20:赤字の貼り紙
こんばんは、深緑です。
今回あとがきに書いた成績表は、メイのものです。
なるべくその話で、関係するキャラクターにしています。
『神々のファンファーレ【20:赤字の貼り紙】』
ーー校庭ーー
赤字の貼り紙が貼られていた日から、数週間の時が流れた。
いろんな出来事があったがその一つは、"管理局"による警備が続いていること。
きっと管理局による警備は、原因が解明されるまで続くのだろう。
(ユメ)「先生達は大丈夫って言ってたけど、やっぱり気になるよ。」
(ガラハハ)「神人を殺す、か…。」
二つ目は、クラスが確定したこと。
朱ノ鳥。力を主として学ぶクラスには、変わらずクラマドとガラハハ。
やはり二人にとって、力の差はつけたくないのだ。
蒼の竜。心を主として学ぶクラスには、変わらずアリオネとドッキーノ。
白の狼。友情を主として学ぶクラスには、ユメとルマノ。
そして、グランが移動した。
彼の力が既に強大なことは、自分で理解しているだろう。
だからこそ、その力を引き上げる別の学びを選んだ。
黒の獅。知識を主として学ぶクラスには、変わらずメイとベロニカ。
以上四クラスに、彼らは決めた。
(ドッキーノ)「今でも話題だよ。暇さえあればその話。忘れそうになると思い出す。」
管理局の監視は至る所に配置された。
怪しいことはしていないとアピールするように、中心に位置する噴水で話す。
(クラマド)「一定の不安が、全員に染み込んだ。起こるか分からない"ゴットの大予言"より、明確な信憑性がある。」
(メイ)「誰がやったんだろうね。」
もう誰も、メイに探せとは言えない。
実際そのような流れへと少しもっていったガラハハ。
だが意図的に権能を抑え続けてきた結果、遥か先の未来まで予見することは出来なくなったらしい。
―ゴーン!ゴーン!―
昼休み終了を知らせる、校舎の鐘が鳴る。
(ユメ)「あ!行かないと!」
(ドッキーノ)「みんな、気を付けてね。」
ガラハハ達は急ぎ、教室へと戻った。
ーー校長室ーー
校長室。ルモンドーはあの後貼り紙を見続け、熟考した。全知神の権能。
それは圧倒的知識量から成る、思考の極地である。
(ルモンドー)「生徒によるイタズラか…。あるいは別の者…。だがこの字は…。」
考察を膨らませ、ある連絡を待つ。
(エリザ)「校長。管理局より連絡がありました。」
"エリザ"。校長の側近である彼女が、管理局の連絡を受け入ってきた。
(ルモンドー)「なんと?」
答えが出るまでの時間。
あらゆる時を生きてきたルモンドーでさえも、慣れる時間ではない。
何故なら手紙の主は、"ガルツハーツの卒業生"。ある一人を名指しで探させた。
その者は卒業式にて四大神に選ばれた、優秀な学生。
強いて短所を言うならば、人付き合いをしないということ。
ただ誰もが、それを霞める彼の未来を描いただろう。
それは光に匹敵ほどするの未来であったはずだ。だがその学生卒業後。
聞いた話題は、光などではなく。
(エリザ)「あの字は我が校の卒業生、"カブナラ"の字体に完全一致しています。そして、"現在の性格"を考えると…。」
ルモンドーの理想は叶わなかった。
貼り紙が事実である以上、卒業後の彼の話題が、真実であるということ。
(ルモンドー)「"死:カブナラ"。"終末の神々:グレート・オールド・ワン"に認定されたのは本当だろうな…。」
"終末の神々:グレート・オールド・ワン"。
宇宙に害をもたらす者達を、管理局はそう呼称する。
(エリザ)「彼の成績や態度はとても優秀で、誰一人彼の狂気を知ることはありませんでした。」
(ルモンドー)「隠していたということだ…。」
(エリザ)「管理局は、"死の星"を監視すると言っています。」
(ルモンドー)「気をつけてくれと、伝えておいてくれ。」
