26:グレート・オールド・ワン
ーーー《成績表:クラマド》ーーー
ーー「評価観点」ーー
【創造性】創造性は、新たな存在や概念を生み出す力そのものではなく、創造に向き合う姿勢と、その結果に対する責任を含めて評価する。
・創造への関心・意欲:4
・創造の独自性・発想力・構築力:3
・創造物への責任意識:2
【神威性】神威性は、権能の強さだけでなく、その力を自覚し、制御できているかを含めて評価する。
・権能への自覚・態度:3
・権能の強さ:5
【精神性】精神性は、内面の成熟度を評価する。
・精神の安定:3
・欲望・感情の制御:3
・他者への尊重:3
【知性】知性は、知識量だけでなく、過去を知り、現在を理解し、未来を思考できるかで評価する。
・知識獲得への意欲:4
・歴史や勉学の理解力:4
・未来の想像力:4
【信頼性】信頼性は、教師だけでなく、学生間による相互評価で評価する。
・他者との協調性:3
・信用の貯蓄度:3
なお、本評価は絶対的な優劣を示すものではなく、時代・世界状況・観測者によって変動する場合がある。それを踏まえ、 評価段階を以下に記載する。
ーー「評価段階」ーー
5:[原初の神]原初の神々と並ぶと判断した場合にのみ記される特別な値。
4:[四大神]狭間の壁は厚く、超えられた者は四大神へと近付く。
3:[狭間]狭間を超えるには、他との差が必要。
2:[眷属級]眷属級を超えられなければ、創造物を生み出すことは困難。
1:[神獣級]神獣と遭遇しないよう注力するか、自身を鍛えよ。
ーー「総評」ーー
見えない斬撃という、高い神威と知性を有している。
創造への関心が高いのも、目を引く部分である。
一方、創造物への責任意識が薄く見えるため、責任意識獲得に注力すると良い。
総合点は四に限りなく近い、三。四大神へ近い存在とする。
『神々のファンファーレ【26:グレート・オールド・ワン】』
ーー宇宙ーー
神の星を去り、無限の空へとやって来た。あの地に戻る日は、旅の最後。
(悪の神:クラマド)「出たはいいものの、まずは何をすべきか…。」
全てを滅すると言っても、途方もなく宇宙は広い。
(ハルブレット)「手始めに、いくつか星を破壊してみるのはどうだ?」
宇宙に出て死なないのが、神人や使徒。または眷属。
(クラマド)「そうだな。」
まずは適当な星を破壊するため、移動を始める。
クラマドの旅。悪の旅の、始まりだ。
ーーーーー
ーザン!ザン!ザン!ー
無数の斬撃を浴びせた。
三度の星を破壊し、名も知らぬ三人の神を殺し、それと数不明の生命達も。
(クラマド)「アルザサ。私の力だが…。」
斬撃を放っただけだが、星を破壊するのは、木を斬るくらいには簡単だった。崩れ去る三つ目の星を背景に、対話を進める。
(アルザサ)「それは、"創造神"による接触があったからだろう。カブナラを含めた、"終末の神々"。そう呼ばれる者は皆、"かの者との接触"がある。中には直接、"創生された者"もいるのだ。」
丘上で起きた、創造神との接触。指先が、互いに触れた。
(クラマド)「変化したというわけか。だが足りない…。奴を殺すにはもっと、強大な力が必要だ。」
"原初の神"や、それに並ぶ存在は強大である。
全てを滅するには、まだまだ雛同然。
(ハルブレット)「強さを求めるならば、多くの戦闘経験が必要だ。だが現状、移動効率が悪すぎる。それに拠点がない。疲弊した時の居場所は、必要だろう。」
(クラマド)「"移動効率"と"拠点"。何なら"戦力"。両立出来ると思うか?」
素早く移動し、拠点としての機能もある。
