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カインドラ  作者: 深緑蒼水
悪魔の呼び声

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4:エサ

『悪魔の呼び声【4:エサ】』


火が広がる館の中で、もう一人いた館の人間を探し出す。


「これは…。」


コールは足を止め、階段が続く先を見ていた。


「地下だね。」


ードン!ドン!ー

階段は薄暗く続いている。その先からだろう。

先ほど聞こえていた大きな音が聞こえる。


「とっとと捕まえて、早く出るぞ。」


ースタッ…。スタッ…。ー

階段を降りていくごとに行くべきではないと、感覚が増していく。

階段を降りると、分厚い鉄製の扉があった。


ースッ…。ー

冷たいドアノブに手を乗せ、奥に押す。


ーガッ!ー

扉は開かなかった。


ーガッ!ー

引いても開かなかった。


「私がやるよ。」


ーダン!!!バキバキ!!!ー

強い一撃で扉をへこませ、へこみを強引にこじ開ける。


「…。よく見えないな。」


開いた穴から部屋を見る。

階段上からの薄明りしか入らず、よく見えない。


(アー)「入ってみよう。」


ーバキ!カラン…!ー

開いた穴からアーは、かかっていた鍵を破壊した。


ーギィィィ…。ー

部屋の中は暗くも、何が起き何をしているのかはすぐに分かった。


「人の死体か。骨になってるが…。」


ードン!ドン!ー


「コール。」


アーは部屋の奥にある扉を指した。

そこから大きい音がより鮮明に聞こえる。


「突き破っていくぞ。」


ードン!!!ー

奥の扉は木製で、コールでも吹き飛ばせるほど古びていた。


(B・Q)「ダーマンは止められなかったか。館はもう長くない。」


B・Qは鉄格子の中を見ていた。何かが唸っている。


「人の死体を見たぞ。何のために、悪魔を使う?人を殺す理由はなんだ。」


B・Qは振り向き、コール達を見た。


「君は色々と知ってしまった。だが大成功だ!これほどまでに適合したことはない…。彼は強力だが…。」


ダーマンはまた鉄格子の方を見た。


ーダン!ダン!ー

そこには厳重に捕縛された、人間から悪魔が飛び出ている歪な存在がいた。


「憑いたのはいいが、人間は死んでしまった。ああなってしまえば、こちらの言うことは聞かない。」

「あんな胸糞な死体、見たことがない。お前がやるそれに、意義と意味あるのか?」

「私は真剣に、意味があるものだと思っているよ。クズを調教し、役立たせる。とても意義あること。そこで提案だ。君さえよければ、私と共に来ないか?悪魔の力があれば、どんな傷も病も治すことが…」


