表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カインドラ  作者: 深緑蒼水
神々のファンファーレ:神校篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/108

28:ラグナロク

こんばんは、深緑です。

そこそこあった過去篇が終わりです。

次からは現在に戻ります。

『神々のファンファーレ【28:ラグナロク】』


ードックン!!!ドックン!!!ー

目を開けない。

ただ感覚を信じて過ごす、時の狭間。

ガラハハが創星した、"善の星"。

その一帯に、クラマドの意識はある。


ーポワポワ…。ー

暗い視界の中。

"小さな光の粒"が、クラマドの暗闇を照らした。


(クラマド)「何だ、ただの光か…。」


眩しいだけの、ただの光。

そう見えたが、感じるものは違った。


(クラマド)「いや、"力ある肉体"…?」


その粒に向かって、手を伸ばす感覚を向けた。


(クラマド)「これでいい…。"目覚めの時"だ。」


宇宙を飛ぶ不思議な光を、クラマドは包んだ。

何も知らない、無垢な光を。


ーー神域:ファンファーレーー

今日もまた、朝がやってきた。

騒がしい声を耳に入れながら、少し身を整える。


(ラノ&ラノ)「ガラハハ!!!」


小さな二人が、黄金に装飾された、ガラハハの神衣を引っ張る。

巻かれている神衣はなびくが全く解けず、ラノラノの思い通りにはいかない。


(ガラハハ)「おはよう。」


まだ開きにくい喉を動かし、ラノラノの頭を撫でる。


(ガラハハ)「気になるか?」


不満そうなラノラノを横目に、まだ遠慮しがちなメレキノスに、話しかける。


(レダリオン)「あうあ。」


つぶらな瞳で、メレキノスに手を伸ばしている。


(メレキノス)「触れ合うことは、全く無くて…。」

(フォルンナ)「ほら。」


ガラハハより大きなメレキノスの腕を、フォルンナは軽く引いた。

柔らかい力で、簡単に引けたのだ。


(ガラハハ)「相手をしてやってくれ。」


全てが光って見える瞳を、この頃のメレキノス達はもっている。

子供達の輝かしい声を聞き、歩みを進める。


ーギン!ガン!ギギギ!!!ー

常に聞こえる、ぶつかり合う鉄の音。

ファンファーレの環境音だ。


(ソアラント)「もっと強くていいぞ!!!」


余裕に立つ、波王。


(チャリオット)「ならば!!!」


全力で地面を押し、ソアラントに全力をぶつける。


ーダン!!!フオオオ!!!ー

ここの横道を通ると、涼しい風が受けられる。

今日の風を受けると、少し前のことを思い出した。

今日の風は、あの日と似ている。


ーーーーー


ファンファーレの縁に座り、涼しい夜風を受け、二人で空を見ながら話していた、少し前。


(メイ)「"見えたの"…。気をつけて…。」


あまり会いに来ないメイが、珍しく会いに来ていた。


(ガラハハ)「驚いた…。まさか…。ていうか、大丈夫か?顔色悪いぞ。」


メイから伝えられた、"衝撃的な出来事"。

けれどメイの方が心配になるほど、メイの状態が悪い。


(メイ)「私は大丈夫…。」


そう言うが到底、大丈夫だとは思えなかった。

髪はボサボサで、目がクラマドのように光を拒んでいる。


(ガラハハ)「無理して見る必要は…」

(メイ)「私は!!!」


メイはいつも静かに話し、相手の話をよく聞く。

けれど意味もなく立ち、声を荒らげ、話を遮った。


(メイ)「みんなで世界を創る日々で、昔を思い返すことが多くて…。」


冷静になったのか座り、落ち着いた声ではない。