欲を言えば、戦力としての確保もしたい。
(アルザサ)「"機械惑星"。高度のテクノロジー技術が、発展した星。求めるものが、存在する可能性はある。だが同時に、"巨神:アバベトロン"の星だ。」
(ハルブレット)「"空間の神"もいるのでは?それに、"純赤の機体を操るアバベトロン"。"巨神の強さは、原初級"らしいが。」
相手の力は強大。今戦っても、届きはしない。だが目の前に、可能性がある。
(クラマド)「いや、目的は変えない。"空間転移装置"を奪取する。まずは移動確保だ。次いでに何かを手に入れられたら、望ましい。どうせいつかは戦う相手。早くとも変わらない。」
求めるは移動効率。戦力と拠点。いつぞやに見た、空間転移装置を奪取する。
ーー機械惑星ーー
ーギュイイイン!!!ガコン!!!ー
星に匹敵するほどの明かりを放ち、精密に創られた星が唸る。
(クラマド)「眩いな。ルマノやグラン。それ以上か。」
少し感動に浸っていると、異様な者に目が惹かれる。
(クラマド)「あれは何だ?"星と同じくらいあるぞ"。」
それに向かって機械惑星から、極太のケーブルが無数に繋がれている。
(アルザサ)「"アバベトロンの眷属"だ。まさか、こうも巨大だとは。」
少し下を向き、鎮座するその姿。
停止しているが、降り立つ以上、戦闘は避けられないだろう。
(クラマド)「デカいだけのハリボテだ。一刀両断は容易い。」
力を溜め、構える。だが未だ動かない、アバベトロンの眷属。
(クラマド)「見えるぞ。二つに斬られる、光景が。」
ーズザアアアアアン!!!ー
宇宙を斬る音が、緩やかに広がった。斬撃が、眷属へと当たる。
(機動機体:ガンチュリオン)「…!!!」
ーギュオン!!!バシュン…!ー
眷属は、眩い光を発した。眷属の目が光り、斬撃は盾に命中し消えた。
(クラマド)「なっ…。光の盾だと?」
知らないものだった。宇宙に知らないことは、まだまだある。
(ハルブレット)「クラマド!狙いはそちらだ!!!」
ーブオン!!!ー
光速。眩い光となって、ガンチュリオンが目の前まで来ていた。
ージュイイイ!!!ー
守りに入ったが、腕が焼き切れる程の痛み。
(クラマド)「ッグ…!!!光熱の剣…!!!」
ガンチュリオンから距離を離し、円を描くように移動する。
ービュン!!!ビュン!!!ー
ガンチュリオンは巨大な銃を構え、クラマドを狙う。
(クラマド)「ッチ…!狙いが的確だ…!」
ガンチュリオンは光線が当たらなくとも、必ず掠めてくる。
それほど計算されている。
(クラマド)「掠ったところで、当たっていない!!!ならば…!!!」
方向を変え、ガンチュリオンへと急接近する。
手を構え、断絶。
ーキュイン!!!ー
ガンチュリオンは光の盾を構えた。
(クラマド)「盾ごと貫く!!!」
痛みは酷いが、気にしていられない。
(ハルブレット)「クラマド!囲まれているぞ!!!」
遅い。ガンチュリオンは盾を構え、発射を隠していた。
クラマドは既に、無数の射撃物に囲まれている。
(クラマド)「眷属如きに!!!」
ーガコン!!!ー
ガンチュリオンは確実に、クラマドを消すつもりだ。
さらなる追い打ちをかけるため。
盾を横に構え、その上部に巨大な銃を置いた。
ードドドドドドドド!!!ー
無数の射撃物が、光線を放つ。何一つ、身動きが取れない。
(ハルブレット)「どうする?あのままでは死ぬぞ…。」
アルザサはただ、その光景を見ている。
(アルザサ)「信じろ。我らが王を。」
ーギュイイイイン!!!!!ー
巨大銃に、光が溜まる。溜まる光は、周囲の星まで届くほどだ。
