6:追い足
『神々のファンファーレ【6:追い足】』
朝を迎え、二つ目の扉を開けた。
ー裏道のキングタウンー
二つ目の扉の先は、地上と変わらない街並みだった。
だがどこか古臭い街並み。
ーフオオオ…。ー
(ソニア)「霧が濃いな。」
街全体に霧がかかっている。
(ラペット)「ちょっと寒いね。」
日が隠れた、肌寒い街。
ーサァァァ…!!!ー
冷たい風が、ソニア達のいる細道に流れた。
(コール)「なんだ今の?悪寒か?」
(タイダル)「あれを見てみろ。」
タイダルは表通りの方を指さした。
ーガシャ!ガシャ!ー
粘液性のある、黒くどよんだ肉体。
錆びつき年季の入りすぎた装備。
(亡霊)「ァ…。ァ…。」
遅く歪な歩き方で徘徊している。
(タイダル)「"亡霊"か。意志をもち戦っていたが、死んでしまった者。今やその意志を忘れ、ただ徘徊する戦士。」
(コール)「全員生きてたのか?」
(ラペット)「幽霊創ってたら気味悪いよ。」
(タイダル)「霊に気をつけろ。攻撃は効かないぞ。」
ーーーーー
街の構造を駆使し、徘徊する亡霊達をかいくぐり、しばらく経った。
(ラペット)「進んでしばらく経ったよね。」
(コール)「広場か?ちゃんと進んでたんだな。」
霧は濃く、周りはよく見えなかった。
そのため進んでいるのか定かでなかったのだが、広場に着いたようだ。
ースタッ…。スタッ…。ー
欠けて古びた噴水。水は流れていないのだが。
そんな広場に、足音が近付く。
亡霊とは違う、しっかりした足並み。
(ソニア)「誰か来る…!」
音が迫る方を、ソニア達は見た。
だがそこには誰もいなかった。
ーフオン!!!バッ!!!ー
突風が吹いた。ソニアの首筋に、短剣が突き付けられている。
(???)「見つけた。」
三人はソニアを囲み、戦闘態勢に入る。
(ラペット)「あなたが…!!!」
ーガシャ!ガシャ!ー
(コール)「ッチ!こんな時に亡霊かよ!!!」
(タイダル)「こんな時だからだろう!奴ら、音に寄ってきたな…。」
(追い足:ドナドナ)「始めよう。第三の試練、開始だ。」
ーーーーー
ーフオオオ…!!!ー
霧が更に立ち込めた。
何も見えないほどに。
(コール)「なっ…!」
ーザン!!!ー
どこからか、剣が勢いよく出てきた。
(コール)「あぶな…!」
頬をかすめた程度で済んだ。
―グググ!!!バサァァァ!!!―
アーが唸り、ザスが展開した。
(ザス)「俺がいれば俺は死なない。他は知らんがな。」
ーバサッ!!!ー
翼を動かし、霧を払った。
だが霧は濃く発生し続けており、一室程度しか視界を確保できない。
(ラペット)「(やばい…。盾を構えるだけで全然動けない…。)」
数が多く、波動の使い道がない。下手に移動しても危険だ。
ーギン!!!ー
背後を狙う攻撃。盾で防げたが…。
(ラペット)「ずっと耐えられる保証はない…。みんな!!!いる!?」
大声でソニア達を呼ぶ。
だが声を出すということは、全員に場所を知らせることである。
ーフオン!!!ー
一瞬、霧に出来た通り道。
(ドナドナ)「…。」
真下、盾の間から入った攻撃。
勢いは止まらない。
確実に殺しに来ている。
ーブオン!!!ー
(ラペット)「わっ!」
(ドナドナ)「なるほど…。」
ラペットとドナドナは、強力な風圧に押し出された。
(タイダル)「ラペット!このままコールと合流する!」
(ラペット)「うん!」
走る前、背後を見た。
だがすでに、ドナドナは消えていた。
(コール)「無事か!」
(タイダル)「あぁ!」
壁に激突したコールがいた。
ーバシャァァァ!!!ー
タイダルは水の波紋を広げた。
三人で背中を合わせ合い、陣形を組んだ。
(タイダル)「相手が触れれば分かる。ソニアは見たか?」
(ラペット)「見てない。」
(コール)「ラペットの声に反応してないのか…。」
ーザン!ザン!ザン!ー
霧からの攻撃。
(コール)「これずっとやっててもキリ…」
ーフオン!!!バッ!!!ー
その攻撃の中、異質なまでの速さ。
ーヂュミミミ!!!ー
コールの波動が激しく光る。
ーダン!!!ー
ドナドナの手を掴んだ。
ーザン!!!ー
波動の一撃を浴びせる。
相手の行動より速く。
(コール)「くそ…!!!あいつの手を掴めたんだが!!!」
それは本能。
命を脅かされる瞬間、コールの命が限界を超えた。
(ドナドナ)「"波動"。一撃くらったか…。」
ータッ…。タッ…。ー
彼の足音だろう。
濃い霧の中、鳴り響く。
(ドナドナ)「波動がやれることを知っているか?」
突如、質問を投げかけてきた。
(コール)「は?波動ていっても、色々あるだろ。」
(ドナドナ)「そう、色々ある。じゃあ、波動がやれる全てを知っているか?
