15:それは「黄金」の祝福
こんばんは、深緑です。
最後の扉、最後の試練です。
『神々のファンファーレ【15:それは「黄金」の祝福】』
試練は残り一つ。体を十分休ませ、朝を迎えた。
ースッ…。ー
最後の扉に手をかける。
(ソニア)「これが最後の扉…。」
これまでの試練を思い返す。
軍隊:チャリオットとの対面。試練を与えられた瞬間であった。
血水の女神:フォルンナ。神子との力量の差を知る機会になった。
追い足:ドナドナ。波動の限界を引き上げる存在になった。
嫌悪の姉妹:ラノラノ。波動の限界を超える体験をした。
大地の化身:D・D・Dレックス。化身と王。その力の大きさを知った。
神父:レダリオン。魔法を極めた存在として、今までの神子達とは格が上がった。
異形の蟹刀:メレキノス。圧倒的身体能力で、ソニア達四人の強さを完成させた。
(ソニア)「よし…。これが最後だ。」
ーギギギ…!!!ー
最後の扉を開け、最後の試練へと挑む。
ー戦金のエルドラドー
ーバシャアアア…!ファアアア!!!ー
最後の空間。黄金の水に、黄金の空。
(ソニア)「黄金郷…。」
地は黄金の砂。建造物も黄金。あらゆるものが、黄金で彩られている。
正しく、黄金郷。
(タイダル)「目指すべきは、あれだな。」
扉から正面に伸びる道。
ソニア達は覚悟をもって歩き、神殿へと向かっていく。
ーーーーー
ーゴゴゴ…!!!ー
入口である黄金の大扉を、四人で開けた。
ースタッ…。スタッ…。ー
神殿の中を少し歩く。中はとても広く、戦うための場所として創ったようだ。
(???)「…。」
(コール)「寝てるのか?」
立ち止まったソニア達。玉座にもたれかかる、黄金鎧の者。
(ラペット)「椅子で寝るの?」
ソニア達が油断した一瞬。
ーゴルゴル!!!ー
神殿が激しく揺れ、一気に気が締まる。
ースッ…。カチャ…。ー
黄金鎧の者が、ゆっくりと立ち始めた。
(???)「"クラウン"。亡き父の遺産。今日のため、守り続けてきた。戦士達に、思いを授けるために。これより、最終試練。」
ーザザザ!!!ー
黄金鎧は手を払った。すると剣が、瞬時に生成された。
(黄金神:エルロット・ドラード)「我が名は、"黄金神:エルロット・ドラード"。善の神:ガラハハの子であり、クラウンの守護者である。」
ソニア達の前に立つは、"真の神子"。つまり、"神"。
(コール)「正真正銘の神…。倒したらとんでもないよな!!!」
(ラペット)「輝く憧れ!!!」
覚悟を整える。
(エルロット)「クラウンを求め、やってきたのだろう?」
(ソニア)「もちろんだ!!!」
最終試練開始。
ーーーーー
エルロットは片手に黄金剣を握り、片方の手を鉤爪のように構えた。
するとその手に沿って、黄金の爪を纏った。
ードン!!!ガガガ…!!!ー
ザスとアーを宿し黄金の爪を攻撃するが、擦った程度だった。
(コール)「なっ…!硬すぎるだろ!」
弾かれ、後ろに飛んでいくコール。
そのコールを追うように、床から音が鳴っている。
ーガガガ!!!ー
鋭い黄金が、床から生えてきた。
(ラペット)「コール!」
ーダン!ー
ラペットがコールの前に立ち、鋭い黄金の進行を止めた。
ーヂュミミミ!!!ー
ソニアは背後に周り、波動を纏わせた剣で攻撃する。
ードオオオン!!!ー
迫力は十分だが、エルロットを少し後ろに下がらせただけだった。
ーギュイイイン!!!ー
後ろに下がった隙を狙うように、タイダルは凝縮した水を構えている。
ードゴオオオ!!!ー
エルロットは水の流れに呑まれた。
(タイダル)「さぁ、どうだ…。」
放出が終わり、四人で陣形を組み、構える。
ーガラン…。ゴルゴル!!!ー
エルロットの顔が見えた。鎧を破壊できているが、再び鎧を纏い出した。
(エルロット)「素晴らしい力の数々…。だが、我が神体には届かない。」
ーファアアア!!!!!ー
エルロットは更に、黄金の光を纏った。
