25:さらば我が友
『神々のファンファーレ【25:さらば我が友】』
ーー神の星ーー
―ヒュウウウ…!!!ズザザザザ…!!!―
死の星から脱出し、神の星へと帰還したガラハハ達。
黄金の落下を抑えつつ、着地する。
(ガラハハ)「ほら、出てこい。」
黄金の包みを解き、人を出す。
(人)「ここは…。空が…。土地が…。綺麗だ…。」
死の星にて生まれた人々。
見るもの、聞くもの。五感全てから得られるものは、死だった。
けれど今、全てから命を感じる。
(クラマド)「人間達をどうするかだな。」
(ガラハハ)「俺がどうにかする。この中だったら、一番安全だと思うけどな。」
ガラハハは黄金を生成できる。黄金の家を創れば、問題ない。
(クラマド)「それでいいだろう。では、私は家に戻る。」
クラマドは、静かに去っていった。
(ユメ)「あれ…。滞在地には戻らないの?」
きっとまだ、一人でいたいのだ。
(メイ)「クラマド、絶対に抱えてると思う…。私が、怒り任せにやったからかな…。まだまだ、先が見えないや…。」
予見は容易ではない。
無数を読めたとて、全体を見通さなければ、完全は得られない。
(ガラハハ)「カブナラの死は、必要なことだと思う。実際それは、間違いじゃないはずだ。問題はやっぱり…。」
ガラハハ達にも勿論、傷はある。友の一人が消えたのだ。
出会った頃のような。今までの日々は、二度と得られない。
(ガラハハ)「元々そうだった性格が、より強く出てる気がする。冷酷だけど、的確な考え。あとは、負けたままでは終われない所か。何もないまま、収まるといいけどな…。」
ガラハハ達は、静かな余韻を残したまま別れた。
ユメとメイは、滞在地へ。ガラハハは、自身の家へと戻る。
ーーガラハハの家ーー
(人)「これは…。」
相変わらず、ガラハハの家は汚かった。
(ガラハハ)「ここはどうでもいいんだよ。お前達の家じゃないんだからさ。」
(人)「一体、何をするのですか?」
汚い家で、大勢で住むと思っていた。
(ガラハハ)「まぁ見てろ。」
―ゴルゴル!!!ガコン!!!ガコン!!!―
ガラハハは地面に手を付き、力を流した。骨組みができ、内装ができる。
黄金で創られた家が、意図も容易く完成した。
(ガラハハ)「今日からここが、お前達の家だ。」
あまりにも目立つが、ガラハハらしい家だ。
(人)「助けてくれただけでなく、居場所まで与えてくれるとは…。」
人々の反応は様々だった。
歓喜で泣く者。大声で喜ぶ者。感情の整理が追いつかない者。冷静な者。
(ガラハハ)「当然のことだ。お前達の居場所を、破壊したんだからな。」
死の星は消えた。けれどあの場所は、皆で生きた、思い出の地であった。
(ガラハハ)「食料もどうにかする。あとこの辺は、基本人がいないからな。少しくらいだったら、外に行ってもいいぞ。」
(人)「感謝の言葉しか見つかりません…。本当ならば他にも、与えたいのですが…。」
(ガラハハ)「無理にはいらないね。まぁお前達がそうしたいなら、受け取るけどな。じゃあ、俺は休む。また明日な。」
ここ数日は、酷く疲れた。しっかりと休もう。
ーーーーー
時が流れ、次の日が来た。ガラハハは身を少し整え、扉を開ける。
―バッ!!!―
扉を開けた瞬間。助けた人々が、膝を着いた。王へと忠誠を誓うように。
(人)「昨日、皆で話したのです!やはり、あなたの力になりたい!!!感謝だけでは足りません!!!」
(ガラハハ)「んー。力って言ったって、そう簡単に渡せない。黄金は俺の力。言わば神の力だ。何もせず渡したら、身が耐えられないぞ。」
神の力は強大である。それは絶対的な、人との隔たり。
(人)「雑用でも構いません!何かをしたいのです…。傲慢な存在には、なりたくありません。」