ードオオオオオオオオオオオオ!!!!!ー
放たれる光線。クラマド達は誰一人、周囲が見えない。
(クラマド)「来い…。一瞬の隙で叩き斬る…!」
ーバチバチ!!!ー
無数の射撃物も共に、極大光線に呑まれた。
ーズサアアアアアン!!!!!ー
今のクラマドが出せる、最大の攻撃。光を進み、ガンチュリオンの元へ。
斬れなれば、名も広まずに死ぬ。
ーザン!!!!!バコン!!!ドゴオン!!!ー
光が消えても、光の中だった。聞こえたのは、斬撃が何かを斬った音。
崩壊が進み、爆破が起きているようだ。
(アルザサ)「それでいい。それでこそ、着いて行く意味がある。あなたとならば、最果てだろうと…。」
ガンチュリオンは、上部と下部に分けられた。
盾と巨大銃も綺麗に分かれ、宙に舞う。
ーバオオオ!!!ー
ハルブレットが、クラマドを引き寄せる。
(クラマド)「…。」
クラマドは意識を失っている。
(ハルブレット)「答えは決まっているのだろう?」
機械惑星を襲撃し、ガンチュリオンを破壊した。
(アルザサ)「あぁ。アバベトロンがいないことに、賭けるしかない。奴さえいなければ、目的は達成できるのだ。」
ここで逃げてしまえば、アバベトロンは確実に警戒を強める。
ーー開発区:アイゼンヴァルトーー
星へ降り立つと、あらゆる機械が広がっている。
上から見えるもの全てが機械だった。
(ハルブレット)「無人なのか?」
機械が稼働しているだけで、それ以外の音はしない。
(アルザサ)「アバベトロンはいなそうだな。待て、あれを見ろ…。」
全高が見えないほどの、円物体。静かに回転を続け、電気を発している。
(クラマド)「ッ…。空間転移装置…。」
微かな意識で、目的を見る。
(ハルブレット)「あれか。だが持ち運びなど、絶対にできないぞ。」
持てるものは、誰一人この宇宙にいないだろう。
そう思わせるほど巨大であり、星に乗せておくしかないのだ。
(???)「動かないで!!!」
ースッ…!!!ー
空間転移装置を眺めていると気付かぬ間に、後ろに何かがいる。
空間を超え、後ろに現れたのだ。
(クラマド)「ハルブレット…。」
ハルブレットはそれを、命令だと受け取った。
今この場を打開し、目的全てを果たすための。
ーバオオオ!!!ー
空間を殺し、一瞬にして接近する。
(ハルブレット)「動くな。"空間の神"。」
立場が変わった。背後をとっていたのは、空間の神ではない。
(空間の神:ギルティナ)「あなた達は誰…?一体何をしに…。」
喉に剣だけを押し込む。
(ギルティナ)「ッグ…。」
(アルザサ)「死にたくなければ、星を破壊されたくないのであれば、指示に従え。そうすれば、ここを離れる。」
ギルティナの目は、以前鋭いまま。
(ギルティナ)「剣を刺すより速く。あなた達を転移させるわ…。」
(クラマド)「失敗したらどうする…?この星を破壊するのは、容易いぞ…。」
鋭い目が、少し緩んだ。
(ギルティナ)「何が目的…。」
(アルザサ)「計三つを提示する。"戦力"。"拠点"。"空間転移装置"だ。何も小細工することなく、こちらに渡したまえ。」
(ギルティナ)「戦力と拠点なら、一体でやれる…。欲を押さえれば、移動力だって…。」
ーバオオオ!!!ー
ハルブレットは容赦無く、死の力を流す。
カブナラの死は即死。それは強力なもの。
だがハルブレットの死は主より弱く、即死ではない。
けれど苦しみにおいては、主よりも勝る。
(ギルティナ)「ッグ…!!!ガァ…!!!グッ…!!!」
ギルティナはハルブレットの腕の中で、悶え苦しんでいる。
手に力を入れ、足をバタつかせて。