(エルロット)「これが黄金。善より授かった祝福だ!!!」
ーーーーー
ーゴゴゴゴゴゴ!!!ー
エルロットは、喝采を浴びるように手を広げた。
(コール)「なんだ?」
コールの疑問は、直ぐに形となって理解できた。
(黄金騎士)「…!!!」
エルロットの呼びかけに応えるよう生成された、黄金の騎士達。
(タイダル)「…"軍隊"。」
エルロットは剣を構え、ソニア達に向ける。
(エルロット)「進軍せよ。」
ーダダダダダ!!!ー
号令がかかり、黄金騎士達は走り出した。
正確な人数は分からないが、百体は余裕で超えている。
(ソニア)「俺達も行くぞ!!!」
ソニア達も走り出した。
(タイダル)「後ろに回れ!一掃する!」
ーバッ!バシャアアア!!!ー
タイダルは上空に浮かび、大波を引き起こした。
(エルロット)「チャリオットはそれで、陣形が崩れたのだろうな。だが…」
エルロットは手を掲げ、振り下ろした。
ーザバァァァ!!!ー
神殿の天井が半分ほど崩れ、流動する黄金となり向かってくる。
(皆)「…!!!」
ソニア達三人は、止まらざるを得なかった。
(タイダル)「進め!!!流れるもの全て、操ってみせる!!!」
ーバッ!!!ー
ソニア達は直ぐに動き出せた。そうやって動けたのは、今までの戦い。
そこで感じていた、タイダルへの信頼だろう。
ーバシャアン!!!ー
水と黄金が入り混じる。
(エルロット)「黄金を持ち上げられるか?」
(タイダル)「言っただろう…!!!流れるもの全て、操ると!!!」
ーゴゴゴ!!!ー
黄金の波は押し上がり、エルロットへの道を開いた。
(タイダル)「ック…!まぁ、水を下に流しただけだがな!」
タイダルも、エルロットへの道を走っていく。
(エルロット)「遮断。」
ーダン!!!ー
持ち上げられていた黄金の波は、容易く水を押し潰した。
(タイダル)「上から入れるが…。」
噴射で空を飛べるタイダルにとって障害にはならない。だからこそ怪しい。
ーゴルゴル!!!ゴゴゴ!!!ー
流動していた黄金は一つの塊となり、巨人となった。
(黄金巨兵)「グオオオ!!!」
(タイダル)「真似事か。だが、本人より強力。」
血水操作の真似事。
(タイダル)「ただ巨人の知り合いがいてな。俺の脅威にはならない。」
巨兵は、土の化身ほど大きくないが、似た造形をしている。
ーザン!ダン!ガン!ー
黄金騎士を倒しながら、エルロットへと向かうソニア達。
ーバッ!!!ー
エルロットが見当たらない。
(コール)「ソニア!あんたに向かってるぞ!!!」
ーダン!!!ー
剣と剣が交じ合う。
(ソニア)「ック…!!!」
(エルロット)「波動がある以上、不意打ちは不可能か。」
ーゴルゴル!!!ー
神殿全ての壁と残りの天井が崩れ、全て黄金騎士へと変化した。
それはコールとラペット。タイダルへと向かっていく。
(ソニア)「一騎打ちか?」
(エルロット)「クラウンを手にしたいのは君だろう。ならば君と、一対一の勝負がしたい。」
ーグググ!!!ー
エルロットは黄金をより纏い、凶暴な鎧とした。
(ソニア)「それで動けるのか?」
(エルロット)「あぁ。君の余裕は、直ぐに無くなるだろう。」
ーダン!!!ー
砲弾のような音。
ーガン!!!ー
剣を構え、防御できた。
(ソニア)「この音!!!」
ソニアの集中力は、最高潮に引き上がった。
ーダン!!!ー
再びくる攻撃。耐えはするが、いつ飛ばされてもおかしくない。
(ソニア)「(黄金の再生力。脅威的な速度、力。これが神の"神体能力"か…。)」
ーグッ!ー
エルロットの拳が目の前に。
ーヂュミミミ!!!シュ!ー
ソニアは波動で予見し、避けた。
ードン!!!ー
だがソニアは、二度目の攻撃をくらった。
(ソニア)「ッガハ!!!」
(エルロット)「波動は強力だが、君のは脅威になり得ない。」
神の神体にとって、予見する速度など到底遅いものだった。