救いに浸り、感謝を忘れる。それは、彼らの恐怖。
(ガラハハ)「じゃあとりあえず、俺ん家の掃除を頼む。その話は考えておく。掃除をやれって、言いたくないしな。」
助けた者達は、力を望んだ。けれど今のガラハハに、人へと渡せる力はない。
(ユメ)「ガラハハ!!!」
ユメが飛んで来た。
(ユメ)「ガルツハーツに来て。死んじゃった子達の、葬儀をやるみたい…。」
死した者は多く。カブナラが死んでも、変わるものではない。
(ガラハハ)「お前達、少し離れる。行くか…。」
ーーーーー
ガルツハーツ裏の丘。星が煌めく丘に、死者たちを埋める。
(ルモンドー)「死:カブナラによって、ガルツハーツで悲劇が起きた…。そして、多くの命が失われた…。この一件は語り継ぎ、未来へと繋いでいく…。我々ガルツハーツと、管理局の過ちを…。何一つ、変色させることなく。
では、過去へと別れを告げよう…。」
死した三十二名の学生。三十二の棺が、土の中へと入った。
ーザッ!ザッ!ザッ!ー
元の高さに戻るように、土が覆い被さっていく。
ーゴゴゴ…!ー
それぞれの名が刻印された、慰霊碑が生成された。
人も神も、死んだ後は同じだ。
ーーガラハハの家ーー
あれから数日が経過した。
ガルツハーツの復興は終わったが、無期限休校だという。
(ガラハハ)「学校がないなら、力を創るチャンスだと思ったんだが…。」
何も思いつかない。ただ黄金の力を弱めて渡すのが、正しいとも思えない。
(ガラハハ)「そうだ。墓参りにでも行くか。」
ガルツハーツ裏の丘。ドッキーノ達の、墓参りをしに行こう。
ーーーーー
丘を登り、慰霊碑が見えかかった時。中くらいの、あるものを見た。
(ガラハハ)「何だあれ?慰霊碑の後ろに木?」
それは美しく生えた、"白い木"。まだ成長途中で、どんどん伸びている。
(ガラハハ)「誰かが埋めたのか?」
土を掘り、埋めたような痕跡はない。
(ガラハハ)「まさか、ドッキーノ。お前なのか?」
ドッキーノは死んだ。
しかしその力は微かでも、身に流れているのかもしれない。
ースッ…。ー
ガラハハはそっと、白い木へと触れた。どこか冷たいが、嫌な感じはしない。
―ポワポワ…。―
白い光が、体に流れてくる。
(ガラハハ)「…!」
ガラハハハは咄嗟に手を離し、後ろに下がった。
(ガラハハ)「何だ、今の…?"心が、軽くなった"…?」
それは紛れもない、"生命の力"。
(ガラハハ)「ドッキーノ。俺は、お前の夢を叶えられない。それは、お前だけが叶えられるものだ。けど、その意思を繋げることは、出来る気がする。」
手を握り締め、決意する。
(ガラハハ)「"生命を、繋げることが出来るなら"…。」
目標が出来た。"生命を繋ぐ、力を創ろう"。
その一方、他の神々は…。
ーーメイの家ーー
(メイ)「もう、朝か…。」
メイは明かりもつけず、布団から出ることもない。
ただひたすらに、時が流れるのを待つ。
案外何もしなくとも、時が流れるだけで、解決することもある。
メイの場合は、どうなのか。
ーーユメの家ーー
(ユメ)「んー…。」
机に座り、思考を巡らせる。ドッキーノと、ユメの夢は似ている。
どちらも、生者を思うものだ。ドッキーノ亡き今、彼女のためにも叶えたい。
(ユメ)「やっぱりダメだ…。集中、できないな…。」
夢のため。勉強をしようとしたが、集中できない。
それを邪魔する考えが、溢れてしまう。
(ユメ)「今はこの気持ちに、向き合わないといけないのかな…。」
夢実現のためには、未来を想像しなくてはいけない。
けれど今は、過去を想像していよう。後悔を整理し、未来へと。
ーーーーー
ートントン。ー
ドアをノックする。
(ベロニカ)「メイ。私だよ。大丈夫そう?」
ベロニカは神人達の家を周り、体調管理をしている。
