17:闇の空
『神々のファンファーレ【17:闇の空】』
ータイダル・オーシャン(病棟)ー
あれから数日後。神域は崩れ、クラウンの光は失われた。
そして、クラマドは消えた。
ーガラガラ…。ー
扉を開け、入る。
(ラペット)「また、空を見てるの?」
(ソニア)「…。」
ソニアは窓のカーテンをずらし、外の景色を見ていた。
(コール)「闇の空なんか見て、気分は良くならないだろ。」
クラマドの影響で、空は闇に覆われた。
今が朝なのか昼なのか。夜なのか分からない。
(ソニア)「いつ、クラマドが来るのかなって…。」
無気力なソニア。
(コール)「色々と情報が出てきてな。情報入れて、切り替えようぜ。」
ーーーーー
コールから今の状況が話される。
ソニアは治療中だったため、ほとんど知らない。起きたのは最近だ。
(コール)「まず、クラマドは消えた。神子達がクラマドを探してるが正直、俺達で探せる場所にいるわけないよな。次にクラウンだが、光が無くなった。つまり、もうクラウンに力はない。ただの物体だ。」
それは、魔人を救う手立てを失った瞬間だった。
クラマドを倒す以上、それら造物は救われないのだろうか。
(コール)「それと神域が崩れた。オーシャン海域にほとんど沈んで、一部残ってる感じだな。んでそこにいる奴に、動けるようになったら全員で来いって言われてる。」
次の目的は、オーシャン海域に落下した神域跡地。
そこで待っている人に会いに行く。
(ソニア)「そうか。そういえば、タイダルは?」
ラペットとコールは、ソニアから目を逸らした。
(ラペット)「無事だよ…。けど、意識が戻ってない…。ずっとね…。」
(コール)「俺達そろそろ行くぜ。やることが多くてな。」
コールは少し急ぎ目に、話を畳んだ。
(ソニア)「分かった。また。」
ーガラガラ…。ー
二人が出ていき、天井を見る。
特に考えが浮かばない。何をすべきなのか。これから何が起こるのか。
ーガラガラ…。ー
また扉が開いた。
(ソニア)「コール?ラペット?」
横目で見ると、考えていなかったことを思い出した。
間違いなく大事な、大切な者。
(シフォン)「ご無事で何よりです。」
シフォンの隣にミルル。ミルルに抱き上げられている、ソフィア達がいる。
ソニアの家族。消して揺るがぬ、宝物。
ーーーーー
(ソニア)「シフォン…。」
(ミルル)「あっ…。」
ーバッ!チタチタ…。ー
ミルルの腕から抜け、ソニアの方に進んでいく。
(ソニア)「ソフィア。」
ベットの下から、父を見上げるソフィア。
(ミルル)「一人で行っても上がれないでしょ。」
(ソフィア)「っう。」
後ろからミルルに抱き上げられた。
ーサッ。ー
ソニアの手に移る。
(シフォン)「ソフィア様が会いに行きたそうだったので、会いに来ました。」
(ソニア)「ヤチェは?怒って会いに来たくないか?」
(シフォン)「どうでしょう。それもあるかもしれませんが、"友達"に会いに行くと、行ってしまいました。」
ソフィア達と会い、気持ちが落ち着いたソニア。
だが、ヤチェリーが気になる。会いに行った相手。
その候補は何人か思い付くが…。
ーネオ・ランド・シティ(医療センター)ー
ーシュイーン…。ー
電動扉が開き、かつての友人と再開する。
(風花)「久しぶりですね。"リットリオ"。」
ベットで横になっているリットリオ。
スーツを着ておらず、ハンガーにかけている。
スーツの状態を見ると、長い事着ていないようだ。
(リットリオ)「…?あぁ、いつぶりだ?」
かなりボーっとしている。
(ヤチェリー)「覚えてないの?」
(リットリオ)「昔の記憶が、曖昧になってきている…。」
ネオランドの王子、マンティーエルの多重人格として生まれたリットリオ。