酷く疲れた声で、話し始めた。


(メイ)「ガラハハは、後悔とかする…?」


今でもメイには、後悔がつきまとう。


(ガラハハ)「あるさ。いくらでも後悔はしてきた。クラマドを殺したことが、今でも正解か、分かってない…。俺は冷酷になったよな。」


少し軽い態度で、自分を蔑んだ。


(メイ)「クラマドを殺せたのは、ガラハハが冷酷になったからじゃない…。クラマドが星を去ったのだって…。誰よりも優しくあろうとしたのが、二人なんだよ…。」


ーー戦金のエルドラドーー

今日も輝き続ける、黄金の空間。

輝き続けているのには、理由がある。


(ガラハハ)「お前達、毎日磨いてるよな。楽しいのか?」


ガラハハが話しかけたのは、黙々と作業をする二人。

刃を鋭く研ぐ者。黄金の輝きを保たせる者。


(ドナドナ)「楽しくはない。けどいざって時に刺せなきゃ、意味ないよ。」


研ぎ終えた短剣を、チラつかせてくる。

刺されないと分かっているが、刺してきそうな目つきだ。


(エルロット)「黄金は、輝いている方がいいですよ。」


彼がいるからこそ、黄金は綺麗なままでいられる。


(ガラハハ)「"ロゼッタ"は?」


いつも三人でいるはずが、"ロゼッタ"がいない。


(エルロット)「"クラウン"を見に行くと…。」

(ガラハハ)「そうか。」


ガラハハが少し曇った顔をしていた気がしたが、エルロットはそのまま見送った。


ーーーーー


ーギィィィ…。ー

黄金の大扉を開け、広い空間を進んでいく。

広く創りすぎた空間に、ポツンと設置されている玉座。

座る者はおらず、そこには"神器:クラウン"が置かれている。


(ガラハハ)「お前はここが気に入ったのか?」


ただクラウンを見つめる、ロゼッタに話しかける。

他の神子達は、賑わっていたり、静かな場所を好む。

けれどロゼッタは唯一、この寂しい場所が好きなようだ。


(ロゼッタ)「うん。理由は特にないけど、ここがいい。ガラハハ?」


ガラハハはしばらく何も話さず、ただ一点を見続けていた。

不思議だったため、ロゼッタは話しかけた。


(ガラハハ)「ん?あぁ。外へ行ってくる。色んな奴に会いに行くから、帰りが遅くなる。じゃあな。」


ガラハハは淡白に話し、そのまま行ってしまった。


(ロゼッタ)「…。…?"あれ、いつここに来たんだっけ?"」


ーーーーー


ガラハハが朝早くに出た、次の日。

真夜中になっても、帰っていない。


(ロゼッタ)「(あれ…?何で、歩いてるの…?)」


その日、ロゼッタは、不思議な体験をした。


(ロゼッタ)「(そうえば朝にも、こんな光景を見たっけ…?)」


きっと一回だけの体験じゃない。

けれど断定する自信はない。


(ロゼッタ)「(この道、クラウンのある場所に?)」


視界と意識が、鮮明になってきた。


(ロゼッタ)「(現実みたいだな…。景色も、感覚も。)」


状況を飲み込んでいると、クラウンの前についていた。


(ロゼッタ)「(あれ…。急に…。意識…。が…。)」


強烈な睡魔に襲われたロゼッタ。意識が根底へと落ちた。

けれどロゼッタは倒れることはなく、クラウンへと手を伸ばし続ける。


(ガラハハ)「待て。」


ーゴルゴル!!!ー

玉座の後ろから現れたガラハハ。黄金剣を握り、ロゼッタへと向ける。


(ロゼッタ…?)「まさか子供に、剣を向けるとはな。」


恐怖を感じることなく、淡々と話し始めるロゼッタ。

目の光が変わた。


(ガラハハ)「ロゼッタを返せ。」

(???)「ならば私を殺してみろ。もちろん、ロゼッタもだ。」


黄金剣を握る力がブレた。ガラハハの表情が固くなった。