精神と肉体への攻撃が、容易く行われた。
何一つ、傷つかなかった者はいない。それはベロニカもそう。
彼女自身も他者と会話をし、傷を癒す。
登校日までの日。少しづつだが確かに、傷は癒えるのだ。
ーージュデッカ凍土ーー
ガルツハーツより遠く離れた、最北地。
強烈な吹雪が吹き荒れ、立ち寄る者を凍らせる。
それは神人も、例外ではない。
ードゴオン!!!キュイイイン!!!ー
極寒の地でグランとルマノは、力をぶつけ合う。
(ルマノ)「ッグ…!!!」
火をくらったルマノ。動きが止まる。
(グラン)「動けルマノ!!!特訓は登校日まで永遠だと、決めただろう!!!」
数十秒でも止まっていれば、体は凍る。
(ルマノ)「分かってるさ!!!」
輝きの頂点を目指す、熱と明かり。
煌々と輝くため、地獄の日々でも超えていく。
ーーヌン陸海ーー
アリオネもグランとルマノのように、遠く離れた地へと来ている。
ガルツハーツより遠く離れた、最南地。
海の環境を、陸地として引き上げたような場所。
日中は空の光が陸海を照らし、夜は星の光が陸海を照らす。
(アリオネ)「やはり、ここに勝るものは無い。」
アリオネの趣味は、自然研究と神獣観察。
生物と自然を観測することが、何よりの幸福である。
(アリオネ)「だが、静かだ。やはりまだ、死の影響があるのか。」
しつこいほどに、死の影響は残っている。数週間程は、警戒が続くだろう。
ーー聖都:ヒエロ・サンクターー
―ゴーン!ゴーン!―
最近は聞かない、聞き馴染みのある音。
(クラマド)「そうえば、ここに鐘はあるのか。」
神人が蔓延る、神聖たる地。あらゆる建物、街並みが、豪華に彩られている。
(クラマド)「ここならば、見つけられるはずだ。」
意外にもクラマドは、動くことができた。
あるものを探し、遠い大都市へとやって来たのだ。
ーー大都市:ヒエロ・サンクタ(大書庫)ーー
豪華なだけではない。あらゆるものが広く、多く存在する。
クラマドは大書庫を歩き回り、あるものを探す。
(クラマド)「(親切に、ガルツハーツ卒業生の書籍が、まとめられているのか。)」
歴史に名を残す卒業生は、数多く存在する。
(クラマド)「("空間転移装置の論文"。"巨神"と"空間の神"のものか。興味深いが、これではない。)」
空間転移装置について書かれている。
星と星の移動効率を上げるため、創られたものだ。目的のものではない。
(クラマド)「("神獣の味"。分厚すぎないか?食に興味はない。)」
神獣の味について調理法を含み、ビッシリと書かれている。
相当な、神獣マニアのようだ。
(クラマド)「("死後と魂"。"女王リリィ"のものか。少し見てみよう。)」
目的のものではなかったが、興味を引くものだった。
(クラマド)「("死後。生命は魂となり、肉体と分離する。魂は見えることのないもの。魂を導き、物体へと入れてみた。動いたのだ。死してもまだ、魂となり生きている"。」
満遍なく見てはいないが、興味のある言葉が多くあった。
(クラマド)「(あなたならば、死んだ者も見られるのか。羨ましいな。)」
興味はあるが、目的のものではない。
(クラマド)「(ない…。"ゴット"が書いたという、"理の超越"が…。変わりにあるのは、予言書か…。)」
目的のものがない。その本を読めば、"理を超越する力"を、創れると思った。変わりにあるのは、信憑性のない予言書。
あまりにも薄く、気付かない者の方が多そうだ。
(クラマド)「("全ノ神:ゴット"。"ゴットの大予言"。)」
クラマドは試しに予言書を取り、読んでみることにした。
理の超越について、書かれているかもしれない。
(クラマド)「(あまり詳しくないが、"宇宙消滅"について書かれていることは知っている。だが気になるのは、消滅ではない。"何が"、それをもたらすのか…。)」
