5:それは「愛」の呪い
『神々のファンファーレ【5:それは「愛」の呪い】』
第二の試練を乗り換えたソニア達。
広場に戻り、それぞれ休憩に入る。
(ソニア)「…。」
ソニアは無心で食事を済ませた。
(コール)「考え事か?」
コールが隣に来た。
(コール)「ソニアはあいつの裏を取ったんだぜ。タイダル以外で一番、神子達を倒せる奴だろ。」
ードサ!ー
ラペットも隣に来た。
(ラペット)「そうだよ!私達なんて赤い水を飲んだから、壁まで吹き飛んだんだよ!」
(ソニア)「二人共、ありがとう。でも落ち込んでる訳じゃないんだ。ただ、不安ていうのかな。もう夜で、また一日が終わる。今後、神子達を倒せるのかどうか…。」
(タイダル)「お前達をこの数日間で、神子達と並び立たせる。俺がいれば、焦ることはない。」
そう言い残し、タイダルは横になった。
ソニア達も横になる。
それぞれは自身が隠している微量の不安を考えながら、眠りにつく。
そして今日もまた夢の中で、ある者の記憶を見た。
起きた時には忘れてしまっているが…。
ー神域:ファンファーレ(古代)ー
ードクン!ドクン!ー
暗い世界。また鼓動だけが聞こえていた。
(ガラハハ)「…!」
目を見開き、朝を迎えた。
(ガラハハ)「…。鼓動が強くなってるな…。」
暗闇の中で聞こえた鼓動は、より大きく鳴っていた。
ーーーーー
ースタッ…。スタッ…。ー
今日も空を飛び、世界を回る。
チャリオットのように、クラマドの影響を受けた者がいるかもしれない。
(騎士)「ガラハハ様!」
最近、神域:ファンファーレにほとんどいないガラハハ。
その背中を見つけた騎士は、大声で走ってきた。
(ガラハハ)「どうした?」
(騎士)「連れてこられた子供なのですが、武器を使いたいと言うのです。まだ幼く、止めてはいるのですが…。」
(ガラハハ)「そうか?俺にはいいと思うけどな。チャリオットの力は強い。それに、"俺は力を与えた"。」
クラマドの呪いが、再発しないように。
自身がもつ、黄金たる光の力を与えた。
(騎士)「では、"化身達のような眷属"ということですか?」
(ガラハハ)「そうだな。騎士同士の戦いには飽きただろう。あいつを鍛えてやってくれ。」
(騎士)「ハッ!…今日も、行かれるのですか?」
ーサァァァ…。ー
ファンファーレの縁に立ち、風を受ける。
(ガラハハ)「あぁ。」
ーーーーー
空を飛び、ある街に降り立った。
街を歩いていると"ある噂"が、この街にはあるようだ。
「知ってるか?この街のどこかに、"誰かを愛したらダメな奴"がいるって話。」
「なんだそれ?」
「お前は本当に、情報に興味がないんだな。いいぜ、教えてやるよ。最近、"破裂したような血痕"が発生してるんだ。しかもそれが何回もあって、血痕の中心には衣服があるんだ。」
「誰かがやってるって言いたいのか?そいつは人間なのかよ?てかどこから愛って出てきたんだ?」
「誰かが言ったんだよ。頭のおかしい奴の、歪んだ愛情じゃないかってな。」
聞き耳を立てながら人混みに紛れ、相手の話を聞き終えた。
(ガラハハ)「(しばらく滞在だな。そいつを探してみるか。)」
ーーーーー
そこから数日間、ガラハハは"人として"泊まり、街を探索した。
早朝や昼。真夜中に夕方。
あらゆる時間、曜日、場所を駆け巡り、遂にその日が訪れた。
ーザァァァ!!!ー
暗い雲が発生し、急に大雨が降った日だった。
昼のはずなのに夜のように暗い、そんな日。
(???)「…。」
街中の人達が急いで走る中、一人の少女が暗い顔をしながら走っていた。
(ガラハハ)「(…友達同士か?友達といるのにあんま楽しくなさそうだな。)」
最初は一人でいる者を探していた。
だが呪いが周囲に影響をもたらす場合を考えガラハハは、愛を手掛かりに、
複数人でいる者を探していた。
(ガラハハ)「(追うか…。まぁ、この天気だ。乗り気じゃないのも分かるがな。)」
二人の少女はある屋根の下に入り、雨宿りをし始めた。
ガラハハは物陰に隠れ、会話を聞く。
(少女)「いやー。急に雨降っちゃったね。」
(???)「もう、行っちゃうんだよね…。」
(少女)「そうだね…。最後に遊べる日だったんだけど。」
ーザバァァァ!!!ー
無慈悲にも雨は強まった。
(ガラハハ)「(街を出てくのか?それで最後に遊べる日がこれか。まぁ、晴れにして…)」
ービイイイ!!!ー
頭痛がまたガラハハを襲う。
(ガラハハ)「(ッグ…!!!)」
頭を押さえながら、会話を聞いた。
ーザバァァァ!!!ー
雨の落としか聞こえず、
ガラハハは二人の姿を確認するため物陰から身を出した。
(ガラハハ)「なっ…。」
ーザァァァァ…。ー
雨と血が混じり、水路へと流れていく。
(???)「やめて…。」
少女は雨の中泣き崩れている。
独り言のように思えたが近付いていく間に、
誰かとの会話であることが読み取れた。
(ガラハハ)「何か聞こえているのか?」
ー人間を殺せ…。この星を破壊しろ…。ー
(???)「いやだ…。あなたが勝手にやってるだけ…。」
ー自己意思で動かない気か…。ならばお前の意識も…ー
(???)「…!やめて!!!」
ーバッ!!!ー
少女の腕を掴み、力を与えた。
ーバタッ!!!ー
少女は倒れ、意識を失った。
(ガラハハ)「去れ。お前のいる場所じゃない。」
少女を担ぎ、空へ浮かんでいく。
(ガラハハ)「悪いな。"寿命を超越"するからチャリオットのように、望んで力を与えたかったんだが…。お前のもつ力が"血を操る"もので、内部の血さえも操れるというなら、あまりにも危険すぎた。許してくれ。」
天を晴らし、ファンファーレへの帰路に着いた。
呪いを受けた者は、これで二人目。
ーーー「「愛」の呪い」ーーー
クラマドが授けたとされる呪い。
愛の呪いを受けた者は、血を操る能力をもたされている。
内部の血も操ることができ、破裂死させることが可能。
クラマドが力の使用を支配できるのではという、ガラハハの仮説。