ーザッ!!!ー
強烈な痛みの中膝をつき、剣を刺した。今まで戦った、者達のように。
(ソニア)「いや…。波動は脅威になる!!!」
ーバチバチ!!!ー
波動が輝きを増し、流れる。これまでの旅路。
―ヂュミミミミミミ!!!!!―
"あの日"と同じ、波動の出力。
(ソニア)「まだだ!!!」
―ヂュミミミミミミ!!!!!バチバチ!!!ー
"あの日"を超えた瞬間である。
波動がより強まった証明の蒼電。
死の間近で出したのではなく、自身の意図で出した全力。
(ソニア)「これが波動、その脅威だ…!!!」
エルロットの鎧に、蒼い光が反射する。
(エルロット)「それでいい。それでこそ、波動のあるべき姿だ!!!」
ーーーーー
ーシュン!!!ー
エルロットの移動が変わった。黄金の軌道ができる神速。
ーバチバチ!!!ー
ソニアの移動も変わった。蒼電の余波が残る神速。
ーザン!!!ー
ソニアの顔を狙う剣。
ーシュ!ー
エルロットの攻撃を回避できた。
(エルロット)「…!」
顔が見えないが、驚いていると分かる。
エルロットと距離があくまでの一瞬。剣を構え、腹部を狙う。
ーヂュミミミ!!!バキバキ!!!ー
波動を巡らせ、鎧を粉々に砕いた。
ーザン!!!ー
そのまま神体にも、剣が入った。
(エルロット)「ッグ…!痛みは久しぶりだ…。」
ーザザザザザザ!!!!!ー
鎧や騎士の残骸を使い、無数の剣が宙に生成された。
(エルロット)「彼らはあれでは止まらないな。」
横目でタイダル達を見る。巨兵は傷付き、騎士の数は残り少ない。
(ソニア)「当然だな。」
(エルロット)「試練が終わる…。始まりがあれば、必ず。」
ーザザザ!!!ー
無数の剣が発射された。
ーザン!ザン!ザン!ー
剣を弾くが、それでも追尾してくる。
ーガキン!ダン!ガキン!ダン!ー
数本の剣が、曲がりながら伸びてくる。
(ソニア)「(見える…!道筋が!!!)」
ーシュウウウ!!!ー
ソニアは激しく動かず、剣の合間を、滑るように抜けていく。
(エルロット)「気味の悪い動き。」
(ソニア)「褒め言葉だな!」
ーダン!!!ー
剣がぶつかり合い、両者反動で仰け反る。
ーグッ!!!ー
だが倒れない。体勢を整え、ありったけの力を集中させる。
ーゴルゴル!!!!!ファアアア!!!!!ー
黄金の光が、太陽のように輝く。
ーヂュミミミ!!!!!バチバチ!!!!!ー
蒼く輝く力が、月のように光る。
ーフォオオオ!!!ー
力の流れが、強風をつくった。
(コール)「うっ!!!」
(ラペット)「前が見えないよ…!!!」
コールはザスの翼で目を隠し、アーと剣で、耐える。
ラペットは盾を構え、耐える。
(タイダル)「…。」
タイダルはただ立ち、二人の姿を見ていた。
(コール)「タイダル!吹き飛ばされるぞ!!!」
それでもタイダルは、立って見ている。
(タイダル)「俺なら戻ってこれる。それに…。」
タイダルに流れる、あらゆる記憶。
(タイダル)「ッフ…。ソニア。"お前の勝ちだ"。」
ードオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!ー
光のぶつかり合いは、視界を奪った。音が遠のいていく。
ーーーーー
光が消え、視界と聴覚が戻ってきた。
(ソニア)「ハァ…。ハァ…。」
息を切らしながら、立つソニア。
(エルロット)「ッフ…。」
微かな笑みを浮かべる、エルロット。
(エルロット)「見事…。」
ーバタッ…。ー
エルロットが倒れた。
ースタッ…。ー
ソニアは膝をつき、息を整える。
(ソニア)「ハァ…。」
ースッ。ー
上を見ると、タイダルの手が。
(タイダル)「やったな。立てるか?」
(ソニア)「あぁ。」
ースッ…!ー
タイダルの手を借り、立つ。
(コール)「これでどうなるんだ?試練は終わりだろ?クラウンは…」
ーファアアア!!!!!ー
(皆)「…!!!!」