クラマドは見た。宇宙消滅について。その"根源たる者"についてを。
(クラマド)「("黒き影。神出鬼没の存在。それは宇宙を生み出し、消滅させる者。私はそれを、"創造神"と呼ぶ"…。)」
予言書を読み終えたクラマド。クラマドの思考は、巡った。
(クラマド)「(ドッキーノ達は死んだ。三十二名を復活させるには、理の超越しかない。どうやって実現する?仮に超越を可能にしたとして。宇宙消滅が訪れては、意味がない…。いや、待て…。"創造神が宇宙を創ったのなら、理を創ったのもそれなのではないか?")」
心が無へと染まったクラマドに、輪郭が出来ていく。
(クラマド)「(理の超越は不可能。ならば…。)」
輪郭が形を成し、骨格になる。
(クラマド)「("創造神を殺し、理を書き換える。そして、宇宙を創り変える"。)」
骨格がついたのなら、肉付けをしたい。だがその時、巨大な問題に気付いた。
(クラマド)「(…?ゴットはなぜ、創造神を殺しに行かない?いけないのか?それとも、"足りない"のか?ゴットでさえも、何かしなければ勝てない相手…?"全てを滅ぼし、最強へと至る…"。)」
ふと、思ってはいけないことを考えた。
(クラマド)「(いや、それではカブナラと、何も変わらないか…。)」
思考が止まり、結論が出た。
歪な骨格を残したまま、大書庫を離れ、帰路へと着く。
きっとこのまま、生きていくのが正しい。
ーークラマドの家ーー
大都市から帰宅したクラマド。
既に辺りは暗く、夜だった。今日もまた、一日が終わる。
(クラマド)「(何かをする気がない。興味はないが、時間を流すためだ。休むとしよう。)」
食と睡眠に、興味がないクラマド。
神人にとって必要のないものだが、今は寝ていたい。
(クラマド)「(やはりダメか。いつも寝ていないんだ。当然だな。)」
寝れないならば、何かをしていたい。
(クラマド)「(墓参りにでも行くか。ガラハハ達も、行っているだろうしな。)」
ーーーーー
家を出て、墓参りに行く。ガルツハーツの裏へ。
(クラマド)「…?」
その道中、不思議な影を見た。明かりは星のみだが、確かに姿が見える。
(ハルブレット)「まさか、こうも上手くいくとはな。」
(アルザサ)「言っただろう。油断ができると。それに、"何故か封印が脆い"。解除条件を創っておこう。」
クラマドは、アルザサ達を知らない。だが聞いた。
グラン達が戦ったという、竜型の存在を。
(クラマド)「動くな。そこで、何をしている?」
一瞬でも動けば、叩き切れる。
(アルザサ)「…。落ち着きたまえ。まずは話を…」
ーザン!!!ー
アルザサを二つに分けた。
(クラマド)「今、何かしようとしたな!!!微かだが感じたぞ!!!」
身に入る何かを感じた。
(ハルブレット)「どうする?殺すか?」
ハルブレットは一瞬で、戦闘態勢に入っている。容易には殺せない。
(アルザサ)「待て、落ち着け。あれこそが"可能性"だ…。二人共、構えを解け。」
ハルブレットは剣を仕舞った。クラマドは警戒を続ける。
(アルザサ)「支配の力を流そうとした。すまなかったな。」
二つに斬られた状態で、淡々と話し始める。
(アルザサ)「良ければ我々と、対話をしないか?」
ーザン!ザン!ー
両手を斬り、力を削ぐ。
(クラマド)「とぼけるな。カブナラの造物だろう。話すことは、何も…」
(アルザサ)「いいや。あるとも。」
食い気味に、クラマドの言葉に割って入る。
(アルザサ)「"君はきっと、苦悩しているのではないか?間違いだと分かっていても、諦めきれないものがある。"」
思っている感情を当てられた。
(クラマド)「(なんだこいつ…。あの一瞬で、読まれたのか…?)」