(???)「お前は殺せるか?大切な存在を。もう一度、殺してみろ。"ガラハハ"。」


自分を殺したのなら、ロゼッタも殺せる。

中にいる存在は、そう言っている。


(ガラハハ)「ファンファーレ。"クラマド"を追放しろ…。」

(神域:ファンファーレ)「"対象が見つかりません"。」


ファンファーレから告げられた、"事実"。

"この場にクラマドはいない"。


(ガラハハ)「…。"ロゼッタ"を追放しろ…。」


ーシュン!!!ー

悲しくも、ファンファーレの応答は速かった。

場所は移り変わり、上空に。


(ロゼッタ)「それでいい。空でなくては戦えないほどの力。死ぬその時まで、ぶつけ合うとしよう。」


ーグオオオオオオ!!!ー

ロゼッタが手を伸ばし、空が咆哮を発する。

黒一面に、夜空が染まっていく。

星も太陽も。あらゆる光を通さない、漆黒の黒で。


(ロゼッタ)「ラグナロクを、始める。」


ーー宇宙ーー

善の星を見る、使徒達。

星が黒で包まれた時。それが、戦いの合図。


(悪魔の王:アルザサ)「起きろ。」


ースッ…。オオオ!!!ダン!ー

何年ぶりか。

随分と久しぶりにやった、剣の引き寄せ。

正確に手に収まった。


(黒騎士:ハルブレット)「始まったか。何年ぶりだろうな。」


心が静かに、沸き立ち始めたのを感じる。


(アルザサ)「全てを出し切れ。でなければ、明日はない。」

(ハルブレット)「我が剣と死で、明日への道をつくってみせよう。」


ーーーーー


ーゴゴゴゴゴ!!!ー

空は黒で染まり見えないが、とてつもない轟音が聞こえる。

巨大な何かが、動いているのだ。


(ガラハハ)「使徒達を動かしたな…。」

(ロゼッタ)「いや、少し違うな。全てだ。全てを動かした。お前もやるといい。眷属も人間も。神人でさえも、お前なら動かせるだろう。」


地上を見ると、既に至る所で、大火が起こり始めている。

クラマドは何一つ、余力を残すつもりはない。

そうでもしなければ、ガラハハには勝てない。


(ガラハハ)「俺の世界に、ビビるなよ。」


クラマドが全力を出すならば、ガラハハはそれに応える。

ガラハハも全力を出さなければ、クラマドには勝てないのだ。


ーー大国:ザソタスカールーー

下大陸。燃え上がる戦火は、消して一つだけではない。

全ての大陸で大きな火が、空に黒煙を運ぶ。


(悪魔)「ギャオオオオオオン!!!!!」


地海空。全てが悪魔達で埋まった。


(騎士)「ひ、火ノ神様…!!!指示は…!!!」


騎士達人間は、絶望的な光景を目にした。

あれら全ては簡単に踏み潰せる、虫ではない。

今日という日まで下大陸を蝕んだ、狂気の塊。

悪魔達は目を光らせ、不敵な笑みと笑い声で、こちらを見ている。


(火ノ神)「指示などない。あれら全てを、滅ぼせ…。」


ーギュイイイイン!!!ブオオオオオオオオオオオオ!!!!!ー

空に浮かぶ、冷徹な目をした者。

赤黒く光る火を溜め、大津波のように火を放った。


(悪魔)「ギャオオオオオオン!!!」(人)「っぐああああああ!!!」


悪魔と人の叫び声が、火の海から聞こえる。


(悪魔狩り)「我々に続け…。火ノ神様の名の下に、悪魔全てを…!!!」


下大陸へと貯蓄された、膨大な負の感情。

それは巨大な業火となり、下大陸全てに火を付けた。

人も自然も。積み上げた全てを無視して放たれる、殺意の熱。


(アルザサ)「滑稽だな。守るべきものなど、溢れ出る殺意の前では、虫以下に成り下がる。溜め込んだ大火を見せてみろ。漆黒に染まった、火ノ神よ。下大陸の全てが、お前の殺意で灰となる。」