(アルザサ)「ハルブレット。解除しろ。」
死の力を引き戻す。
(アルザサ)「両立できるのなら、まとまっていてもいい。だが単体より劣っていてはダメだ。空間転移装置より、移動力はあるのか?」
ギルティナが息を整えまで、待つ。
(ギルティナ)「ないわ…。空間転移装置が、最高速度…。戦力と拠点は、設計図だけ…。でも!"彼"がいなければ、創れないわよ…。どうするの…?」
(クラマド)「十分だ…。これ以上の賭けは、危険すぎる…。」
賭けという名の驕りで死にかけた。
(ギルティナ)「それじゃあ、案内するわ…。」
ギルティナは震える手で、空間転移装置まで続く空間を生成した。
ーーーーー
ーザッ…。ー
密度の濃い、設計図を受け取る。
(ギルティナ)「じゃあ、飛ばすわよ…。」
(ハルブレット)「いや、待て。」
ハルブレットが静かに、上空を見ている。
(クラマド)「どうした…?」
ーギュイイイイン!!!ー
何か聞こえる音。
(ハルブレット)「最大距離まで飛ばせ。きっと、"飛行音"だ。純赤たる者は、まだ早い。」
空間転移装置の近くに立ち、移動を待つ。
(ギルティナ)「ッグ…!!!!!」
移動距離。空間の大きさによって、力の負荷が強まり、時間がかかる。
ーバキン!!!バキン!!!バリバリバリ!!!ー
空間が割れきった。移動する間際。空に浮かぶ、純赤の機体が見えた。
(クラマド)「いつかお前も、殺しに行くぞ…。」
アバベトロンへと向けたクラマドの殺意は、愛や悲しみではなかった。
漆黒に染まった、悪意の塊である。
ーーーーー
空間転移装置と共に、どこか分からない宙域に出た。
ひとまず空間転移装置の上に乗り、設計図を見る。
(ハルブレット)「休まないのか?」
クラマドは休まず、まだ痛む手で設計図を読み進める。
(クラマド)「"銀星:ルッタ"…。アバベトロンは実質、二つ目の星を創ろうとしていたようだ…。」
星は一人一つが限度である。それは"星を創った、オホシ"でも同じこと。
(アルザサ)「何が書いてある?」
クラマドが要約する。
(クラマド)「外的要因排除用の、"ゼタ砲"。"祖龍:ガルバロス"の、"赤雷轟砲"を参考にしたと書いてある…。」
(アルザサ)「それは凄まじいな。戦闘することなく、遠距離から星を消し飛ばせるほどの、威力をもつだろう。」
戦力、拠点、移動。三つの要素が揃ったが、一つ問題がある。
(クラマド)「ただ、創れるのか?造物を創ったことはない。」
クラマドは、理の超越する力を創ろうとしていた程度。
カブナラやアバベトロンほど、創造性は高くない。
(アルザサ)「クラマド。斬撃を撃ってみろ。」
手を構え、撃ってみた。何一つ変わらず、撃つことができる。
(アルザサ)「では創ってみろ。今の君ならば、やれるはずだ。」
クラマドは、ピンときていない。
(ハルブレット)「"権能が、変化しているのでは?より強力なものへと"。」
断絶という名は、どこかに捨ててきた。今の名は、より抽象的なもの。
(悪の神:クラマド)「"悪"…。」
その時、直感で理解した。何が出来て、何が出来ないのか。
(クラマド)「"出来ないことはない"…。」
(アルザサ)「"悪のためならば、大抵は成せる"だろう。"銀星"を創るのは、悪のため。偉大なる目的に進むためだ。」
立ち、片手を構える。片手には設計図を。
(クラマド)「やってみる…。」
ーグオオオオオオ!!!!!ー
凶暴な化け物のような音が、クラマドから溢れる。
それは神の星を離れる際に出た、"悪の力"。
(アルザサ)「素晴らしい…!!!」
勝手に感情が高まる。
