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カインドラ  作者: 深緑蒼水
神々のファンファーレ:神域篇

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14:それは「異形」の呪い

こんばんは、深緑です。

今回も長いですが、あとがきにて設定を書いておきました。

『神々のファンファーレ【14:それは「異形」の呪い】』


―神域:ファンファーレ(古代)―

暗く苦しい。


―バッ!―

手を伸ばして飛び起きた。


(ガラハハ)「ハァ…。行くか…。」


昔の思い出。その夢を見る。

悪夢として見てしまったら、思い出に後悔があるからだろう。


―スタッ…。スタッ…。―

凝り固まった体を無理やり動かし、今日も歩く。


(???)「どこへ行く?」


頭上に大きな龍。ガラハハの眷属、その一体。


(ガラハハ)「また声が聞こえた…。行くんだ…。」


クラマドの心音や声は、近頃聞こえなくなった。

その代わりとして、苦しく唸る声が、四六時中聞こえてくる。


(海の化身)「呪いを受けた者が多いそうだな。それに、強度も桁違いだと聞く。」

(ガラハハ)「あいつらを助けた…。なら全員…。」


今まで助けた呪いの子。それらに黄金たる祝福を授け、呪いを打ち消した。

そして自身の子かつ、眷属級へと至らせた。


(海の化身)「不可能だ。だから今、騎士達や動ける眷属が動いている。お前の友人も。」


急激に増えた、呪いを与えられた存在。

強度が上がり、今の呪いを払うことは困難だ。

それら存在に対して、与えられるものはたった一つ。


(ガラハハ)「殺すしか、ないのか…?」


ガラハハは少しの時間だけだが、助けた子達と遊んでいたことがある。

それを思うと、動かずにはいられなかった。


(海の化身)「休んでいろ。力を使いすぎだ。呪いを払うための過剰出力。更に、"クラウンを創り"、"神子としての力を与え"、"本当の神子を創った"。力を温存しろ。これはクラマドの狙いだ。いいか?クラマドが現れた時、倒せるのはお前だけだ。」