B・Qは手を差し伸べてきた。


ーダン!!!ー

B・Qの後ろ、鉄格子から何かが取れた音がした。


ーバキ!!!グシャ…!!!ボチャボチャ!!!ー

悪魔がB・Qの頭にかぶりつき、そのまま頭部を潰した。

血が池のように溢れ出している。


「アー!!!」

「分かってるよ!!!」


ーザン!グググ!!!ヂュミミミ!!!ー

剣を構え、波動もアーも。出せる全てを出し、悪魔を見る。


(???)「出来ねよ…。協力することが前提だろ…。悪魔を服従させることは不可能だ…。」


完全に人の体から出てきた悪魔。

頭部をかぶりついた勢いで、鉄格子が曲がっている。


「そうか?やってみなきゃ分からないだろ。」


赤黒く光る目が、コールに向く。


「実際不可能だろ。感情が互いにある以上、服従は起こらない。それを無理やりやろうとした…」


ーグググ…!ー

死体となったB・Qを踏みつけ転がす。


(上級悪魔:ザス)「ゴミにはゴミの最期だろ。聞こえるか!!!火を止めろ!!!」


ザスは大声で言い放った。

確かめなければ分からないが、火は止まってしまった気がする。


「服従できるならやってみせろ!!!勝てたら従ってやる!負ければ殺す。」


ーバサッ!!!グググ―

ザスは手翼を広げ、手足を唸らせる。

ーーーーー

ーシュ!シュ!ー

ザスの手と翼が、素早くコールを掴もうとする。


「ッグ!ここ狭すぎだろ!!!」


後ろに下がり、手前の部屋に戻る。


(ザス)「部屋が広くなったら、動けるのはこっちだぞ!!!」


ーバッ!!!ー

翼をつき力を入れ、加速を生んだ。

残像が出来る速度で、辺りを飛び回る。


「背後…。死ね。」


ーヂュミミミ!!!ー

背後をとっていたザス。

手で首を斬ると思っていたが、コールは後ろを向いていた。


ーザン!!!ー

首を斬り落とし、アーは腕をねじり切った。


「蒼い光…。」


首となったザス。


「知ってるのか?なら俺を舐めすぎだな。」


ーバキバキ…。ー

転がった頭と腕が一つ。生え始める頭と腕。


「治癒速すぎだろ…!」

「いや、コール。十分遅いよ。」


アーが言うなら、そうなのだろうか。


「その力か…。"アルザサ王"が言っていた力…。上手く、再生できない…。」


ザスは床に転がったまま、再生に手こずっていた。


「なら、お前の負けだ。大人しくしろ。」


剣を首に刺す。


「服従すると本当に思ってるのか?なら、出来のいい頭だな…。」

「一つ聞いてもいい?何で"昔の戦い"に行かなかったの?」

「…お前もそうだろ。今いる悪魔は行ってない奴か、逃げてる奴らだ…。」

「それで?」

「静かに生きる。ただそれだけだ。」

「俺も話していいか?悪魔ってどうやったら死ぬんだ?」


首を斬り腕を斬っても喋っており、まだ生きている。


「再生させないように一撃で吹き飛ばすか、その力で斬りまくる。確実なのは吹き飛ばすことだよ。」

「ただここで吹き飛ばすことは出来ないよな。じゃあ斬っていくが、いいか?」

「好きにしろ。後悔は…」


ザスは何かを感じた。


ースタッ…。スタッ…。ー

階段を下りる足音。

耳を澄まして聞こえる、燃える音。


「(火が止まっていない…。俺の命令が聞こえなかったか?いや、この感覚…。)」


ーズズ…。ー

ザスは体を擦りながら、移動し始めた。


「逃げるのか?なら本当に…。」


コールも聞こえた。

火の音、降りてくる音。


ーギィィィ…。ー

扉が開き、姿が見えた。


「子供?おい大丈夫…」

「コール!!!」


ーフオオオオオオ!!!ー

充満した煙が、部屋になだれ込んだ。


「ッグ…。」

(???)「少しの間、眠っていてね。」


ーバタッ!!!ー

コールは思考が低下し、その場に倒れた。


「(ダメだ…。左腕だけじゃ姿を出せない…。ていうか、私も…)」


女の子は離れようとしている、ザスの方に歩いていく。


「ねぇ。」


語りかける女の子。

ザスは止まり、転がった頭で話す。


「何だ。」

「私の言うこと、聞く気はある?」


しばらく時間が経ったのち、館は火に包まれた。

ーーーーー

ーボオオオオオオ!!!ー

館が火に包まれた。

それは外からでも分かるほどに。


(ラペット)「なにあれ!?コールはまだ出てないよね…。」


ラペットは依頼者達を送ったのち、館の様子を外から見ていた。


「タイダル王ならやれるのかな…!」


ラペットはタイダルを呼びに走った。


ーザッ…。ザッ…。ー

館から離れる足。


「なんだ…。動いてるのか…?」


おぼろげな意識で、コールは状況を呑み込もうとする。


(???)「みんなが頑張る姿、楽しかったよ。ハァ…。楽しいことはすぐ終わっちゃうね。」


ーバタッ!ー

木を背に、自分の体は座った。


