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カインドラ  作者: 深緑蒼水
神々のファンファーレ:神域篇

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12:それは「狂い」の呪い

こんばんは、深緑です。

だいぶ長文になってしまいましたが、あとがきにて設定を書きました。

『神々のファンファーレ【12:それは「狂い」の呪い】』


ーとある地(古代)ー

ーザァァァ…!!!ー

その日は特に夜が暗く視界が悪かった。大雨が降り音が聞こえにくい。

そんな夜。


(母)「ハァ…。ッグ…。」


大雨の中、怪我を追っても走り続ける人。


(???)「あ…。う…。」


手に赤子を抱えて。


ードサッ!ー

木の裏、茂みの中に倒れ込んだ。一日中走っていたからだろう。

極限の精神と体力。体はすでに限界だ。


ーグオオオオオオ!!!ー

正体不明の怪物達。逃げた獲物を探している。


(母)「この子だけは…。」


眠る赤子の顔を見つめる。


ーバキ!ー

枝をへし折る音がした。


(母)「…!!!」


上を見ると、茂みの中を見ている怪物。完全に目が合った。


ーダッ…!!!ー

子を離さないようしっかりと抱きしめ、再び走った。


(母)「ここで死ぬわけには…!」


追って来る怪物。降る大雨。赤子一人残して、生き残る訳がない。


ーダッ…!ダッ…!ー

母親の覚悟は凄まじいものだった。限界が来ても、動き続ける。

ただどんなに素晴らしい覚悟も強者にとっては、道端に落ちている小枝のようなもの。


ーグサ!!!バシャアアア!!!ー

怪物の爪が、肉体を引き裂いた。


(母)「ッガア…。」


ーバチャ…。ー

ぬかるんだ土。染み込む雨と血。

色んな色が混ざる時、土はどう変わるだろう。


ーグググ…!!!ー

親子の上に覆いかぶさり、口を開ける怪物。


(母)「誰か…。どうか、この子だけは…。」


母親の声は小さな呟きだった。

こんな大雨の中、そんなか細い声が聞こえるはずない。


ーザシュ!!!!!ー

何かを突き刺し、何かを抉る音がした。


(母)「(あぁ…。きっと、私から…。)」


ーザァァァ!!!ー

自分の体に、雨が当たった。

怪物が覆いかぶさっていたのだから、当たらないはずなのに。


(母)「何が…?」


あとは消えるだけの意識の中、周りを見渡した。


ービチャア…。ー

舌を出したまま倒れた怪物。


ーズズズ…。ー

何かが上にいる。雨が当たってこない。


(母)「ごめんなさい…。もう見えもしないし、動けないの…。あなたが優しい人なら、どうかこの子を…」


母親は何かを抱きかかえながら息絶えた。


ースッ…。ー

力に注意し、母の手をどける。


(オキツネ)「…。」

赤子の服を噛み、その場を後にした。

ーーーーー

ービカァァァ!!!チュン!チュン!ー

雨が上がり、よく晴れた朝。


(神父)「晴れたか。昨日は全く人が来なかったからな。…?」


扉を開け、空を見上げる。ふと目線を落とすと、屋根の下に赤子がいた。


(神父)「なっ…!子供!こんなところになぜ…。」


ーサッ…。ー

遠い場所、こちらを見ているであろう人影が見えた。

だがその影は、すぐに消えてしまった。


(神父)「待ってくれ!あなたは…!行ってしまったか…。親だろうか?いや、断言できないか…。」


ーギギギ…。ー

子を抱えながら扉を開け、中に入る。


(神父)「すまない!少し手伝ってほしい!」


神父は二度子を拾っている。

正確に言うならば赤子が一度。そして以前、"空から降ってきた裸体"の少年。

名も記憶も何もかも知らない子供。その子に名をつけた。


(ロゼッタ)「はい。何か…。え、子供!?」


"ロゼッタ"。空から降ってきた子にそう名付けた。


(神父)「置かれていたんだよ。この子、名前は…。」


赤子の服を調べた。どこかしらに名前があるかもしれない。


(ロゼッタ)「ん…。神父様、少し上に上げて。」


ロゼッタは赤子の首元を見た。そこには縫われた名札があった。


(ロゼッタ)「"レダリオン"…。この子はレダリオンです。」

(レダリオン)「あうあ。」

(神父)「ではロゼッタ。この子を…」


ーダン!!!ー

早朝、教会の扉を開ける者。


(神父)「珍しい。早朝に来る人はあまりいないのだが…。」

(ガラハハ)「いやすまない。祈りに来たわけではないし、懺悔に来たわけでもないんだが…。」