ーー裏大陸ーー

ービュオン!!!ピイイイン!!!ドゴゴゴ!!!ー

地を這う全てを狩り尽くす、殺戮のための力。


(人)「誰か、助けてくれ…。」


懇願するもそれを嘲笑う、空に浮く者達。


(魔法使い)「ハハッ…!!!無様だな!!!地を這え凡人ども!!!」


生まれた時から理を超越する力をもち、殺戮を正しいと教えられ、育ってきた。

彼らにとって、久しぶりの遊びである。


(???)「逃げよ。ここは私が。」


ーボチャ…。ボチャ…。ー

魔法使い達は、自分達より上から聞こえた声に、困惑した。

上を見ようとすると、上から降り落ちてくる水に、目が勝手に移ってしまった。


ーザアアア!!!バサァァァ!!!ー

空に浮かんでいた魔法使い達は、膨大な水に呑まれ、地上へと激突する。


(魔法使い)「ッグ…!!!なんだ、これは…!!!」


魔法を発動する隙さえない。

大量の水は、何も許可しない。


(アリオネ)「理の超越者達よ。神を超えるというのなら、神を超えてから言ってほしいものだな。その傲慢。我が力で、洗い流してやろう。」


ーー砂の大地ーー

(魔物)「グオオオ!!!」


ードン!ドン!ドン!ー

門に体重を乗せ、こじ開けようと唸る魔物。


(人)「これ以上は門がもたない!!!」


門の形が変形しており、今にでも崩壊しそうだ。


(人)「下がれ!!!門だけじゃない!柵も壊れるぞ!!!」


木の軋む音が、至る所から発生している。

この場所はもう、限界だ。


(人)「ダメだ!!!このまま下がったら、確実に門が破壊される!」


門を押さえている者にとって、それは感覚的に分かるものだった。

自分が押さえているから、かろうじて耐えているのだと。


(人)「クソ…!ここで、死ぬのか…。」


次第に絶望が、心を蝕もうとする。

絶望が広がるごとに、力は弱まっていく。


(人)「おい!諦めるな!!!」


ーゴゴゴゴゴ!!!ー

魔物達の比ではない轟音の唸り声が、鳴り響く。


(人)「あぁ…。もう…。」


男の心は、轟音により打ち砕かれた。


ードゴオオオン!!!ー

門が崩壊したんだ。きっと、ここで死ぬ。

門からなだれ込んでくるはずの魔物が、一匹たりともいない。

目を開けた時見えたのは、外れた門。

それと見上げてもきりがないほど、あまりにも巨大な存在。


(土の化身:ゴールド・ハウス・ジャイアント)「ゴオオオ!!!」

(鉄塊:サネア)「ガアアア!!!」


鉄がぶつかり合うような轟音が、土の化身を威嚇するように鳴り響く。


(人)「おい!立てるか!!!」

(人)「あぁ…!」


手を差し伸べる仲間の手を握り、集落の外へと出る。

魔物達は依然として、こちらに向かってきている。


(人)「やれるよな!?」

(人)「当たり前だ!化身様と共に!!!」


化身の屈強な背中と肉体を見ると、その者達には勇士が宿った。

あの拳はきっと、鉄をも打ち砕くだろう。


ーーーーー


ガラハハ達の真下でも、戦火は広がりを見せている。


(水の化身:ズゥ)「オーティス。」


水と海の化身の前に見えるのは、大海より這い出る魔物達。

そしてそれを率いる二体の使徒。


(海の化身:オーティス)「私は"あれ"をやる。お前は"あいつ"を。」


そう言い残しオーティスは、巨大な体をうねらせ、戦火に飛び込んだ。


(肉剥ぎ:ヒキトマ)「ハァ…。」


分厚い鎧を纏うズゥでも、相手の得物が発する強烈な匂いを感じた。

全く手入れをしていない、錆び付いた特大剣。

得物に付着している、黒ずんだ跡。


(水の化身:ズゥ)「洗い流せないほどに、染み付いている…。」