(アルザサ)「"私は思う。"君が正しいと"。まとめると、分かりやすいぞ。カブナラは私欲のため、殺戮の限りを尽くした。創造神の目的は不明だが、宇宙消滅は、一方的な虐殺に過ぎない。だが君は、"とても命を思っている"ではないか"。」
結論が、崩壊していく。歪な骨格に、起こるべきではない肉付きが始まる。
(クラマド)「死んだあとも魂として、命は存在する…。」
(アルザサ)「"創造神を殺し、理を書き換えれば、何も問題はない。"死した者全てが復活し、死が消えた理想郷ができる"。それに君には、死の匂いがある。何度か死ねるならば、目的失敗は起こりにくい。どうだろう?何も間違いは、ないと思うが"。」
無となったクラマドの心は、なくなった。
生きる目的を。偉大なる夢を見つけた。
(クラマド)「"偉大なる、神殺し"…。」
ーーガラハハの家ーー
ガラハハはよく寝て、よく食べるのだが、ここ最近はどれもとっていない。
ーバチバチ!!!ー
電気の唸りが発生した。力の開発が、上手くいっている。
(ガラハハ)「よし…。いい感じだ。キリもいい。今日は寝るか。」
ードンドン!!!ドンドン!!!ー
異常なほどに、扉が叩かれている。
(ガラハハ)「誰だ?こんな暗い時に…。」
慎重に扉へと近付き、手をかける。
(メイ)「ガラハハ!!!クラマドが…!!!」
メイの声だ。
(ガラハハ)「何があった!!!」
メイは焦っている。
(メイ)「見たの…!クラマドが、神の星を離れる…!!!取り返しが、つかなくなる…!!!」
ーバッ!!!ー
メイを抱え、クラマドの元に急ぐ。
(ガラハハ)「場所は!?」
(メイ)「ガルツハーツの裏…!ドッキーノ達の墓だよ…!」
涙を堪え、伝える。
(メイ)「お願い…。どうか…。」
結果がどうなのか、知っている。それでも祈ることは、辞められない。
ーーーーー
ガルツハーツが見えてきた。裏の丘まで、そう距離はない。
(ガラハハ)「もう少しか…!」
(メイ)「ガラハハ…。」
メイはガラハハの肩を叩き、震える指で"それ"を指した。
(ガラハハ)「なんだ、あれ…。」
理解できるものではないと、一瞬で感じた。
ーゴゴゴゴゴ!!!ー
大轟音が広がり、空一面が黒で染まる。
そして星を握り潰せるほどの手が、生えてきている。
ーギュイイイイン!!!ー
その指先が、丘の上にいる何かに触れた。
眩い光ではなく、全てを呑み込む闇が、丘上から広がる。
(ガラハハ)「クソ!!!前が見えない!!!」
ーゴルゴル!!!ー
黄金の光さえも、呑まれていく。
(メイ)「そのまま前に行って!!!何かにぶつかる!!!」
ードスン!!!ー
メイの言う通りに進むと、丘上の岩にぶつかった。
ーガコン!ガコン!ガコン!ー
聞き馴染みのある音。けれど、どこか違う。
(ガラハハ)「鐘の音…?緊急事態ってことか…?」
(メイ)「いや、違う…。鐘の音じゃない…。昔、裁判で聞いた、
"天秤の音"…。」
"天秤"の音は変わらず鳴り響き、その変わりに、闇が消えた。
(ガラハハ)「"宇宙消滅の原因"…。"創造神"…?」
(創造神:???)「…。」
全貌こそ見えないがそれは、"創造神"と"ゴット"が言う者だった。
(メイ)「ガラハハ!!!クラマドが!!!」
クラマドは空へと手を向け、創造神と触れている。
(クラマド)「お前を殺しに行くぞ…。"創造神"…。」
ーシュン!!!ー
創造神は、最初からいなかったかのように、瞬きの内に消えてしまった。
(ガラハハ)「クラマド!!!」
丘上にいる、クラマドを呼ぶ。
(クラマド)「来たか。」
振り返ったクラマドの目に、光はなかった。
あるものは闇。身から溢れ出る、黒い力。
(ガラハハ)「何してる!戻ってこい!!!」
(クラマド)「断る。やりたいことが、出来たからな。」
