24:死にも訪れる
こんばんは、深緑です。
過去篇は、もう少しで終わります。
『神々のファンファーレ【24:死にも訪れる】』
ーー死の星ーー
ガラハハとユメは、何も言わないメイとクラマドについて行った。
薄々とだが、どこに向かっているのか。
何をしに行くのかは分かっている。
(クラマド)「暗いな。」
夜ではないはずだが、不気味で暗い雰囲気。
空が曇っている。これでは、星の光は通らない。
カブナラが意図的にやっているのだろう。
(ユメ)「死って、感じ…?」
恐る恐る、答え合わせを始める。
(メイ)「ここは、"死の星"。」
(ガラハハ)「…。"殺るんだな"。」
ガラハハは覚悟を決めた。友がそれを歩むなら、自分も行く。
(メイ)「行こう。場所は分かってる。結果も全部。」
メイが先頭で、カブナラへの道を進む。
崩壊した景観。死の星に、命は感じない。
カブナラにとって星とは、自らの実験場。何者にも邪魔されない、理想郷。
(ガラハハ)「待て。人がいるぞ。何やってるんだ、あれ?」
ガラハハは、その行為を知らなかった。
(死信者)「死を…。カブナラ様…。」
膝をつき、両手を握る。懇願である。
(クラマド)「諸悪の根源に、救いを求めるか…。」
カブナラは、幾度も実験した。成功したものと失敗したもの。
彼にとって、大成功と言える実験。
それは"不死性の研究"であり、与えられた者は不死となる。
如何なる苦痛にも耐え抜く、永遠たる傀儡に。
そして不死に死を与えられる者は、たった一人。カブナラのみ。
(クラマド)「私達が彼らにしてやれることは、ただ一つ。カブナラの死だ。」
カブナラが死んだ時、彼らの復讐心は消える。
それは終わりであると同時に、終わらない夜の始まりである。
ーーーーー
異質に建つ、大きな建物。その先に、カブナラはいる。
(ガラハハ)「俺が開けよう。」
ーゴルゴル!!!ー
黄金を生成し、扉を押す。
どこに死があるか分からない以上、警戒した方がいい。
(クラマド)「いるぞ…。」
中に入り進むと、生活感ある空間。その中心に、カブナラがいた。
目を閉じ動いていない。寝ているのだ。
(カブナラ)「…?…!!!君達は…!」
向けられる、黒き感情。それはカブナラの意識を呼んだ。
(カブナラ)「ハハッ…!!!まさか、僕を殺しに来たのかい!!!」
感情が、一気に高まった。
向けられる黒き感情も、面白ければいい。死すら娯楽へと変換する。
ーバオオオ!!!ー
手を向けてきた。空間の死が来る。
(メイ)「来るよ!!!言った通りに!!!」
ーザン!!!ー
カブナラは斬られた。手を向けるより速く。
(カブナラ)「ッグ…!なに…?」
カブナラは腹を抑え、警戒する。警戒の目は次第に、軽蔑の目へとなる。
(カブナラ)「知らない子がいる…。やけに、動きが的確になったね。ねぇ。君は今にでも、飛び出したいんじゃないのかな?」
情報を組み立て、考察する。それを確証にするため、クラマドを釣る。
(クラマド)「お前の死は確定だ。必ず、お前はここで殺す…!!!」
(カブナラ)「そうかい。決められた道なんだね。なら僕はそれを、くだらないと言うよ。完全な力なんてものは、存在しない。君に感情がある以上、綻びができる。僕はその綻びを、破壊する。とても強固だろうけどね。でもいいよ。難しいことは、楽しいことでもあるからさ。」
嫌いなことに、楽しさを見出した。
確定した死を向けられても、カブナラが逃げることはない。
(カブナラ)「さて。運命をこじ開けさせてもらうよ。」
ーーーーー
(カブナラ)「ッグ…!!!」
予見した戦闘でのカブナラは、拍子抜けだった。
(カブナラ)「もはや、怒りを通り越しているよ…。全く攻撃が当たらないっていうのは、こうも面白いなんてね!!!」
ーゴルゴル!!!バシュン!!!ー
見えない斬撃のみならず、黄金と光る光矢もくらってしまう。
ガラハハ達の攻撃全てが命中し、カブナラの攻撃は何一つ当たらない。