星光を反射する、巨大な球体。確かに星である。
(銀星:ルッタ)「…。」
一体目の悪の使徒が、顕現した。
ーーーーー
そこからの日々。
クラマドという悪の名が広がるのに、十分すぎる出来事だった。
ーギュイイイイン!!!!!ー
アバベトロンが設計した、赤雷のエネルギーを今日も溜める。
ードオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!ー
それだけで、一つの星を消せてしまう。
ーシュン!ー
空間転移装置から、クラマド達が戻ってきた。
(ハルブレット)「相変わらず、何も残らないな。」
ルッタが適当な星を破壊し、空間転移装置で別の星へと向かう。
移動してからしばらくは裂け目が残るため、帰還も問題なくできる。
ーピッ!ピッ!ピッ!ー
最近聞こえるようになった、電子音。
(クラマド)「そろそろか。」
ルッタのエネルギーは、限界だった。
このままではただの塊と化し、空間転移装置への供給も絶たれてしまう。
(クラマド)「やはり、エネルギー効率が悪い。強力であるのは間違いないが。」
(ハルブレット)「結局、対策をされていたわけか。ルッタを創れたのはいいものの、悪の力では認証されない。」
設計において必要なものを、アバベトロンは施していた。
そのためエラーや不具合は全く無いが、それが足を引っ張る。
(アルザサ)「機械惑星に戻るか?」
正直ルッタを創れただけ。
力が強まったとはいえ、原初級ほど強くない。
(クラマド)「いや、"赤雷"を貰い受ける。」
クラマド達は、流れに乗っている。
(アルザサ)「行くのか?"四人いる、原初の神。その一つに…"。」
"原初たる時代に生まれた、四人の神。
彼らを原初の神と呼称し、四大神とも呼ばれる、最強達"。
(クラマド)「あぁ。"神獣喰らいの問題児"が、何だという?ただ、エネルギーを受けるだけだ。」
(ハルブレット)「"赤雷を権能とする、"祖龍:ガルバロス"か。元は人の姿らしいが、神獣を喰らいまくり、変化したそうだな"。」
神獣喰らいの問題児であり、生粋の美食家。
"管理局による生態系管理が始まった、元凶でもある"。
(クラマド)「注意を引くレベルのゼタ砲を放つ。その後、吸収形態へと変える。"赤雷轟砲"を受け、エネルギーを回復する。これで行くぞ。」
想像は完璧。だが、あくまで想像である。
ーーーーー
目前に広がる星。歪な形をしており、荒々しい断崖のような見た目。
その名を"竜の星"。竜が神であり、竜が最上位生命体。
"オホシを初まりとして、二つ目か三個目に出来た、古代の星"。
(クラマド)「いつか必ず、会いに行くぞ…。発射準備。」
ルッタへと命令する。最上位権限からの声を受け、ルッタが動く。
ーギュイイイイン!!!バチバチ!!!バチバチ!!!ー
星を抉る程度の、エネルギーを溜める。
(クラマド)「発射後、瞬時に吸収形態へ移行しろ。」
ードオオオオオオン!!!ー
十分すぎる破壊力だが、ショボく見えた。
ルッタの形態が変化し、ガルバロスを待つ。
(クラマド)「さぁ、こ…」
一瞬で、視界と聴覚が機能しなくなった。
ーバチバチ!!!!!バリバリバリ!!!!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!ー
異常なエネルギーが、ルッタへと命中する。
(アルザサ)「クラマド!これ以上はまずい!!!」
僅か数秒で、エネルギーは最大値を超えた。
これ以上は過剰であり、危険しかない。
(クラマド)「ルッタ!!!エネルギーを撃て!!!逆流させろ!!!」
