の始まりを、宣言した者として。悪の祖として、彼らを抑さえなくては。」


亡霊達をしっかりと見て、クラマドは視線を戻した。

すると一人増えて、二人になっている。


(???)「…!!!」


新たに増えた者は、大っぴらな立ち振る舞いで立っており。

依然として二人共顔は見えないが、どこか早く来いと、立ち方に出ている気がする。

そんなことを考えていると、背後の手と声が、少し遠くに行った感覚がした。

急いで振り返ろうとした時、ガッシリとした手が、肩に乗った。


(悪の友)「君は行くといい、クラマド。旅は終わりだ。旅が終わったら、それぞれの家に帰る。そういうものだろ?君との日々は、とても楽しかった。とてつもない被害を、宇宙にもたらしたが、その代償は、払わなくてはな。」


手は声と共に離れ、自分を縛るものが、無くなった。


(クラマド)「待て。」


振り返っても良かったのだろうが、振り返らず、最後の言葉を交わす。


(クラマド)「一人だけか?」


しばしの沈黙。

もう行ってしまったのだろうか。自分も行くべきなのだろうか。

頭が段々と、俯いていく。


(悪の友)「ハハッ…!そんな無数の腕、私にはない。だが安心しろ。君は多くの恨みを生んだが、それ以外をつくったのも事実だ。悪は確かに、信頼をつくったよ。」


草の上を歩く、その者の足音が、遠くなっていく。


(クラマド)「人数を教えないのが、お前らしい。」


下がった頭を上げて、前を見る。

眩い光で見えなかった二人の顔が、ハッキリと見えた。

二人の顔を見ると、亡霊達を連れて行ったのは、一人ではなかったのだと思えた。

そんな彼らに申し訳なさを感じながら、歩みを進める。

足りなかった、話をしよう。時間も縛りもない、この空間で。

ーーー「希望の神:リットリオ」ーーー

"輪廻転生の木:ロゼッタ"の力で、雷の国:ネオ・ランド・シティ、"王子:マンティーエル"の別人格として生まれたリットリオが、神人へと生まれ変わった姿。

"強大な明かり達"に匹敵する力を発揮し、悪を沈黙させた。

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