魔物の大軍を蹴散らしながら、海の中から顔を出している、使徒へと向かうオーティス。


(オーティス)「巨大だな。随分と肥えてしまっている。」


オーティスを飲み込めるほど、それは巨大だ。

全貌が見えないため、得られる情報は少ないが、歯が何重にも、刺々しく生え並んでいる。


(神喰い:ゴト)「神は餌よ。我らにとってはその程度。貴様もその一つ。」


巨大な口を動かし、喋る使徒。


(海の化身:オーティス)「そのまま口を動かしていろ。大水をお前の腹に流し込んでやる。」


地鳴りのように喋るそれは、神が主食。神が飲み物。

入れるもの全てが、神なのである。


ーー風霧山々ーー

天まで届くほどの、山々が並ぶ地。

とても人が住めるような、標高ではない。


ーフォォォォォ…!!!ー

その山々の木々を通り抜ける、風。


(風の化身:エンク)「ただの風か?」


ーザン!ザン!ザン!ー

風の通り道が、整地されている。

木々は粉々に砕け、山々は切り刻まれている。


(風の化身:エンタ)「風などではない…。来るぞ。突風などゆうに超えた、神風が。」


番の化身は神風が通り抜けるように、体を円とした。


(???)「当たらぬか。」


巨大な二体にとって神風の正体は、人のように小さかった。


(緑蝶:グリンゼパフ)「神速にて、死を届けに参ったぞ。」


全てを斬る剣を持ち、変わった口調で話す蝶人間。

けれど侮ってはいけない。

彼が通った後ろの山々は、今や半分ほどの標高しかないのだから。


ーーーーー


(魔物)「ッガアアア!!!」


痛みを知り、絶叫する魔物達。


(人)「やれるぞ!!!」


皆で力を合わせれば、魔物達に勝てる。

この場にいる者達は、全員そう思った。


(天空騎士隊長)「天空騎士一同!!!人々と共に!!!」


更に空を飛ぶ、神々しい騎士達。過剰なほどの戦力だ。

これなら恐怖は、微塵も感じない。


ーギュオン!!!バチバチ!!!ー

そう安堵した瞬間だった。

どんな光も通さない漆黒の空に、赤く光る何かが見える。


(天空騎士)「隊長…。う、上です…。」


一人の隊員が隊長に伝えるべく、空を指した。

自分でもどこを指しているのか分からないほど震えていたが、理解してくれると確信をもって言える。

何故なら対象は、空一面に見えるからだ。


(天空騎士隊長)「何だあれは…。あれでは星ごと…!!!」


ードゴオオオオオオオオ!!!!!ー

目など一瞬で奪える赤き雷電が、善の星に広がった。

痛みすら感じず。光ったことさえ知らずに、死に至る。


ーガコン!!!シュイーン…!!!ー

けれどその場にいる人々は、空から落ちてくる赤雷を、認知した。


(人)「ネメシス様だ…!!!」

(人)「立てるのか…。というか、変形した…?」


ネメシスは決して、横になっているだけの存在ではない。


ーギュイーン!!!ー

光る盾を構えるネメシス。

彼がそう名付けられたのは、ちゃんとした意味がある。


(人)「見ろ!赤い光を吸収してるぞ!!!」

(天空騎士)「放出が止まった…。」


ーガコン!!!ギュイーン!!!バチバチ!!!ー

ネメシスの肉体に、吸収した赤雷が巡る。


(天空騎士隊長)「返す気か…!行くぞ!!!我々も彼に続け!!!」


ネメシスの絶対的攻守は、絶望から人を守り、闘志を人に灯した。


ードゴオオオオオオオオン!!!!!ー

ゼタ砲は、ルッタへと命中した。


ーー火の国:ルボトスーー

(影軍:ソーン)「ハハ!!!恐れろ!影の軍勢を!行き場のない中で逃げ続けろ!!!」


ルボトスでは至る所の影から大量のソーンが、人々を影へと引きずり込もうとしている。


(ソーン)「ん…?何だ…?」