大轟音。ルッタへの指示が通らない。
(クラマド)「ッチ…!!!これが地表からの威力か!?化け物が!!!」
ージュウウウウ!!!ドゴオン!!!ー
ルッタが高温に包まれ、赤雷が膨張を起こした。
そしてしばらくの間。クラマド達は、意識を失っていた。
(クラマド)「ッグ…。」
薄い視界と曇る聴覚で、状況を呑み込む。
アルザサは液状になり、死にかけ。
ハルブレットは空間を殺し退避していたが、鎧が変形した。
空間転移装置は逆流で故障。設計図はないため、修復不可。
ルッタの修復は可能であり、エネルギーが手に入った。
けれどあまりに危険で、差を感じる。圧倒的な、力の壁。
(クラマド)「圧倒的に、力が足りない…。」
ーーーーー
ルッタを修復してから、時が流れた。
一人で神殺しを続けているが、悩みは消えない。
(クラマド)「思考が巡らない…。止まったのか…。」
停滞期が訪れた。何をしても、何も得られない感覚。
(???)「悩んでいるのか?」
どこからか聞こえる、掴み所がない声。
(???)「探しても見えんよ。後ろを向け。」
後ろを向き、警戒を続ける。
ートントン。ー
背後から、触れられた。
(闇:グレオール)「騙されたな。」
ーグオオオオオオ!!!ー
背後に向かって、悪を放つ。
(グレオール)「当たらんさ。闇は全て、私の領域。」
(クラマド)「誰だ。」
(ハルブレット)「"闇のグレオール"。"君と同じ、終末の神々だ"。」
ハルブレットの鎧はまだ戻っておらず、アルザサはまだ液体。
戦闘は危うい。
(クラマド)「何をしに来た…。」
(グレオール)「君を迎えに来た。終われば、ここまで戻してあげよう。なに、君にとって良いことだ。」
クラマドはグレオールの手を渋々握り、闇の中へと引きずられた。
ーー???ーー
何も見えず、何も聞こえない。何一つ、存在しない場所。
(クラマド)「ッ…。」
目を開け、分析する。
立っているのか、浮いているのかも分からない場所に居る、複数の影。
(クラマド)「お前は誰だ。」
近くにいた方に、話しかけた。
(疫病:ファフタリア)「…。」
目を見てくるだけで、何も話してこない。
(グレオール)「そいつは喋らんよ。ここに君を呼んだのは、奴だ。気に入ったそうで、会いたいと。」
禍々しい軽装の装備に、暗黒たる斧槍。
(終焉:ウルゼンボルグ)「我が名は"ウルゼンボルグ"。私と、対話をしないか?」
薄気味悪い、笑みを浮かべる者。
掴み所がなく、何を考えているか分からない。
(クラマド)「断る。貴様らもどうせ殺すからな。対話など無意味だ。」
突き放してもなお、顔色を変えない。この状況を、楽しんでいる。
(ウルゼンボルグ)「悩んでいるのだろう?どうせ戦っても勝てないんだ。聞いていけ。」
その者が話しかけてきた。
(ウルゼンボルグ)「何か、考えていることはあるか?実現したい力や、造物。」
出口を探そうと見回したが、やはり何もない。
貰えるものは貰っておこう。
そしてその力で、旅を加速させる。
(クラマド)「"理の超越"。"絶対的戦力"。」
神殺しの旅で感じた、必要なもの。
(ウルゼンボルグ)「なるほど。理の超越か。それはきっと、難しく考えすぎているな。もっと単純だ。"今まで殺してきた神人の力、知っている知識。それらを並べるだけでいい"。"超越とは言わば、包容"。"ゴットが全と言われ、ルモンドーも全を名乗っているのは、包容しているからだ"。宙に浮きたいと思えば浮き、力を求めるなら、地水火風を知る。"知らないことは越えられない"。"逆に知ってしまえば、世界は狭く見えるのだ"。」