(ガラハハ)「だったら全員で…!!!」
全員は、もういない。もう二度と、あの日々には戻れない。
(クラマド)「お前達に、歩めるのか?」
(ガラハハ)「は!?一緒に歩けるから、今まで過ごしてきたんだろう!!!これからだってそうだ!!!」
(クラマド)「不可能だ!!!三十二人が死んだんだぞ!!!」
(メイ)「そのために、宇宙を滅ぼすの!?」
天秤に乗るもの。それは"宇宙全ての存在"と、"死んだ三十二人の犠牲者"。
(クラマド)「そうだとも!!!全てを滅ぼし、一から創り直す!!!死など、存在すべきではないんだ!!!」
ガラハハの心に、灼熱の火が燃え上がる。
恐怖や後悔。愛情に悲しみ。様々なもので形成される、怒り。
ーゴルゴル!!!!!ファアアアン!!!ー
ありったけの、黄金を放出する。
それは固形ではなく光となって、ガラハハに纏った。
(ガラハハ)「クラマド!!!!」
(クラマド)「安心しろ…。お前達も、しっかりと…。」
クラマドに向かうガラハハ。ガラハハに向ける、攻撃。
ーサァァァン…。ズザアアアアン!!!!!ー
小さな、鋭い音が広がる。
それは轟音の斬撃となり、ガラハハを容易に吹き飛ばし、空間を歪めた。
(ガラハハ)「ッグ…!!!ッガハ!!!!!」
痛みに抵抗したが、意識が沈没していく。
力を入れても動かない。手を伸ばしても、届かない。
(メイ)「ガラハハ!!!」
ガラハハは生きている。けれど遠くまで飛ばされた。
(クラマド)「メイ!覚えておけ…。私の決意は、運命などには変えられない!!!絶対的結末!!!」
クラマドの身から溢れ出る、強力な力。それを纏わせ、手を掲げる。
(悪の神:クラマド)「"これより先は、覚悟の旅!!!
私だけが歩める、悪の道!!!"」
クラマドが浮かんでいく。二体の影を、引き連れて。
みんなで歩んだ、今までの日々。どれもかけがえのない思い出。
けれどその道は。
もう二度と戻れない、後悔の日々。
ーーー《成績表:ルマノ》ーーー
ーー「評価観点」ーー
【創造性】創造性は、新たな存在や概念を生み出す力そのものではなく、創造に向き合う姿勢と、その結果に対する責任を含めて評価する。
・創造への関心・意欲:3
・創造の独自性・発想力・構築力:3
・創造物への責任意識:3
【神威性】神威性は、権能の強さだけでなく、その力を自覚し、制御できているかを含めて評価する。
・権能への自覚・態度:5
・権能の強さ:4
【精神性】精神性は、内面の成熟度を評価する。
・精神の安定:4
・欲望・感情の制御:4
・他者への尊重:5
【知性】知性は、知識量だけでなく、過去を知り、現在を理解し、未来を思考できるかで評価する。
・知識獲得への意欲:3
・歴史や勉学の理解力:3
・未来の想像力:3
【信頼性】信頼性は、教師だけでなく、学生間による相互評価で評価する。
・他者との協調性:5
・信用の貯蓄度:4
なお、本評価は絶対的な優劣を示すものではなく、時代・世界状況・観測者によって変動する場合がある。それを踏まえ、 評価段階を以下に記載する。
ーー「評価段階」ーー
5:[原初の神]原初の神々と並ぶと判断した場合にのみ記される特別な値。
4:[四大神]狭間の壁は厚く、超えられた者は四大神へと近付く。
3:[狭間]狭間を超えるには、他との差が必要。
2:[眷属級]眷属級を超えられなければ、創造物を生み出すことは困難。
1:[神獣級]神獣と遭遇しないよう注力するか、自身を鍛えよ。
ーー「総評」ーー
比較的安定した能力を有しており、特に信頼度の高さには目を引くものがある。
力や精神。信頼という三つの要素は、間違いなく四大神の領域に、足を踏み入れている。
評価の安定度を見て、総合点は四。四大神候補とする。