"精神関与:相手の精神を刺激でき、読み取ることもできる"。
"身体向上:移動を速く、肉体を頑丈にできる"。
"破壊力:相手の体組織を破壊できる"。
"回復:傷や自然の修復"。
話せば長くなるが言わば、"生命への関与"。これが波動。」
長ったらしく、波動について語るドナドナ。
ーザン!!!ー
肩に斬り傷が出来た。
(ドナドナ)「…。」
(ソニア)「つまり、何が言いたい?」
ドナドナの肩を斬り、三人の陣形に加わったソニア。
(ソニア)「悪いな。一旦離れて、機会を伺ってた。」
(ドナドナ)「つまりやれることが多い。まずは一つ、極めてみろ。"本能が刺激された時命は、これまでにない輝きを発する"。」
ーバッ!!!ー
亡霊もドナドナも、一斉に襲い掛かってきた。
(タイダル)「三人共…。」
ースッ…。ー
タイダルは剣をしまい、水の波紋を消した。
そして陣形の中に入り、立ち尽くした。
(タイダル)「お前達だけで、奴を倒せ。できなければ、俺も死ぬ。」
(皆)「…!!!」
ーザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ー
次々と迫りくる、攻撃。体に傷が増えていく。
(ドナドナ)「一人を見つけろ。"行動を読み解く力を、身につけるんだ"。」
止むことのない攻撃。
この状況で、膨大な数の中から一人を見つけなくてはならない。
ーボタボタ!!!ー
ラペットとソニアの損傷が目立ってきた。
(コール)「二人はやらなくていい!!!全部身に付けられたらいいんだろうけどな!適材適所ってあるだろ!ていうか今は、生き残んないとな!!!」
ーブオン!!!ー
ラペットの元に向かった時の、高速の飛行。
一瞬で、ドナドナの元に飛んだ。
(ドナドナ)「それは君の武器だな。」
(コール)「だろ?」
ーザン!ー
コールの斬撃は、ドナドナに当たった。
(ドナドナ)「波動は纏えなかったか。惜しい。だが君は"精神に特化"している。」
攻撃を受けたドナドナは軽傷だろうと、隙が出来た。
(ソニア&ラペット)「…!!!」
ーヂュミミミ!!!ザン!!!ドン!!!ー
(ドナドナ)「ガハッ!!!」
波動を纏わせた攻撃は、ドナドナに血を流させた。
(ドナドナ)「ッグ…。"身体や破壊に長けている…"。」
ソニアを指している。
(ドナドナ)「"同じく身体。だが君は、回復が以上に速い…。ほぼ無傷だ"。」
命の瀬戸際。
ソニア達が体験した、波動の神髄。
ーサァァァ…。ー
霧が晴れ、亡霊達が去っていく。
(ドナドナ)「相手に攻撃を当てられることは少ない。だからこそ、一撃は重要だ。そこに至る過程も。…ゆっくり休むといい。本能を刺激するのはいい特訓だが、反動がデカい。」
ドナドナは歩き去っていった。試練突破でいいのだろう。
ーバタッ!!!ー
地面に崩れ落ちる。
(ラペット)「ハァ…。死ぬかと思った…。」
(ソニア)「大丈夫か?」
手を差し伸べるソニア。
(コール)「タイダル。死んでたらマジで死ぬ気だったのか?」
(タイダル)「進化のいい材料になっただろ?…とは言っても、本当に死にそうになったら助けたさ。」
死という本能に強く触れ、"波動の極地"へ踏み入れたソニア達。
今までの波動より強く輝き、より強力になった。
第三試練突破だ。
ーーー「亡霊」ーーー
意志の強さ故に、死後も世界に残る者。霊とも言える。