ガラハハは何も言えなかった。正直、体が動かない。


(ガラハハ)「海だ…。今ある呪いの中で、一番強い気配を感じる…。」


(海の化身)「任せろ。海は私の庭だ。」


海の化身は体をうねらせ、空を飛んで行った。


―左大陸(とある村)―

森の中、少し大きめの村。

付近には、海や川がある自然豊かな地。

そしてもう一つ、異形が住む村でもある。


(子供)「おい見ろよ…。」

(子供)「近付かないでおこうぜ…。あんなの、"人間じゃない"。」


子供達は、ヒソヒソと話しながら去っていった。


(異形の人外)「…。」


人ならば十分聞こえない位置と声量。だが異形にとっては聞こえてしまう。

この距離とあの声量で聞こえてしまうこと。

そして言われた言葉。剣が今日も、胸に突き刺さる。


(子供)「ままー。」


小さな子供が、こちらに近付いて来る。


―バッ!!!バシャ!!!―

母は濡れることを考慮せず、池に入り子供を止めた。


(母)「ダメよ!!!あなたにうつったら…。」


子供は不思議そうに異形を見ながら、母に手を引かれて去った。


(異形の人外)「…!」


純粋な目が、理性的行動が、胸に刺さる。


(異形の人外)「帰ろう…。十分取った…。」


巨大なカゴに入った、魚や鉱石。その他色々。

ーーーーー

―ドンドン!―

扉を叩いて知らせた。


―ガチャ…。―

父が出てきた。


(異形の人外)「これ…」


父はカゴの中身を移し、家の中に入れ始めた。


(父)「強く叩くな。壊れたら面倒だ。」


強く叩いたつもりはない。


(父)「ほれ。」


―ドサッ…。―

投げ捨てられた袋。


―ガサガサ…。―

中身を漁ると、パンが数個入っている。


(異形の人外)「ねぇ、これ…。」


パンが腐った状態で出てきた。


(父)「お前なら食えるだろ。」

(異形の人外)「でも不味いよ…。」


食ってどうにかなることはないが、腐ったパンは不味い。


(父)「文句があるなら自分で調達しろ。」

(異形の人外)「あ、待って!」


閉めようとする扉に手を入れ、父の前に立った。


(異形の人外)「最近寒くなってきたよね…。もう少しで冬が来るって…」


寒さで苦しくもなれば、痛くもなる。ただそれでも、死ぬことは無い。


(父)「ッチ…!家に入れると思うな!!!」


―ダン!!!―

父は思いっきり扉を閉めた。


(父)「お前が普通に生まれていたら、"あいつ"は死ななかったのに…。」


扉の奥で言葉をこぼす、父の声が聞こえてしまう。


(異形の人外)「海にでも行こう…。」

―――――

―ザァァァ…。キラキラ…。―

波は静かに流れ、星は薄っすらと光る夜。


(異形の人外)「海に出れば私は…。いや、無理か…。この体は…」


星の光を反射する海を見ながら、冬をどう越すか考えていた。





―ダン!!ゴッゴッ!!グシャ!!グチャ!!ゴツ!!―

気付いた時、自分で自分を傷付けていた。

なぜそうしたのか、どのくらいそうしているのか分からないが、

止めようとは思えない。


(異形の人外)「あぁ…。これで冬を越せるね…。」


それは冬を越す策であった。


―バッ!!!フォォォォ…!!!―

海上。目の前に、巨大な龍が現れた。


(海の化身)「何をしている。」


―ゴツ!ゴッ!―

海の化身が現れても、自傷する手は止まらない。


(海の化身)「自分をそこまで傷付けるほど嫌いか?」


その言葉は寄り添いの言葉であるのに、何故か苛立ちを加速させた。


(異形の人外)「そうだよ!!!なんでこんな姿で生まれたの!!!体はデカくて異形!!!力は強いし、成長なんて早すぎる!!!私の名前、ないんだよ…。」


今まで思い、出しはしなかった気持ちが、大波のように流れ出した。


(海の化身)「ならば私も同じだ。未だ人々とは、あまり関われていない。中には化け物だと言う者もいる。」

(異形の人外)「気にならないの…?」

傷付ける手は止まっていた。だかその手には、岩がまだ握られている。

(海の化身)「ならない。万人に好かれることは不可能だからな。それに私には、私を必要とする者達がいる。それだけで、私は十分だ。」


岩を握る手が、緩まっていく。


(海の化身)「君は誰よりも自分が嫌いで、憎いのだろう。だがいつの日か、その力が誰かを守るためになり、その姿を愛してもらえる者に、名を誇れる日がくる。我々は君を傷付けない。私と共に来い。」


―ザッ…!―

手から岩が転げ落ちた。


―バタッ…。―

疲れその場に倒れてしまった。


(海の化身)「寝てしまったか。乗せるのは慣れていないが、運ぶとしよう。」

倒れたその子を噛み、背中に乗せようとした。


―シュウウウ…!!!―

どこからか、何者かが飛んでくる。その者は、目の前に降り立った。


(海の化身)「お前は…。」

(海神:アリオネ・クオリ)「"異海からの生"を感じて来た。」

(海の化身)「この子か?」

(アリオネ)「いや、別の存在だろう。その子と同じような子が、今産まれた。」

(海の化身)「海神よ。私はこの子を連れ、神域へと戻る。だが一ついいか?」

(アリオネ)「なんだ?」

(海の化身)「"異海を沈めたい"。もう、生まれる必要はないはずだ。生物は進化した。お前達が、異海という思い出を大切にしたいのなら、沈めてしまった方がいい。クラマドに容易く利用されてしまっていることを考えると、生命にとってもか。」

(アリオネ)「ガラハハにはなんと?」

(海の化身)「許可は私が出す。私の責任でいい。」

(アリオネ)「…分かった。異海を沈める。星の根底、深海の先に。」


―ゴゴゴゴゴ…!!!―

その夜左大陸全体の海が、しばらく波打っていた。

―――――

―フォォォォ…。―

神域へと戻るべく、空を飛ぶ。


(異形の人外)「私の名前…。」

(海の化身)「起きたのか?」


しばらく待っても、何も言わない。


(海の化身)「寝言か。名前…。」


―神域:ファンファーレ―

神域へと辿り着いた。翌日。


(ガラハハ)「払ってほしくないって言われたぞ。"メレキノス"に何を言ったんだ?」

(海の化身)「特別なことは何も。ただ昔に、あなたが言ったことを伝えた。」


―異海:ズラトン―

メレキノスの空間。ソニア達に倒され、倒れていた。


(メレキノス)「…私はこれがいい。皆の力としていられるのなら、私は自分が好きだと、胸を張って言える。私にとって特別なこと。"君"がくれたものだ。」

ーーー「使徒と眷属」ーーー

害をなす神が創る存在を、使徒と称する。

一般的神が創る存在を、眷属と称する。


ーーー「異海」ーーー

この星において、全ての生命、源の地。

ガラハハが異海を残したのは、世界が始まった瞬間であるからだ。

だがその海は始まりが故に欠陥であり、容易く利用されてしまった。

そのため異海は更に縮小され、星の根底。その最深部へと沈めた。


ーーー「「異形」の呪いと克服」ーーー

クラマドが授けた呪い。

異形の呪いを受けた者は、生物原初の姿を歪に組み合わされ生まれる。

そのため人に蔑まされ、化け物と認識される。

それでもメレキノスは、生きようと思った。

それはかつて、海の化身に言われた言葉が、彼女にとって祝福となったからだ。

彼女は今日も、生きる道楽を謳い続ける。

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