超越と言えば難しく感じるが、言ってしまえば、世界の全て。
ならばその全てを並べ、欲しいものを選べば、実質的超越と言える。
(ウルゼンボルグ)「次に絶対的戦力か。ここにはいないが、"深淵の王:アビス・キング"という者がいてな。者と言うより、災害に近い。そいつは"深淵生物"を創り、軍隊としている。"深淵とは吸収。攻撃を吸い、強くなる。そういった特性だ。そのため限りなく、不死身に近い"。"創造とは知識。形が思い付かなければ、立体化など不可能"。君は、色んなものを見てきたはずだ。一旦殺しを忘れ、創造に集中するといい。殺戮のため、生きているわけではないだろう?」
悔しさを感じつつも、言っていることは正しいと感じた。
ここまで来たら、聞きたいこと全てを話そう。
(クラマド)「最後に一ついいか?"ゴット"はどこにいる?何一つ、存在を見つけられない。いないのではと、思うほどに。」
(ウルゼンボルグ)「"原初の神"。その一人。厄介であるが、一番弱い者だ。"時の星"、"時の神:ノノルルガ"へと、会いに行ってみろ。少しは話しを聞いてから殺すと、次に繋がるだろうな。」
短い時間だったが、確かにクラマドは変わった。
(クラマド)「"グレオール"。"ウルゼンボルグ"と言ったな。"一人名前を知らない"が、どうでもいい。貴様らから得た知識で、いつの日か殺しに行くぞ。私は全てを呑み込む、"悪"だ。」
ウルゼンボルグ達を挑発しても、ずっと余裕の表情だ。
(ウルゼンボルグ)「あぁ。楽しみに待っているよ。"死を超えた、新たな同士よ"。」
ーーーーー
そこからの日々は、創造の連続だった。
星の大きさである"ルッタ"に、三人とガラクタと化した空間転移装置と乗っていた日々は、遠い昔。
(アルザサ)「そろそろ、行けるのではないか?」
創造をしたあとも、驕ることはなかった。
確信を感じるまで、星を破壊し続けた。
(クラマド)「あぁ。我が軍の完成は、旅の終わり。それまでは、完成とは言わない。けれど今、確信した。"時の神:ノノルルガ"。奴を殺す、力がある。待っていろ。原初…。」
悪の名は、無限の宇宙に広がった。
ーーー《終末の神々:悪の神:クラマド》ーーー
新たに、終末の神々へ"悪の神:クラマド"を認定する。
現在の脅威度を解析・分析し、以下に記す。
※変動が起こり得る場合、即時対応を要する。
【脅威】単純な、戦闘力・破壊力。
・悪という可能性に加え、理を超越する力をもつ。
この二つは非常に脅威的であり、未知数である。
【対話】交渉・説得・共存の成立具合。
・見境無く破壊を続けているため、対話は非常に困難である。
【行動】目的・思考の把握度。
・行動は単純な破壊だが、単純すぎるあまり予測がつかない。
全てがクラマドの標的である可能性が高い。
【戦力】使徒など、配下にいる存在の強さ。
・現在確認されている存在でも、多く存在している。
魔物、魔人、魔法使い、八体の使徒。そして悪魔と、死の使徒二体。
隙のない布陣は、"深淵の王"に匹敵するほどの戦力である。
【影響】対象存在が、宇宙に及ぼす影響力。
・クラマドの影響は、一星、一文明には留まらない。
圧倒的破壊数により、大きく宇宙の安定度が損なわれている。
現段階では宇宙全域への破壊は確認されていないが、時間の問題である。
影響の拡大速度は、従来の存在と比較しても異質である。
ーー「危険度」ーー
クラマドは、明確な目的の元行動する、極めて危険な存在である。
即時排除は困難であり、下手な干渉は滅びを加速させる恐れがある。
最優先の監視・記録・排除対象とする。