であれば教会に、何をしに来たのか。


(ロゼッタ)「じゃあ何のために?」

(ガラハハ)「…!!!」

(ロゼッタ)「…。あの…。」


"ガラハハは驚いた顔で、ロゼッタを見た"。


(ガラハハ)「なんでもない…。それで、"その子"を渡してくれないか?あと"お前"も…。空に連れていく。」

(神父)「あなたは二人の父親か?なら…」

(ガラハハ)「いや違う。いや、ある意味では父親と言えるのかもしれない。どりあえず!俺を信じろ。世のため命のため、俺は行動する。」


正直、ガラハハを信じ切れなかった。錯乱してしまう信徒もいる。

ただ神の教えが、彼を信じるべきだとそう囁いている。


(神父)「ロゼッタ。君が決めたまえ。」


神父は自分が決めるべきではないと思った。これは彼らの話し合いなのだ。

自分はただ見送るのみ。


(ロゼッタ)「僕は自分を知りたい。"存在しているんだから、生まれがあるはずなんだ"。あなたがそれを与えてくれるなら、僕はついて行くよ。」


神父は一言も話さず、ガラハハに赤子を渡した。


(ガラハハ)「本当は詳しく話したいんだが、信憑性がな…。」


渡すとき、ガラハハの手が少し触れた。


(神父)「私は人を信じている。あなたは優しい。手が触れて確信した。傷は治ったとしても、それは強さとして残っている。」


穏やかに、ガラハハ達の行く末を見守った。


(神父)「あなたに、神のご加護を。」

ーーーーー

教会の外へ行き、森へと入っていく。

(ロゼッタ)「空に行くのに、森へ向かうのかい?」

(ガラハハ)「あぁ。衝撃が大きいからな。この辺でいいだろう。よし、行くぞ。」

(ロゼッタ)「え?」


ガラハハ達の周りに、黄金の光が漂っていく。


(ガラハハ)「"お前飛べないか"?飛べる気がしたんだが、まぁいい。手を握れ。空に行きたければ、飛べばいい!」


ードヒュン!!!ー

ロゼッタがガラハハの手を握り、次に目を開けた時、既に雲を超えていた。


(ロゼッタ)「なっ…!これは一体…!!!」

レダリオンとロゼッタを連れ、神域:ファンファーレへと向かう。

ーーーーー

レダリオンを連れた後オキツネは、母親の元へ向かっていた。

朝を迎えても、母と怪物の死体はそこにあった。

オキツネは母親達を見下ろし、考えを巡らせる。


(オキツネ)「人は感情をもつ。君が子を思ったように。だが近頃、"感情の氾濫"が起こり始めた。"漏れ出た不安や恐怖の感情"は、"形を成し生命体"となってしまった。本来起こりえない、"理の誤り"。」


オキツネは自身の生まれを考えた。

自分が何から生まれて、何のために生きているのか。


(オキツネ)「感情の氾濫。正の感情にも起こりえるのなら、私がやるべきこと…。」


ーグググ!!!サアアア…。ー

オキツネの肉体はより強靭になり、毛が逆立っていった。


(大妖怪:オキツネ)「英雄になる必要はない。生まれるはずのない存在を、陰ながら狩り尽くす。根が強まる前に刈り取ってしまえば、いつかは消滅する。私の終わりが来るまで、私を生んだ"感情主"のため、私は殺戮を成す。"妖しい怪物"の、殺戮を…。」


オキツネの肉体や眼は、殺戮の道へと特化していった。

それはいつの日か、"大妖怪"と言われるまで止まることはない。

ーーー「「狂い」の呪いと克服」ーーー

クラマドが授けた呪い。狂いの呪いを受けた者は、理性を失い狂気に陥る。

オキツネとガラハハが見たのは、理性を失い狂った生命達の道。

その行く先に、レダリオンがいた。

後日談だがガラハハは今まで通り、呪いを消そうと黄金の光を放った。

だがレダリオンの呪いは消えなかった。なぜ消えなかったのか。

それは彼が成長し、好きなものを見つけた時に分かった。

好きなものにのめり込む。それは狂いの呪い、その克服であった。


ーーー「妖しい怪物=妖怪」ーーー

クラマドの復活が近付いた時、その現象は起こった。

感情が溢れ出し、形を成してしまうという理の誤り。

その現象を発見した名も知れぬ存在は、清き心でオキツネを生んだ。

魔物や魔法使い、悪魔といった脅威に妖怪が至らなかったのは、彼らの支えがあったからだ。


ーーー「???:ロゼッタ」ーーー

空から降ってきた謎の少年。

何一つ記憶がないが、存在しているのだから生まれがあるはずだ。

彼は何のために生まれ、何のためにいるのだろう。

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