(エリザ)「はい。」
そう言い、エリザは校長室を離れ管理局へと向かった。
一方ルモンドーだが手で目を覆い、椅子にもたれかかった。
(ルモンドー)「ハァ…。私は全知の神などではない…。ただ、長く生きているだけ…。世界は広く、絶対的答えなど存在しない。その都度、最適な答えを見つけなくては…。」
ーー管理局ーー
"管理局"。
神人は強力な力をもつため、星の均衡が崩れないよう、管理する必要がある。
(均衡:ナナンタラ)「"気をつけろ"とな。まぁ、いいだろう。受け取っておく。」
均衡の権能をもつ、管理局のトップ。
(ナナンタラ)「凶星たるをどう見るか…。」
ーーーーー
あれから数ヶ月後。管理局の管理と、死の星の監視は続いた。
そのためか、特に何かが起こることはなかった。
次第に張り紙の話題はなくなり、"誰かのイタズラだった"。
そう解釈し、学生皆が忘れていった。
(ガラハハ)「最近、残ることが増えたな。」
後期に入り、授業はより難度を増し、自主勉強が更に重要となった。
空は暗く、冷たい。
(ガラハハ)「もう冬か。まぁ寒くないから、何か変わるわけじゃないが。」
神人にとって、寒暖は害にならず。
ーザザ!ー
家に帰ろうとしたとき、森の方から音がした。
ガラハハは万が一を考え、慎重に近付いていく。
(人)「いるか?」
(人)「いや、いないみたいだ。」
小声で、二人組の人間が話している。
(ガラハハ)「(人間!?なんでいるんだ?)」
神の星に、人間はいない。
(人)「失敗はできないぞ…。一人、確実に…。」
(人)「"死の神器"で…。」
本能を刺激する、禍々しい武器を持っている。
(ガラハハ)「(人間くらい簡単にやれるが、死の神器ってなんだ?それに一人って…。見て見ぬふりはできん!!!)」
ーバッ!!!ー
ガラハハは立ち、姿を見せた。
(ガラハハ)「おい!そこで何してる!!!」
ーダッ!ダッ!ー
二人の人間が逃げた。
(ガラハハ)「逃がすかよ!」
ガラハハも夜の森へと入っていく。視界が暗い、危険な場所へと。
(ドッキーノ)「ん?ガラハハ?」
ドッキーノ。彼女もまた、ガラハハと同じように遅くまで残っていた。
そして見た。森へと入る、ガラハハの姿を。
ーーユグドラシル森林ーー
(ガラハハ)「どこいった?」
森へと入り、逃げた二人を探すガラハハ。
だが視野が悪く、見失ってしまった。
立ち止まり、周囲を警戒しながら進んでいく。
夜の森はとても静かで、風と神虫の鳴き声が聞こえる。
この環境で、逃げた二人を探さなければならない。
あまりにも静かで、緊張する。
ーガサガサ!!!ー
草が揺れた。
(人)「死ね!神人!!!」
人の手には、死の神器と呼ばれていた物。
それが禍々しく光り、今かとその時を待っている。
ーポワポワ!!!ー
暗い森の中。一本の光が、神器へと命中した。
(人)「っな…!神器の力が…!!!」
その光が命中すると、死の神器は禍々しさを失った。
(ドッキーノ)「ガラハハ!やるよ!」
ドッキーノが隣で構えた。二対二。戦力差は明らかだ。
(人)「神器が使えなくなった…?」
(人)「ならいい!あれをやるぞ!!!」
ーダン!!!ー
神器を地面に叩きつけ、相手も構えた。
力を失った神器は崩壊し、構えた彼らの姿が変わっていく。
(???)「グオオオ!!!」
その二人は、凶暴な見た目へと変貌した。翼が生え、手は強靭に。爪は鋭く。
(ガラハハ)「なんだこいつら!?なんか憑いてんのかよ!」
(ドッキーノ)「あとにしよう!今は集中して!!!」
ーーーーー
ーゴルゴル!!!ー
ガラハハは黄金の光で周囲を照らし、黄金剣を周囲に展開した。
ーザザザ!!!ー
黄金剣は二人の人間だった者に、これまでかというほどに刺さた。