この時ソーンは、あることを知った。身が固まる違和感を。


(ソーン)「隊列が乱れている…。何かが、くる…!!!」


ーブオオオオオオオオオオオオ!!!!!ー


津波のような大火。全てを消し去る力。


(炎王)「なぁ、お前!影は俺も呑み込めるのか!?」


古来より続く、火の伝説。


(ソーン)「影に呑み込めないものなどない…!!!」


隊列の乱れを経験し、焦る影。


(炎王)「そうか?火にも呑み込めないものはないがな。」

(火の化身:トス)「…!!!」


微塵も揺れることのない大火。死ぬまで老いることのない、王の威圧。


ーーーーー


(波王:ソアラント)「私が道を切り開く!!!」


ーバリバリ!!!ヂュミミミ!!!ズザアアアアアン!!!ー

彼が放つ波動の斬撃は、戦場での道をつくる。

蒼く輝く、正しい道。


(ソアラント)「行くぞ騎士達!!!人々よ!!!私に続け!!!」


入り乱れる地上での戦いにおいて、人々の前に立ち、先導するソアラント。


(人々)「ウオオオオオオオオオオオオ!!!!!」


得物を掲げ、彼の背中を追う。

他者を惹き付ける、騎士の背中。


ードスン!ドスン!ドスン!ー

ソアラントの斬撃で多くの魔物は蹴散らされ、視界は晴れた。

故にハッキリと聞こえ、くっきりと見える。

魔物の大軍を縦横無尽に突き進む、陸地の覇者。


(陸壁:ギガノッティ)「グオオオオオオ!!!」


大きく飛び上がり、ソアラントを喰らいに来た。


(ソアラント)「レックス!!!」


ードン!!!ー

"ギガノッティ"へと激突する、古代の覇者。

呼び声に応え、後方から吹っ飛んできた。


(大地の化身:D・D・Dレックス)「行け!!!こいつは私が引き受ける!!!」


レックスよりも巨大な、正しく陸壁。

レックスは怯むこと無く、ギガノッティを押していく。


ーボオオオオオオオオオ!!!!!ー

突き進むソアラント達を、次々と襲う者。

魔物達の後方から光る、同じ蒼。


(ソアラント)「強烈な熱…!!!遮蔽は魔物くらいか…!!!」


全員が魔物を、瞬時に倒せるわけではない。

蒼は輝きを増し、熱を蓄える。


(空の化身:へリヌス)「そのまま進むのだ!!!」


ーギュイイイン!!!ドオオオン!!!ー

両軍の上を飛ぶ、灼熱の炎。

蒼炎と熱線が、相殺し合った。


(ソアラント)「感謝する!!!」


魔物の隊列を抜け、最後方へとついたソアラント達。


ーダン!!!ギギギ!!!ー

隊列を抜けたすぐに、相手の精鋭が飛びかかってきた。


(波動の騎士:オンル・ゴンル)「人型の魔物…。いや、"魔人"と言ったところか。」


冷静に攻撃を受け流し、未知の存在を分析する。


(オンル・ゴンル)「ソアラント。お前は"あれ"をやれ。」


魔物の隊列を、指揮する者。

とても指揮をする見た目ではない。


(ソアラント)「後方へと辿り着いた!!!軍勢を挟み撃ちにしろ!!!あとは頼む!」


背中を預け、指揮者へと向かう。

残った者達は、ソアラントに背中を預ける。


(ソアラント)「行くぞ!!!」


走りながら刀身に波動を纏わせ、準備を整える。


ードオオオオオン!!!ー

指揮者に剣をぶつけ、互いの力がぶつかり合う。


(黒騎士:ハルブレット)「あいにく、仲間も関係なく攻撃してしまうのでな。」


接近して理解した。

重厚の鎧を着込んだ者が、最後方にいる理由を。


(ハルブレット)「だが後方待機は、悪いことばかりではない。君のような威勢のいい者が、時に飛び込んでくるからな。」


ーー天ノ地ーー

白が水平に広がる空間。

静寂が鳴り響く、死者の地。