(クラマド)「死。触れられたら即死の、最強に近い力。だが当たらない時、お前は何の意味をもてる?」
クラマドの言葉を聞き、カブナラは止まった。
(カブナラ)「ッフ…。意味は、君が与えてくれるよ。」
カブナラは腕を広げた。戦う気は、もうない。
(断絶:クラマド)「そうか。なら、無意味だ。」
ーサアアアアン!!!ー
鋭い斬撃が放たれたと、音で理解した。
(カブナラ)「ッガハ!!!」
カブナラは血を吐き出し、静かに崩れ落ちた。
(メイ)「カブナラを倒した…。道を、選べた…。」
無数に広がる運命を予見し、組み立てた完全な道。何一つ、間違いはない。
(クラマド)「終わったのか。復讐は、これで…。」
カブナラの命を奪ったクラマド。もう灼熱の怒りは消えた。
ただその熱が消えたことで、クラマドの心は無になった。
(ガラハハ)「終わりは呆気ないんだな。例えそれが、特別な存在でも。」
ーバオオオ!!!ガシッ!!!ー
目の前に、死が広がった。隔たりの壁が。
そしてその壁越しで、見ていることしか出来ない。
(ガラハハ)「クラマド!!!」
カブナラは死にかけているが、何もせず退場する気はない。
クラマドの足首に触れている。
(メイ)「大丈夫!みんな死なないで、カブナラは倒せるから!!!」
メイは見た。全員が生存し、カブナラを倒す運命を。
何一つ、間違いはないはずだ。
ーザン!!!ー
足首に、一瞬だけ触れられた。カブナラに斬撃を浴びせ、吹き飛ばす。
(カブナラ)「君に、死を授けるよ…。死は時に、加護にもなる…。
"クラマド"…。いつかこの力が、君に役立つことを…。」
身に力が入ってくる。それは死の加護。死を回避する力。
(クラマド)「"耐死"か。まぁ神人である以上、価値あるものだとは思わはないが。」
クラマドは表情を一つも変えることなく、死の加護を受け入れた。
(メイ)「ハァ…。ハァ…。」
メイは何故かこの状況に、鼓動が早まる。
(カブナラ)「少し、予見と外れたようだね…。君の後悔を、刺激してしまったかな…?」
(メイ)「何で、ズレたの…?」
(カブナラ)「綻びだよ…。言っただろう…?君に感情がある限り、完全な運命は存在しないって…。感情は綻びを生む…。僕を殺すことに、注力し過ぎたようだね…。なるべく苦しむようにとか、考えちゃったのかな…?それが唯一の、君がもつ弱点だ…。これから先、君達が苦悩するといいな…。苦悩こそが、若さを育む…。残念なのは、僕がそれを…」
ーザン!!!ザン!!!ザン!!!ズザザザザ!!!ー
クラマドは、ありったけの斬撃を浴びせた。
(クラマド)「落ち着けメイ。何も問題はない。少し、ズレただけだろう?」
みんな生きている。確かに大きな問題はない。
(カブナラ)「 」
実際カブナラは、もう息絶えている。
(メイ)「ごめん…。みんな…。倒した後の未来を、そこまで見なかった…。」
メイは無数の運命を、予見することができるようになった。
それは一つを掴むために、目覚めた力。
だが結果として、カブナラの死という一に固執してしまった。
カブナラが即死を使わなかったことが、何よりの幸運だ。
(クラマド)「神の星に戻ろう。もう、終わったのだしな。」
ーゴゴゴゴゴ!!!ー
神の星から去ろうとした時。地面が唸り、盛り上がった。
(ユメ)「星の崩壊!!!」
(クラマド)「私の影響か。」
クラマドが放った斬撃。
強力な斬撃は、あらゆるものを貫通し、星の内部まで斬っていた。
(ガラハハ)「人を助けるんだろ!?不死の奴らは放置でいいのか!?」
(メイ)「うん。少ないけど普通の人達がいるから、その人達は助ける。不死の人達は、そのうち別星につくから。」
ガラハハ達は建物から出て、人を助ける。そして死の星を脱出する。
ここから先は、完璧な道だ。
ー"人が虫を殺し、神人が人を殺す…。何も、変わらないことだよね…。"ー
(クラマド)「…!?」
クラマドは足を止め、カブナラの死体を見た。
確実に息はない。幻聴だろうか?