闇の力。その過剰使用によって、精神はすり減っていた。
そして今、限界が来ている。
(リットリオ)「ただ、元に戻るだけ…。この体は俺のものじゃない。そもそも俺は、何者でもない…。生まれることすら、本来はなかったんだ…。」
(風花)「後悔はないのですか?」
(リットリオ)「世界を救う、ヒーローにはなれなかったことだな…。今の世界は太陽すらも。月と星でさえも、光を届けられていない。そんな闇を晴らす世界の英雄に、なっておきたかったな…。」
ータイダル・オーシャンー
時が流れ、数日後。
(ソニア)「空は、闇のままか。」
動けるようになったソニア。装備を整え、門の前で待つ。
(メレキノス)「もういいのか?」
(ソニア)「"メレキノス"。"団に入ったんだって"?」
波動の騎士団。タイダル直下の、精鋭達。
(メレキノス)「いや、仮加入だ。神域がない今、私にやれること。チャリオット達も同じだろう。」
波動の騎士団へと仮加入したメレキノス。
そしてチャリオット。更に、彼女が率いる軍隊。
(ラペット)「あっ!よかった…。ちゃんと治ったみたいで。」
(ソニア)「まだ激しくは動けないけどな。」
(コール)「ソニアが刺されたときは、終わったと思ったぜ…。」
体勢はそれほど崩れていない。
だが相手の力は強大。依然として、こちらが不利だ。
(チャリオット)「皆、揃ったようだな。」
チャリオットと、右翼左翼のオーヴァスとチェックマン。
(チャリオット)「では行こうか。ズゥが先導し、神域跡地へ。ロゼッタが待っている。」
ーーーーー
浜辺に待機している、元タイダルぼっち。ズゥと合流する。
(ソニア)「ぼっち。ズゥ。」
大きさは変わっていない。
ダボダボの布が無くなったことで、輪郭と真の姿が分かる。
濃い碧鎧に、歪な大剣。
(ズゥ)「ソニア。こうして君と言葉を交わせること、嬉しく思うよ。裏大陸への旅路は、穏やかな朝だったね。」
(ソニア)「今回はどう行く?」
(ズゥ)「船を押していくよ。」
姿が変わっても、やることは変わらない。中身が同じだからだ。
(ズゥ)「さぁ、乗って。」
全員が船に乗り、ズゥが後ろから押す。
その速度は凄まじいもの。広大な海が庭なのだ。
ー神域跡地ー
海上に落下した神域。
いくら神の造物であろうと衝撃に耐えられなかったようで、一軒家程度の広さしか残っていない。
(レダリオン)「来たか。無事でなによりだ。」
船をつけると、レダリオンが出迎えてくれた。
(ソニア)「戦ってくれたんだろ?」
(レダリオン)「そう、褒められるものではない。真の善はエルロットだ。本来クラマド探しは、私のほうがやれる。今ここにいるべきで、その言葉を受け取るべきなのは、エルロットなんだ。」
エルロットも無事のようだが、きっと落ち着かないのだろう。
レダリオンの後を追い、ロゼッタへと会いに行く。
(ロゼッタ)「また、この空を見ることになってしまったね…。」
ロゼッタは背を向け、空を眺めている。
(レダリオン)「まだ空を見ているのか?人がいない以上、ここは危険だというのに。」
(???:ロゼッタ)「彼は僕を捨てたんだ。狙いに来ないよ。だから話せる。"僕は、クラマドの魂に入られてた"。それで"彼の記憶があるんだ"。"一体何が、彼を悪の道へと進ませたのか"。でもそれは、過程に過ぎない。"重要なのは、僕が何者であるか"。これからの作戦、クラマド打倒を混ぜて今から話すよ。覚悟はいい?」
全員が無言で頷いた。
(ロゼッタ)「それじゃあ話そう。"神の星で起きた、全てを"。」
ロゼッタは語り始めた。クラマドの過去。自身の原点。
そして、これからの作戦を。
こんばんは、深緑です。
ここから神の星での話が続きます。