(ユメ)「行かせて。」


死者の地、唯一の出入り口。

ユメはそこから、行かなくてはいけない。


(大天使:キャメエル)「なりません。」


冷淡に突き放す、三対六枚の翼をもつ者。

神々しく輝く、特別な光輪ももつ。


(キャメエル)「あなたが一番分かっていることです。門を開ければどうなるか…。」


死者の地は静寂であり、何も混ざっていない、純白の地。

それが保たれるのには、条件がある。


(キャメエル)「悪が広がっている今、それらが入り込んでしまえば、"天ノ地"は黒で染まってしまいます。この地にいる魂達も、例外ではない。」

(ユメ)「みんなは戦ってるのに、私はここで待つだけなんて…。」


キャメエルの言う事は正しい。

ユメも、白を黒で汚すことはしたくない。

けれどそれが霞んでしまうほどの後悔が、ユメにはある。


(ユメ)「何も出来ないまま、誰かがいなくなるのは嫌なの。そこを通して。"キャメエル"…。」


鋭く光る、創造主の目。

規律を守るキャメエルでも、たじろぐほどの威圧だった。


(キャメエル)「ユメ様!!!」


キャメエルの静止と警告を無視し、ユメは進む。

何も計画なしに、離れる気はない。


(ユメ)「私は何も、心配してない。信じてるから、任せるんだよ。」


ーファアン!!!バサァァァ!!!ー

開かれるべきではない、門が開いた。

門が開くとユメは、瞬く間に行ってしまった。


(キャメエル)「信じているだと…。それは相手依存の他力だろう!!!全く、あなたという人は…。」


声を荒らげ、不満を漏らす。


(天使)「キャ、キャメエル様…。」


天使は遠慮した声で、キャメエルに話しかける。無理もない。

いつもより多く、キャメエルの羽が抜けているのだから。


(キャメエル)「分かっている!主からの信託だ!!!」


ーグググ!!!バシュン!!!!!ー

大弓を引き、光矢を放つ。

白を汚そうと集まる亡者達を、放たれた無数の光矢が襲う。


(キャメエル)「去れ。悪の亡霊達。貴様らの居場所は、ここにはない。」


主に似た鋭い目を、亡霊達に向ける。

鋭い眼光と光矢が、亡霊達を震わせるだろう。


ーーーーー


ーグオオオ!!!グオオオ!!!ー

黒く禍々しい悪の力を、容赦無く放つ。

地上にいる存在など、微塵も気にすることなく。


(ロゼッタ)「全力を出せ!ガラハハ!!!大した力も出さず!私の攻撃全てを受けるなど!!!」


クラマドの力は、間違いなく弱まっている。

一方ガラハハの力は、全く衰えていない。

今のガラハハなら、クラマドを圧倒できる。


(ガラハハ)「ハァ…。ハァ…。」


けれどガラハハは息を切らし、ロゼッタを警戒し続ける。


(ロゼッタ)「限界か。」


ーシュン!!!ー

ガラハハの前に瞬間移動し、魔剣を突き立てる。


(ガラハハ)「お前がな。」


ガラハハの黄金剣も、ロゼッタに突き立ってる。

ロゼッタに。


(ロゼッタ)「っ…。"ガラハハ…"。」


ガラハハの思考が。手が止まった。

あの日と同じように、剣を黄金で固定していた。

殺しを迷わないために。後悔しないために。

けれど固めるための黄金は、ガラハハの心を固めることはない。


ーグサッ!!!!!ー

ガラハハの腹部を魔剣が、思いっきり貫いた。


(ロゼッタ)「"ガラハハ"。守るべきものが、増えたようだな。」


剣を抜き、光が薄まり冷たくなる友を、突き落とした。


(ロゼッタ)「あの時のガラハハには、私を殺す覚悟があった。だが私にはなかった。故に習ったのだ。お前と、原初の一柱から。"強命は、大切な者が出来た時。選択によって、命を落とすのだ"。さらばガラハハ。よそ見をしたな。」