全員の目に写った、黄金の光。そして戴冠を待つ、"神器:クラウン"。
エルロットが座っていた玉座の上に現れた。
(ソニア)「あれが、クラウン…。」
ソニアは、クラウンへ近付いていった。
(ソニア)「これがあれば…。」
クラウンを掴んだ。持っただけでは、何かが起こるわけではないようだ。
(ラペット)「終わりでいいんだよね?」
(タイダル)「あぁ。目的を達成した。戻ろう、国に。」
(コール)「っぐ…!疲れたぜ!」
体を伸ばし、余韻に浸る。
(ソニア)「戻ったら休んでおくんだな。」
故郷を思い返し、未来を想像する。
ーグサ!!!!!ー
(ソニア)「っが…。」
処理が追いつかなかった。何者かがソニアの後ろにおり、ソニアが刺された。
ーバタッ!ー
ソニアが倒れた。
ーカラン…。カラン…。ー
クラウンが転げ落ちる。
(コール)「何だあいつ!?いつ入った!?」
扉の音はしなかった。波動の察知をすり抜けられた。
それ以前に姿が見えず、足音が聞こえなかった。
(???)「今の城に、"追放"する力はないようだな。まぁ当然か。」
見た目の特別性はない、ごく普通の少年。
だがなぜか、本能を刺激する恐怖感を感じる。
(タイダル)「ラペット!!!コール!!!ソニアを連れて神域を出ろ!!!今すぐにだ!!!」
タイダルから余裕が消えた。より一層、相手への不信感が増す。
ーバッ!!!サッ!ー
コールは動いた。というよりザスとアーも、緊張して勝手に動いていた。
(ラペット)「タイダル!クラウンは!?」
ラペットは足がすくんでいた。
そうは言ったが、クラウンを取りに行けそうにない。
あまりにも唐突な、異常な出来事。
正直神子達は、"殺す気で戦っていただけだ"。
だがあれは、"本当に殺す気"でいる。微塵の躊躇も感じない、漆黒の目。
(タイダル)「早く行け…。俺も長くはもたない。」
タイダルは覚悟している。
(コール)「タイダル!!!死ぬなよ…。」
ーバッ!!!ー
コールはソニアを抱え、走り出した。
ソニアが負傷した以上、高速では走れない。
(ラペット)「コール!そのまま走って!傷を治したら全力で走るよ!!!」
並走しながら波動を使い、ソニアの傷を治す。
(ラペット)「傷は大きいし、出血が酷いけど、大丈夫…。ソニアなら…。」
今のコールとラペットにできるのは、信じて走るのみ。
ースッ…。ー
クラウンを拾われた。
ーズドオオオオン!!!ー
何一つ手加減しない、最高出力の水を放った。
(???)「クラウンは我が手にある。"元の肉体"をこれで…。その前に、邪魔者がいるな。」
傷はついている。だが頑丈。
(???)「擦り傷。あれくらいで、傷付いてしまうのだったか…。」
(エルロット)「あれは…。」
ソニア達と戦い、負傷したエルロット。万全ではない。
(タイダル)「動くなエルロット!!!」
(エルロット)「だが私がやらなくては…!あれは"家族の体"だ…!」
ーザッ!ー
エルロットは負傷しながらも、剣を刺し立った。
(???)「お前達を殺し、顕現しよう。"ガラハハの神子"。そして、
"海の化身:オーティス"。再び始めるのだ。"偉大なる神殺しの旅"。"宇宙の再創生"を。」
(タイダル・オーティス)「三度目の死が、本当の死だ!"クラマド"!!!」
(エルロット)「返してもらうぞ、"ロゼッタ"を!!!」
(ロゼッタ)「返してほしければ、殺してみせよ。私ではなく、"ロゼッタ"を。」
タイダルもとい、海の化身:オーティスとエルロットの前に現れた"ロゼッタ"。
その中には、クラマドがいるようだ。今目の前に、不完全だが神がいる…。
ーーー「???:ロゼッタ」ーーー
ロゼッタの中には、クラマドがいる。
何故そうなのか、その詳細はまだ不明。
ーーー「黄金神:エルロット・ドラード」ーーー
善の神:ガラハハの神子にして、父と同じ"黄金の権能"をもつ。
だがその力は成長途中である。




