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カインドラ  作者: 深緑蒼水
神々のファンファーレ

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13:異海の蟹刀

『神々のファンファーレ【13:異海の蟹刀】』


試練は残り二つ。体を休ませ、残り少ない扉を開けた。


ー異海:ズラトンー

ーポチャ…。ポチャ…。ー

暗く冷たい、水の滴たる洞窟。


(コール)「随分と暗い洞窟だな。」


完全な暗闇というわけではない。光源となる要素は、多少存在している。


(タイダル)「聞いたことがある。あらゆる生物その祖先らが生まれた、暗い場所があると。」

(ラペット)「今もあるの?」

(タイダル)「伝承通りならこの星のどこか、深海より先にな。ここは、その"異海(いかい)"をもじった空間だろうな。」

ーーーーー

暗く湿気のある、洞窟を進むソニア達。


(コール)「未知の生物だな。」


この空間にいる生物は、肉体や知能。見た目が不完全のようだ。

それを不気味と見るか神秘と見るかは、人によるだろう。


(タイダル)「それほどまでに、生物は進化したわけだ。」


ーサァァァ…。ー

ソニア達が次の道を探すと、足首まで水のある空間が広がっている。


(ラペット)「ねぇ。」


ラペットが低めに指を指した。その先に、神子と思われる存在がいるからだ。


ーバシャ…。バシャ…。ー

神子の待つ場所へと、足を踏み入れる。

そこは広い空間。四角上に整えられ、薄く水が張っている。

この場所の光源は、海面近くほどの明るさだ。


(???)「懐かしい、水の匂い。」


でかい。遠くからでも分かる。チャリオットと同じくらいの大きさだ。

見た目は明らかに人間ではないが人形。蟹のような外殻に覆われている。

手には鋭く長い、蟹刀(かにがたな)