(ガラハハ)「どうた?人間相手にやりすぎたか?」
確かに人間相手には、過剰すぎた攻撃。
(???)「ッウ!ッグ!!!」
だがその二人は剣が刺さっても、かろうじて動いている。
(ガラハハ)「なんでこいつら動けるんだ!」
(ドッキーノ)「ガラハハ離れて!」
ドッキーノに手を引かれ、ガラハハは後ろに下がった。
(???)「ッグウオオオ…。」
その二人は這ってガラハハ達の方にやってきたが、次第に止まった。
(ガラハハ)「死んだ…?」
ガラハハ達は警戒し、倒れた二人を観察した。息絶えたと決め、近付く。
(ガラハハ)「神器がない。少しでも残ってるかと思ったが…。」
崩壊した神器は、欠片も残ることなく消滅してしまった。
(ドッキーノ)「先生を呼びに行こうよ。」
(ガラハハ)「あぁ。こいつら運ぶぜ。」
ガラハハは黄金に二人を乗せ、ドッキーノと共に森を出た。
ーーーーー
入口前へとその二人を運び、教師を呼びに行ったドッキーノを待つ。
(エリゼ)「この者達、確かに息がありません。」
(ルモンドー)「二人共。心身ともに無事か?」
(ガラハハ)「えぇ。」
(ルモンドー)「管理局にはこれから報告するが、今日はもう遅い。事情は明日聞こう。」
(ドッキーノ)「はい。」
(エリゼ)「二人を担当教師に送らせます。いいですね?」
(ルモンドー)「あぁ。」
ガラハハとドッキーノは、それぞれの担任同伴で帰宅した。
(ルモンドー)「神の星に人。それにこれは、"カブナラが創生した造物"。」
(エリゼ)「"悪魔"ですね。ただこの者達には、不完全に憑いていたようです。それに神の力なしに、星を渡ることなどできません。」
(ルモンドー)「この者達を連れ、管理局には私が行く。手をうたなくては。学生達を守る、我々の役目。」
忘れ去られようとしていた、張り紙の一件。
それは止まってなどおらず、水面下で徐々に動いていた。
ーーー《成績表:メイ》ーーー
ーー「評価観点」ーー
【創造性】創造性は、新たな存在や概念を生み出す力そのものではなく、創造に向き合う姿勢と、その結果に対する責任を含めて評価する。
・創造への関心・意欲:3
・創造の独自性・発想力・構築力:3
・創造物への責任意識:3
【神威性】神威性は、権能の強さだけでなく、その力を自覚し、制御できているかを含めて評価する。
・権能への自覚・態度:4
・権能の強さ:2 ※5
【精神性】精神性は、内面の成熟度を評価する。
・精神の安定:2
・欲望・感情の制御:3
・他者への尊重:4
【知性】知性は、知識量だけでなく、過去を知り、現在を理解し、未来を思考できるかで評価する。
・知識獲得への意欲:5
・歴史や勉学の理解力:5
・未来の想像力:4
【信頼性】信頼性は、教師だけでなく、学生間による相互評価で評価する。
・他者との協調性:3
・信用の貯蓄度:3
なお、本評価は絶対的な優劣を示すものではなく、時代・世界状況・観測者によって変動する場合がある。それを踏まえ、 評価段階を以下に記載する。
ーー「評価段階」ーー
5:[原初の神]原初の神々と並ぶと判断した場合にのみ記される特別な値。
4:[四大神]狭間の壁は厚く、超えられた者は四大神へと近付く。
3:[狭間]狭間を超えるには、他との差が必要。
2:[眷属級]眷属級を超えられなければ、創造物を生み出すことは困難。
1:[神獣級]神獣と遭遇しないよう注力するか、自身を鍛えよ。
ーー「総評」ーー
卓越した知性を有し、理解すること。自身の権能と向き合うことに長けている。
一方で、予知の権能が強力であるが故に苦悩し、精神の乱れ・権能を抑え込んでいる節がある。
そのため、知性を権能の弱体化に注ぎ、自身を追い込みすぎてしまう点には注意を要する。
あなたの権能は、誰かを救うことができるのだから。