無気力に落ちていく友から目を離し、ファンファーレへと向かう。

あそこには、再旅の鍵がある。


(ガラハハ)「…。」


ファンファーレへ向かおうとした時。

ガラハハの姿が、自然と視界に入った。

無気力に落ちていくガラハハが、何かをしている。

声は出ないが、ゆっくりと口を動かして。


"お前もだぞ"…。


ーギュメメメメメ!!!ー

白く煌々と光る、絶光の大矢。


(ロゼッタ)「ユメ…!!!」


ーグオオオ!!!ズドン!!!ー

あの日と同じように、斬撃が逸れた。

向こうの景色が見えるほどの大穴が、ロゼッタに空いた。


(ユメ)「クラマド…。殺し…。向いてないよ…。」


怒りと悲しみ。あらゆる感情が混ざった声と表情で、クラマドに言った。


(ロゼッタ)「そうだな…。少し、苦手なようだ…。」


またしても全身から力が抜け、意識が消えていく。


(ロゼッタ)「ロゼッタのような肉体を、確保できるか不明だな…。全ての耐死を、使い果たす他ない…。」


腹部に大穴が空いても、ロゼッタの体は生きている。

けれどクラマドは感覚から、死の加護が消えたのを感じた。


ードスン!!!ドスン!!!ー

それぞれ離れた場所に。少し時間をおいて、地面へと激突した。


(ユメ)「ガラハハ!!!」


ユメは急いで地上に降り立ち、ガラハハを優しく引き寄せる。


(ガラハハ)「悪いな…。俺はこれで…。」


ガラハハが消える。こんな弱々しい声を、初めて聞いた。


(ユメ)「これくらいなら!力を使えば治せるよ!!!力を使って!!!早く!!!」

(ガラハハ)「それは無理だ…。オーティスが消えかかってる…。あいつらを、助けてやらないと…。」


ガラハハは生き残れた。自身に力を流し、オーティスを見捨てれば。

それでも彼は、使わない選択をした。

ガラハハは、そうしてしまう人だから。


(ガラハハ)「ユメ…。あいつらを、頼んだ…。」


あまりにも静かな、黄金の曇り。


(ガラハハ)「   」


善の光が、潰えた瞬間。


ーーーーー


(ソアラント)「ハァ…。ッグ…!!!」


ソアラントの体を確実に蝕む、死の力。

波動をもってしても、完全治癒は出来ない。


(ハルブレット)「クラマドが…。痛むか?精々痛みを味わっておけ。竜王!!!クラマドを連れて去れ。ここ一帯の魔物全てを引き連れて。」


ハルブレットの選択。それは、可能性を残すこと。


(竜王:グラント)「君は…。」


ハルブレットの顔を、見たことはない。

そもそも顔が、あるのかも分からない。

けれどハルブレットは、自分を逃がした。


ーー裏大陸ーー

(魔女)「お願いします…。この子だけは…。」


大勢いた、神へと至る者達。

残るは死にかけの一人と、小さな子。


(アリオネ)「ハァ…。」


ーギュイイイイン!!!ー

消えかかる意識を、何とか保つ。

手を母子に向け、貫く水を溜める。


(アリオネ)「(今撃てば、確実に殺せる…。けれど、撃っていいものか…?母親はおいておいて、この子は…。)」


アリオネの選択。それは、隙を生んだ迷い。


ーズドオオオン!!!ー

アリオネの上半身半分を、溜め込んだ光線が吹き飛ばした。


ードゴオン!!!ー

貫く水は、母親の肉体を無にした。


(アリオネ)「ッグ…!!!」


迷いがなければ、アリオネは今も生きていた。

けれど彼は、選択した。


(アリオネ)「私は、自然が好きだ…。あれに勝るものは、中々ない…。けれどな…。勝るものを見つけたんだ…。その力、危険だが奇跡に成り得る…。信じて、みるとしよう…。無垢な光が、"あの眩い光"を放つことを…。すまない、みんな…。私は帰れそうにない…。"左大陸を、頼んだぞ…。ベロニカ…"。」


ーーーーー


ービイイイン!!!ー

メイの中で鳴り響く、予見の音。


(運命の神:メイ)「やっぱりない!!!運命…!!!運命…!!!」


肌を裂くほどに力を入れ、運命を恨む。


(メイ)「全てを見た…!!!あらゆる運命を!!!なのになんで…。"ガラハハの未来が、どこにもないの"…。」


ガラハハは死ぬ。

必ず、この瞬間で。


(メイ)「嫌だ…!!!」


ーヂイイイイイインン!!!!!ー

自分が壊れるほどの情報を、探り出す。

あらゆる過去。途方もない未来までにも、ガラハハの未来を探す。


(メイ)「"これは"…。あれ…?"なに、これ"…。」


メイは、二つの絶対的運命を見た。

"クラマドの完全なる死"。

そしてもう一つは、"宇宙の終わり"。

"創造神"の…


(創造神:???)「…。」


ーピタ…。ー

いつからだろうか。

星を握る潰せるほどの巨大な手が。その指先が、メイに触れている。

メイは見た。消して触れるべきではない道を。


(メイ)「あなたは何なの…。こんな運命を創ったのは!!!あなたなの!?」


あらゆる運命を見た。

けれどそのどれにも、ガラハハの未来は存在しなかった。


(メイ)「"あなたの求めているものはくだらない!!!ゴミ以下だわ…!!!"」


恐怖はなかった。あるのは膨大な大波。

それをぶつけるべき相手は、目の前に居る。


(???:メイ)「…!?」


メイの意識が消えかかる時。"創造神の、顔が見えた"。

巨大な二本の腕に、白く光る二つの丸。

これがメイの選択。亡き友のため、無情な運命へと刃を向けた。

この日は善の星で開演したファンファーレでもあり、メイが"禁忌に触れた"日でもある。

ラグナロクは歪な余韻を残し、終わりを告げる。

ーー「悪の使徒」ーー

・銀星:ルッタ

・鉄塊:サネア

・肉剥ぎ:ヒキトマ

・神喰い:ゴト

・緑蝶:グリンゼパフ

・影軍:ソーン

・陸壁:ギガノッティ

・竜王:グラント

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