(???)「地上はどうなっている?もう随分と降りていない。だからこそ、見せてほしいのだ。」


異形の女性がこちらを見た。


(???)「その姿で、君達の名を。力を、この私に。」


ーザン!!!ドゴオン!!!ー


(ラペット)「後ろ…!?」

(コール)「ラペット、前見とけ。そんな余裕はないぞ。」

(ソニア)「全く動きが見えなかった…。」


正しく神速。タイダルがふと後ろを見たが、来た道は閉ざされている。


(異海の蟹刀:メレキノス)「いざ尋常に…!」

ーーーーー

ーガッ!ー

メレキノスは刀を構えた。


(タイダル)「避けろ!あれは火力も速度も桁違いだぞ!」


ーバッ!ー

ソニア達はタイダルの掛け声で、メレキノスより速く動いた。


(メレキノス)「バラバラに動くか。」


ーブオン!!!ドゴオン!!!!!ー

メレキノスは抜刀した。岩壁に巨大な、斬撃の跡ができている。


(コール)「なっ…!」

(メレキノス)「ただの風圧だ。」


刀を振るっただけの風圧で、岩壁を削った。


(ザス)「出し惜しみしてる暇はないぞ!」


ーグググ!!!ー

ザスとアーを出す。


ーヂュミミミ!!!ー

向かい側から、ソニアとラペットも来ている。


ービュオン!ギギギ!!!ー

誰よりも速くタイダルが、メレキノスと得物を交わした。


(メレキノス)「君からか?」

(タイダル)「嬉しいだろ。」


ーガガガ!!!ー

勢いよく吹き飛んだザス。

アーの爪で引っ掛けた程度だったが、外殻の一部破損はできた。


(メレキノス)「ッ…。悪魔か。危険な速力。」

(コール)「削れはするな!」


ーガシッ!ー

メレキノスは高速ですれ違う、コールの頭部を掴んだ。


(ザス)「ッチ…。」


ザスがコールの頭部を覆った。


ーブオン!ー

思いっきりコールを投げ飛ばし、地面が抉れるほどの脚力で、コールを追う。


(タイダル)「俺達も追うぞ!」


なるべく速く移動するが、異次元の速度には追いつけない。


(ラペット)「コール達が!」

(ソニア)「悪い、一発は耐えてくれ!!!」


ードゴオン!!!!!ー

コールはメレキノスの蟹刀で、壁に押し込まれた。

その衝撃は凄まじく、四角上に整えられていた空間が、長方形へと形を変えた。


(コール)「(いってぇ…!!!ザスを貫通したのかよ…!!!胴体が痛すぎる!骨折れて刺さってんだろこれ…。)」


ードサ!!!ー

落下してなお、コールは何とか保っている。

ザスは落下の衝撃で完全に、意識が飛んだ。


(メレキノス)「流石、高強度の耐久力。まだ立てるか。」

(アー)「(コール。膝立ちでいい。このまま来るんだったら、頭部だけはもっていける…。)」

(メレキノス)「だがいくら再生力が高かろうと、瞬間的な火力で粉砕できる。」


メレキノスは不用意に近付こうとしない。


ーダン!!!ー

剣を交えた衝撃で、水が波打った。


(タイダル&ソニア)「…!!!」


二人の力でもメレキノスの体幹はブレず、刀は壊れない。


(メレキノス)「体制が前のめりだと、すぐ後ろに下がれないだろう。」

(ソニア)「…!」


ードン!!!ダン!!!ー

ソニアは気付いたが足蹴りで吹き飛ばされた。

タイダルはそのまま刀で押され、真反対まで飛んでいった。


(メレキノス)「さて、まずは君から…」


少し離れた位置から、構えるメレキノス。

アーより速く、コールを斬る気だ。


(ソニア)「ッグ…!!!ラペット、タイダル!!!」


腹部の痛みに耐えつつ叫ぶ。


(タイダル)「っがは…。」


壁にハマりながら、血を吐いた。


(タイダル)「あぁ…!」


手を構え、水を溜める。


(ラペット)「そのまま来て!!!」


ーゴゴゴ!!!ダン!!!ー

ラペットの盾で弾かれたソニア。

タイダルの水で更に押し出されるソニアとラペット。


(ソニア)「自分の力じゃないが、お前の速度と力を超える!!!」


メレキノスが後ろを向いたとき、ソニアはすぐ目の前にいた。


ーズサン!!!ヂュミミミ!!!ー

メレキノスは勢いよく斬られ、波動が流れ込む。


ーバキバキ…!ー

外殻の大半が壊れ、内部にも攻撃が入った。


(ラペット)「まだ終わらないよ!!!」


ーゴン!!!!!バシャアアア!!!ー

ラペットの大盾で殴られ、タイダルの水圧もくらった。後押しは十分だ。


ーガン!!!ドゴオン!!!!!ー

更にアーの爪を頭部にくらい、そのまま壁に激突した。

致命傷は確実だろう。

壁が崩れ、砂埃が起こる。


(ラペット)「コール!回復する!」

(タイダル)「どうだろうな…。」