「それじゃね。」


ーサァ…。バサッ。ー

女の子から何かが抜け、女の子はその場に倒れた。


「その子の病気、治しといたから。私を楽しくてくれた、あの人への恩返し。」

「待て。」


ザスの声が、近くから聞こえる。


「あいつらはその子供を治そうとしていた。」

「そうだね。あの人は自分の子供を、治そうとしたんだよ。まぁ私が憑いてたから、すぐにでも治せたんだけど。」

「遊びってわけか。俺を不機嫌にさせたのも。大概お前もクズじゃねえか。」

(最上級悪魔:アル)「私は"アル"。楽しいことが大好きです。三人共。今度会うときは、一つになろうね。今はもう、時間がないや…。」


ーダッ!ダッ!ー

タイダルが先頭に、ラペットと複数の騎士も館に走ってきている。


ービョオン!!!ー

アルは翼を広げ、一瞬で消えていた。


「あれ…。館の外か?」

「途中で倒れたんだよコールは。あれ、何で倒れたんだっけ?ていうか、どうやってここまで…」


意識が戻ったコール達。

だが記憶が曖昧だ。


「俺が歩いてやった。」


ザスの声に驚く二人。


「お前!!!どこだ!!!」

「体の中だ。焼きダルマになりたくはなかったからな。」

「本当にそれだけか…?」

「疑ってるのか?本当にそれだけだ。俺は本来、冷静な奴だ。」


二人はまだ疑っていた。


「(こいつら、"あの悪魔のことを覚えていないのか"。"感情と、多少なりとも記憶を支配"できるようだな。"あれ"は。)」

「おい…。この子はなんだ?」


隣で眠っている女の子。


「燃える館の中にいた。拾ってやったんだよ。」

「…。そうか。」


ザスは疑いの目が少し薄まった気がした。


「コール!!!」


ラペットが手を大きく振りながら走ってくる。

横目で館を見ると、タイダルが鎮火させていた。

ただ館は全焼。

証拠などは残っていないだろう。


「何があったの?ってこの子は!?てかその腕なに!?胴体に模様!?なんか変じゃない!?」


ものの数時間で色々と変化したコール。


「色々ありすぎたな…。最後らへんは記憶が怪しいんだが…。まぁ、無事だよ。」


コールと女の子は、タイダル・オーシャンへと送られた。


ータイダル・オーシャンー

燃えた館から出てきたコールは、王宮の一室で安静にしている。

とは言っても、外傷は全くなかった。


(タイダル)「なるほど。悪魔か。それで、二体の悪魔に憑かれたと。」

「あぁ。アーって奴は大丈夫そうだ。ザスって奴はやけに静かになった。でも信用する気は今んとこないぞ。…タイダルは、悪魔に詳しいか?」

「いや、ほとんど知らない。実際、悪魔憑きは初めて見た。」

「そうか。そうだ、あの子はどうなった?」

「ソニアの家に預けた。」

「子供育てられるのか?」

「言ってなかったのか。"ソニアは結婚"しているし、"子供が生まれた"。あの子は、父が死んだと言っていた…。それに、あの子自身が望んだ家だ。」

「俺に子供を育てる能力はないし、相手が信用できるなら俺は大丈夫だ。」

「館がああでは、話せる事はないな。では安静にな。」


タイダルが部屋から出たため、一人になるのだが…。


「ザスは話す気ないだろ。だからアー。俺が聞きたいことを聞くぞ。」

「いいよ。それが終わったら私ね。」


傍から見れば、ただの独り言である。


「傷がないの、治してくれたのか?」


全焼するほどの火の中を、無傷で出ることは出来ないだろう。


「治したのは俺だ。」

「ザスが?」

「そうか。ありがとな。…お前ら悪魔って、"再生できるけど痛いものは痛いんだろ"。」

「…。そうだね。」

「じゃあ、下手に無理は出来ないな。下大陸ってどんな場所だ?」

「"悪魔を恨む"地だよ。あまりにも恨みが強くなりすぎて、"冥府"は悪魔ばかり追ってる。今はもう、人を取り締まろうとしない。」

「いつか、"下大陸に行くか"。悪魔を恨むなら、悪魔に関しても詳しいはずだよな。」

「行って何をする?"悪魔憑きと悪魔"は、同じ扱いだぞ。」

「"アーの体を戻す"。俺の左腕が治ったみたいなもんだからな。それに助けてもらった。その恩返しだぜ。」

「そう。じゃあ、いつかを待つとするよ。」


森の中に出来た、謎の館を巡る短い旅はここで終わる。

いつの日か、下大陸の地を踏みに行こう。

ーーー「暗黒の館」ーーー

下大陸の精密で高度な技術により小型化された箱。展開すれば館となる。

その箱に低級の悪魔を宿した死体の一部を組み込み、命令を出すことが可能となった。

火をつけることも、構造を組み替えることもできる。

死体となった人間から離れなかった悪魔は、悪魔としては純粋すぎ、低い再生力では自身の肉体しか治すことが出来なかった。

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