表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カインドラ  作者: 深緑蒼水
悪魔の呼び声

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/83

3:私刑人の得物

『悪魔の呼び声【3:私刑人の得物】』


窓から出ることは出来ないと、アーは言った。

そのため玄関を目指して、堂々と歩いていく。

なぜなら、危険な館の人間を捕縛して出るため。


(ダーマン)「"館"よ。道を閉じろ。そして、玄関前に誘導しろ。」

ーーーーー

ーゴゴゴ!!!ー

地鳴りがしたと、最初は思った。

だが音の正体は地からではなく、館自身であった。


「なんか、館が動いてるぞ…!!!」


ーガガガ…!!!ー

道を塞ぐ壁を集める。


ーダン…!ダン…!ー

廊下が壁によって区切られていく。


「コール!走って!」


迫る壁から走り、一階へと続く階段を探す。

見つけた階段を降りていくと、玄関が目の前に見えた。

玄関を開けると目の前に、両返しの階段があるのだ。


「…館の動きが止まった。"お前"は、何か知ってるよな?"スーツ野郎"…!」

(ダーマン)「適合したようだな。」

「お前達はなんだ?何をしようとしてる!」

「目的を話すことはない。だから別の話をしてやろう。知っているか?"棘大剣(とげたいけん)"を。」

ーザザザ…!!!ー

玄関まで来るまで、大剣を引きずっていたようだ。カーペットを剥がし、鋭利な木片の道になっている。

「知らんなそんな剣。てかまともに振れるのかよ。自分までも殺す可能性があるんだぞ。」

「振れるさ。振れるから持っている。"棘大剣"とは、"私刑人(しけいにん)の得物"。腐敗しきった"下大陸(げたいりく)"のゴミ掃除に必須の代物。」


木と少し埃が混ざった匂いが、さっきまではしていた。

だがこの男とあった瞬間、年季の入った鉄の臭いしかしなくなった。


「お前、人殺しってことか。その仮面も、鉄の臭いがするぞ。」

「私が人殺しではない。"悪魔"と"組織"が人殺しだ。だから腐った人間も悪魔も、組織をも殺さなくては。」


ーザン!!!ー

棘大剣をがっしりと構えた。

ダーマンは背が高くも細身だ。

歪な大剣を構える力は、どこから湧いているのだろう。


「好きな方を信じなよ。」


左腕に宿ったアーはそう言った。


「まぁ、どっちも好きじゃないが…。」


ーヂュミミミ!!!ザン!!!ー

波動を纏い、剣を向ける。


「あっちは嫌いだ!」

「そう。私は普通なんだ。」


ーグググ!!!ー

アーはより強靭に、鋭利に変化した。


「それでいいよ。今はそれくらいが、丁度いい。」

(棘大剣のダーマン)「何者だろうと、腐敗した物は戻らない。ならば消す。

環境配慮だ。」

ーーーーー

階段にコール。玄関前にダーマン。

高所を取っているコールは高く飛び上がった。


ーダン!!!ー

剣が勢いよくぶつかり合った大きい鉄の音が、廊下に響いた。


ーギギギ!!!ー

剣に力を込めるが大剣は斬れず、ダーマンは体勢を崩さず構えている。


ーブオン!!!ー

ダーマンは大剣を振り払い、コールを飛ばした。


「ッチ…!あの剣頑丈だな。」


ーザザザ…!!!ー

ダーマンは大剣を擦りながら、こちらへ歩いて来る。


「コール。あなたの剣と力じゃ、あれには勝てない。私を使いなよ。」

「やれんのか?」

「やれるよ。あなたはもっと、速く動けるんでしょ?隠し事はやめて、全力で殺ろう。」

「殺す気はない!」


ーバッ!!!ー

波動で加速したコールは、ダーマンの懐まで瞬時に移動した。


(ダーマン)「…!」


ーザン!!!ー

ダーマンの体に、大きな爪痕が出来た。


「どうだ!」


ーブオン!!!ー

ダーマンの反応は速く、横目に大剣の棘が見える。


「傷が深くはない…。加減したな…!」


ーダン!ググググ!!!ー

左腕が棘大剣を抑えた。

棘が手の甲を貫通し、手は大剣の芯を掴んだ。


「アー!!!」

「大丈夫…。再生できるから。」


ーバキ!バキバキ!!!バキン!!!ー

棘大剣は、二つに分かれた。


ースタッ…。ザ…。ー


「ッグ…。」


ダーマンは膝をつき、折れた棘大剣を床に突き刺した。


「終わりだ。」


剣をダーマンに突きつける。


「殺す気はないと言ったな…。」

「あぁ。捕縛して、オーシャンに連れてく。だから大人しく…」


ーダン!!!ー

ダーマンは折れた剣で、コールの剣を手から飛ばした。


「コール!!!!!」


ーグサッ!!!ー

腹部に剣が刺さる。

折れた剣でも確実に死ぬほど、奥深く。


ーボタボタ!!!ー

血が大量に溢れ、地面に落ちていく。


(ダーマン)「…。」

(コール)「お前、何してる…。」

ダーマンは自らに剣を刺した。


ーバタッ!ー

床に倒れたダーマンは、微かに何かを発している。


「館よ、火を付けろ…。」


そう言い、光は消えた。


(コール)「一体何のために…。」


死んでもまだ広がる血。


(アー)「それほどまでに話したくないのか、失敗した場合に生きるほどの希望がないのか。」


ーブオオオオ!!!ー

館に突如、火が付いた。


ーギャオオオオオオオオオ!!!!!ー

館に叫び声が響いた。


「火!?てか何だ今の…!」

「ふーん。そういう…。」

「何か分かるのか?」

「多分この館、"悪魔"が憑いてるんだよ。物に宿るなんて聞いたことないから、悪魔憑きの死体を壁とか床に埋めてたりするのかな。」


ードン!ドン!ー

次は大きい音が鳴った。


「屋敷が動いたわけじゃなさそう。」

「館の人間はもう一人いたよな。火がついて一人が死んだ以上、そいつを見つけてここを出るぞ!!!」


ータッ!タッ!ー

まだ火が回っていない方へと向かって走っていく。


「行くの?もう出ればいいのに。」

「再生するんだろ?てか、俺も再生できるのか?」


アーは黙っている。


「…。お前、さっき言ってたよな。隠し事はやめようって。対等が好きっていうなら、出て対話しようぜ。」

「…自分を再生できなかったら、どうするの?焼死とか最悪でしょ。」

「そうならないよう、自分でどうにかする。」


火が広がる館の中で、もう一人いた館の人間を探し出す。

ーーー「下大陸」ーーー

この星に存在する場所で最も治安が悪いとされる地。

そのため情報が少なく、なぜそうなってしまったのか、

他大陸から鮮明に分析することは、不可能であると言える。

ならば向かわなくてならないが、行くべき地ではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