ラペットは倒れたコールに波動を当て、タイダルは噴出で戻ってきた。

二人で砂埃を警戒する。


(ソニア)「…いや、まだだ。」


砂埃の中、メレキノスの顔が一瞬見えた。半分蟹と人の顔だった。

外殻は見当たらない。


(メレキノス)「いつぶりだろうか…。外殻が破壊されたのは…。」


ージュウウウ!!!ー

砂埃は、メレキノスが発する湯気に置き換わっていった。


ーボコボコ!!!ー

メレキノスの周りの水温が、急激に上昇する。

ソニア達の位置は、熱湯ほどに。


(コール)「あちぃ…!」


コールは無事だが、満足には動けないだろう。

ザスの意識がない状態で回復できたのは、ラペットの回復能力が高いからだ。


(メレキノス)「鎧は軽く、刃は尖度を増す!!!」


外殻全てが無くなり、その肉体は赤く変色した。


(メレキノス)「ハァ…。ハァ…。」

(ソニア)「長くはもたないみたいだな。」

(メレキノス)「流石にな。」


急激かつ極限までの体温上昇。体力を削る自傷技。


(メレキノス)「この姿、この力、異形であろうとも、私は生きた。だからこそ、私の水は燃え上がる!!!」


ーボオオオ!!!ー

メレキノスは少量の炎に包まれた。


(メレキノス)「数分ほど、互いに耐えたいところだな…。」


コールは負傷し、ソニアとタイダルは軽く傷を負った。ラペットは無傷。

この状態で強くなったメレキノス。彼女の攻撃から数分、耐えなくては。


(メレキノス)「生きる道楽を、君達に…!!!」

ーーーーー

ーバン!!!!!ー

砲弾のような音がした。もはや動きを追えない。


(コール)「裏か!」


ーバシャ…!ー

メレキノスはソニア達の後ろへと移動していた。


ードン!!!ダン!!!ー

コールは反応できたが間に合わず、コールとラペットは背後から吹き飛ばされた。


(ラペット)「がは…!!!」

(コール)「ッチ…!考えが分かっても追えないんじゃあな…!!!」


体温が上昇し外殻がなくなったことで、動きの速さが桁違いになっている。

コールとラペットは壁に激突した。しばらくは動けないだろう。

そうなると残るは、ソニアとタイダルの二人。


ーガン!ギン!ダン!ー

メレキノスはソニアとタイダルを相手取り、得物をぶつけ合う。


ーガン!!ギン!!ダン!!ー

メレキノスの速度は更に上がった。残像が見えるほどに。


(ソニア)「速度が上がった!?」

(タイダル)「俺はついていけない速さだな…!」


上がるメレキノスの速度に、ソニアは何とかくらいついている。

だがタイダルは、遅れを取ってしまった。


ーダン!!!ー

その隙を、メレキノスは見逃さない。

タイダルは咄嗟に剣を構え、攻撃は防いだ。

だが衝撃はもらった。


(タイダル)「噴出で戻れるが、戻ったところでな…。」


もうあの速さにはついていけない。


ーゴゴゴ…!!!ー

水がうねり波打つ。


(タイダル)「ならお前に託すぞ、ソニア!!!」


ーザバァァァ!!!ー

足首ほどの水が波となり、ソニア達の方へ向かっていく。

消して高くない水位も塊となれば、大波へと変じる。


(タイダル)「体温が下がれば…。」


ーバジャアアアン!!!ー

大波を浴びた二人。


ージュウウウ…。ー

色と共に、体から体温が失われていく。


(メレキノス)「ッ…。目眩が…。」


メレキノスは急激に体温が低くなったことでふらついた。


ーザァァァ…。ー

ソニアは流されつつ、その隙を逃さないよう流れに向かっていく。


(ソニア)「今しかない…!」


ーダッ!!!ー

流れが落ち着き、両者走り出す。

メレキノスは十分速いが、沸騰状態に比べれば遅い。

そしてソニアは、その沸騰状態にくらいついていた。


(ソニア)「もう遅い!!!」


ーザン!!!ヂュミミミ!!!!!バチバチ!!!ー

すれ違いざま、メレキノスの腹部を斬った。


(メレキノス)「っがは…!!!」


ーバシャ…。ー

メレキノスはその場に倒れた。


(メレキノス)「とても眩しい…。深海さえ照らす、太陽のようだ…。」

(ソニア)「ッグ…。」


腹部に手を当て、手のひらを見た。


(ソニア)「血…。俺も斬られてたのか…。」


ーバタ…。ー

ソニアもその場に倒れた。


ービチャ…。ビチャ…。ー

足を引きずりながら歩いていく。


(タイダル)「お前達…。俺達は、本気の神子に勝てるぞ。」


メレキノスを倒したソニア達。残る試練は一つ。

待つは"善の神:ガラハハ"の血が流れる、"真の神子"。

クラウンはすぐそこにある。

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