6︰風の国︰風葉亭
『騎士のソニア【6︰風の国︰風葉亭】』
ー風霧谷ー
霧が吹き荒れる谷を越えた先、緑が咲く風葉亭が見えると言う。
―ガサ!ガサ!ファサァァァ!!!―
草を掻き分け、風を浴びた。
(ソニア)「下を見ろ。」
(ポゼ)「わぁ…!」
(ヤチェリー)「あれが…。」
(ソニア)「谷を降りたらだな。」
巨山たる山々に囲まれた中心に、風葉亭は見えた。天は蒼。
山は季節によって素顔を変えるが、蒼に似合わない色はなく。
今はちょうど、桃の残りがよく舞っている。
ー風葉亭ー
ーガヤ…!ガヤ…!ー
風吹くその国は、人の流れが激しいことが、入ってすぐに分かった。
石畳で整備された道から、隅にひかれている砂利の方へと、誘導されているような流れだ。
そんな流れに抗うように、和広がる街並みを進んで行く。
ソニア達にとって、和の街並みは新鮮なものであった。
(ヤチェリー)「歩きたいのはあるんだけどさ、私は休みたいな…。」
(ソニア)「俺もだ。流石にそれがいい…。装備もなしに谷を越えたのは無理し過ぎたな…。」
(ポゼ)「僕も…。」
谷越えの疲れを癒したいソニア達は、暖色の明かりが零れる宿へと入って行く。
(ソニア)「ここにしよう。」
―ファサァ…。―
高貴な服がなびく。
(???)「あの…。」
そう語りかける、夾竹桃の匂いをもつ子がいた。
和菓子のような強烈ではないが、確かな甘さが。
(皆)「…?」
(???)「旅の方ですか?」
(ソニア)「そうだが…」
(嵐咲風花)「私は、"嵐咲風花"と申します。旅の方。あなた達の、旅の話を聞きたいのです。どうでしょうか?」
(皆)「…。」
そう名乗る彼女に悪い印象は感じないが、目先にある宿より勝る条件が、ソニア達には感じなかった。
(風花)「よろしければ、城の部屋を用意しますよ。」
風花は慣れた表情で、その言葉を放った。
(ヤチェリー)「城って…。まさか、"嵐咲家"…」
"嵐咲"。風葉亭をつくり、今日という日までこの国を導いてきた名。
(風花)「お静かに…。城から抜け出しているのです…。」
(ポゼ)「偉い人ってことだよね。」
(ソニア)「断る理由がなくなった。」
(風花)「よかった。では、ついて来てくださいな。少し速く戻りましょうか。」
ー嵐咲城ー
(風花)「さぁ、どうぞ。」
城に忍び込んだかのように、ここまでやってきた。
ーガラ!!!ー
風花が扉を開くと、想像していなかった光景が広がっていた。
(風花)「ご自由にお使いください。」
(ソニア)「まじか…。」
その和室は客室だからではなく、王の城が故の綺麗さであり、それが基準なのだ。
散りばめられた、金色の装飾や模様が目に留まる。
(ヤチェリー)「すごい…。」
(風花)「食べながらで構いませんよ。」
料理もまた一級。
(ポゼ)「君がつくったの?」
(風花)「はい。頼んでしまえば、バレてしまいますから。」
風花がつくった和食を食べながら、今までの旅路を話していく。
ーーーーー
(風花)「マリアではそんなことが…。」
(ソニア)「俺たちが嘘を言ってるかもしれないが。それでも信じるか?」
(風花)「そうですね。面白い話をしてくれるという人達が、私に話してくれたことがあります。ですが、そのどれもが虚偽の話。旅の方々から聞いた話には、どれも芯がある。実際に経験しなければ、語ることなど出来ません。」
(ヤチェリー)「風花はどうして、旅の話を聞くの?」
(風花)「憧れです。外国には出れませんので。」
王の血を継ぐとなると、身勝手に動けないものだ。
(ポゼ)「辛くないの?」
ポゼは強さを求め、ソニアについて行った。
ポゼにとって、風花の境遇は耐えられない。
(風花)「話を聞いているときは、とても楽しいです。ただしばらくすると、日々に退屈してしまいます…。」
それは風花自身もそうなのだろう。
清き欲を抑制することなど、正しいことではないのだ。
(風花)「このくらいにしましょうか。夜も遅いですし。もし明日、風葉亭にまだいるのなら、山を登りませんか?」
(ソニア)「山?」
(風花)「はい。あなた達となら、"彼らに本音を話せるかもしれません"。」
高く聳え立つ山。その頂上には、"何か"がいる。
"2026/01/23"読みやすくなるよう変更を加えました。流れの改変は行っていません。