(ガラハハ)「クラマド!!!速く行くぞ!!!」
クラマドは、ガラハハ達の少し後ろを追い、建物から出た。
(カブナラ)「 」
ーーーーー
ーゴゴゴゴゴゴ!!!ー
強まる地響き。大きく広がる亀裂。
(アルザサ)「剣を持て。"ハルブレット"。」
ースッ…!ー
カブナラと同じように、手を向ける。
ーバオオオ!!!ー
空間が意味を失い、遠くに刺さった剣が手に収まる。
(黒騎士:ハルブレット)「カブナラが死んだようだな。」
死の使徒、"黒騎士:ハルブレット"。
漆黒の鎧に身を包み、赤剣を得物とする。
カブナラほどではないが、死の力をもつ。彼が進む道に、生者はいない。
(アルザサ)「星を出るぞ。」
万全とはいかないが、飛行ができるほどには再生した。
(ハルブレット)「帰る場所がなくなるな。何をして生きていくか…。」
主が死に、目的がなくなった。
(アルザサ)「行く場所がある。」
(ハルブレット)「…?行く場所はないだろう。カブナラの、死の悪名は広すぎるぞ。」
死がもたらした影響は大きい。死が死したあとも、それは残り続ける。
(アルザサ)「神の星へと戻る。戦力確保と新たな主を求めに。叶うかどうかは、分からないがな。」
ウルスペラの封印解除。カブナラから聞いた、"可能性"。
(ハルブレット)「警戒が強そうだが。」
(アルザサ)「いや、今こそが好機だ。程よい時間が経過した時、油断ができる。それを突くぞ。」
ーーーーー
ガラハハ達は、辺りを飛び回った。逃げゆく人々を、一箇所に集めていく。
ーバゴン!!!ゴゴゴゴゴ!!!ー
星の崩壊が加速していく。真っ二つになるのはすぐだ。
(ユメ)「ガラハハ!!!もう時間がないよ!!!」
(ガラハハ)「分かってる!!!こいつらで全部のはずだ!!!」
ーゴルゴル!!!ー
集めた人々を、黄金で包む。
(人)「これは、どこへ行くのですか…?」
あまりにも急なこと。不安や疑問が出るのは当然だ。
(クラマド)「ここより良い場所だ。それは間違いない。」
(メイ)「飛ぼう!そろそろ割れる!!!」
人を包んだ黄金を動かし、ガラハハ達は死の星を離れた。
ードゴオン!!!ゴゴゴゴゴ!!!ー
死の星が、完全に割れた。
(死信者)「あぁ…。カブナラ様…。」
死の星を離れていく時。死した主に懇願する、信者達の姿が見えた。
(ガラハハ)「すまないな…。お前達も、本当は助けたいんだが…。」
信者達は皆、不死の体質。宇宙空間でも生き延びるため、救助対象ではない。
それに死に関連する者達を、神の星へと連れて行くのは危険だ。
ガラハハ達は祈り、死の星を去った。
信者達が無事、どこかの星へと辿り着き、幸福を得られることを。
彼らから得た懇願をもって、祈りを授ける。
ーーーーー
半分に割れた星を、アルザサ達は見ている。
次第に星は、半分ではなくなっていく。四つ、八つと、細かくなった。
(ハルブレット)「星が崩壊すればそのうち、無へとなるのだな。」
それが星の死。
(アルザサ)「さらば。カブナラよ。あなたとの日々は、輝いていたぞ。」
主の死は、悲しくない。主の死は、未来を生んだのだ。
(アルザサ)「行くか。神の星へ、再び。」
ーーー「死と生」ーーー
死とは不完全な生を与えるものであり、生とは正しい死を与える力である。
ーーー「死の使徒」ーーー
・悪魔の王:アルザサ
・黒騎士:ハルブレット
ーーー《成績表:カブナラ》ーーー
ーー「評価観点」ーー
【創造性】創造性は、新たな存在や概念を生み出す力そのものではなく、創造に向き合う姿勢と、その結果に対する責任を含めて評価する。
・創造への関心・意欲:5
・創造の独自性・発想力・構築力: 5
・創造物への責任意識:3
【神威性】神威性は、権能の強さだけでなく、その力を自覚し、制御できているかを含めて評価する。
・権能への自覚・態度:5
・権能の強さ: 5
【精神性】精神性は、内面の成熟度を評価する。
・精神の安定:5
・欲望・感情の制御:4
・他者への尊重:4
【知性】知性は、知識量だけでなく、過去を知り、現在を理解し、未来を思考できるかで評価する。
・知識獲得への意欲:5
・歴史や勉学の理解力:5
・未来の想像力:5
【信頼性】信頼性は、教師だけでなく、学生間による相互評価で評価する。
・他者との協調性:2
・信用の貯蓄度:2
なお、本評価は絶対的な優劣を示すものではなく、時代・世界状況・観測者によって変動する場合がある。それを踏まえ、 評価段階を以下に記載する。
ーー「評価段階」ーー
5:[原初の神]原初の神々と並ぶと判断した場合にのみ記される特別な値。
4:[四大神]狭間の壁は厚く、超えられた者は四大神へと近付く。
3:[狭間]狭間を超えるには、他との差が必要。
2:[眷属級]眷属級を超えられなければ、創造物を生み出すことは困難。
1:[神獣級]神獣と遭遇しないよう注力するか、自身を鍛えよ。
ーー「総評」ーー
全体的に、極めて高い評価を有している。
高い創造性、知性を活かしての造物制作力に長けており、常に安定した精神性をもち、クラスの柱として機能している。
死という危険な力に対しての態度も優れており、容易にその力を使わないことは、大変素晴らしいことである。
現状の評価を鑑みて、原初級と決定。四大神は確実であるが、他者との関わりを深めると、更に卓越した能力が得られるだろう。




