13:理想を背に夕日へ向かう
『魔女のアリス【13:理想を背に夕日へ向かう】』
影軍:ソーンを倒したアリスとアヤ。
ソニア達の元へと急ぐ。
「みんな…!!!」
「…!アリス、あれを見て…。」
「アリス様!撃破お見事ですが、コールが…。」
―ボタボタ…!!!―
コールの左腕は、ソーンとの戦闘によってなくなっていた。
(コール)「…。」
出血によりコールの意識はない。
「ソニア!アリスが来たよ!」
―ヂュミミミミ!!!―
ソニアは波動を溢れさせ、コールに当てていた。
「昔俺がやったように、治せると思ったんだが…!」
「ソニア、変わって…!!!酷い傷…。」
アリスは腰を下ろし、コールの左腕に手を伸ばした。
「コール…。聞こえていないだろうけど、ごめんなさい。今の私に、あなたの腕を戻すことはできないわ。だから…。」
―シュイイイン…!!!―
アリスの手から光が溢れ、コールの左腕は形を成し始めた。
「今の私は、これが限界。義手になるけれど、我慢してちょうだい。まだ、お母様のようにはなれないわね…。」
コールの欠損した左腕を、ひとまず治療したアリス。
コールの片腕は、鉄の部品を組み合わせた義手として、修復されていた。
「コールが起きるまで、ここにいましょう。」
―フオオオオ…。―
肌寒い夕日の風が、吹いている。
誰も喋ることはなく、沈んでいく日を静かに見ていた。
(アリス)「ねぇ、みんな。」
瘴気が晴れた、晴天の夜。
星を見ながら、アリスは言った。
「この旅が終わったら、クルサンを再建するわ。」
「えぇ。造りましょう。」
(アヤ)「私も協力するよ。」
「それと朝になったら、やりたいことがあるんだけど…。いいかしら?一度離れる前に、やっておきたいの。」
―次の日―
(ソニア)「大丈夫か?」
「上手く、動かせないけどな…。」
―カラッ…!―
ソニア達は何かを拾いながら、話していた。
「コールとラペットは、いつから波動を使えるんだ?」
「これのことだよね。」
―ヂュミミミミ…!!!―
ラペットとコールは、波動を少しだけ放出した。
「最近だよ。突然使えるようになった。名前は知らなかったけどな。」
「そうか、突然目覚めたんだな...。」
ソニアはふと、昔の記憶を辿っていく。
「(エンクは言った。波動の力が、生命に影響を与える力であること。オニキスは話してた。"善たる神"という存在がいて、その神に使える騎士達が、"蒼く光る"力をもっていたと…。)」
思考を巡らせ、ある一つの結論に至った。
それは"波動がなぜ、突然目覚め始めた"のか。
「きっと必要だから目覚めたんじゃないかと、俺は思うな。」
(コール)「必要?」
「そのうち、分かると思うよ。」
望むことはないが、何か自分の考えというものが、凄く当たる予感がした。
「(きっと"クラマドは復活"する。あの使徒を復活させ、竜王に命令したのか…?)」
(ラペット)「ソニア?何か考え事?」
ふとした時にはラペットとコールが、少し離れた位置にいた。
「いや、今行く!ひとまずは、目先の事を考えていよう…。」
―――――
アリス達も同じように、何かを集めている。
―バオオオ…!!!―
アヤは闇を放ち、呑み込んで集めている。
「闇の使い方が、上手くなったようだな。」
「黒野助ほどは、まだできないよ。魂に触れないと魂の魔法は、何も出来ないと思ってた。」
「当てられなければ、自身に使えばいい。魂は、自分にもあるのだからな。」
(アリス)「…。」
―シュウウウ…!ガラガラ…!!!―
アリスは魔法で拾い寄せ、一点の場所に集め続けている。
だがその表情はどこか固く、遠くを見ていた。
「アリス?」
「…!何かしら…?」
「…何か、考え事ですか?」
しばらくアリスは黙り込み、口を開いた。
「奴が言っていた言葉が、気になるのよ…。」
「なんと言われたのですか?」
「お母様が、傀儡になっているかもしれない…。」
「傀儡…!では…。」
「魔物達が魔法を使えたのは、お母様が竜王の封印に負けたから、なのかもしれないわ…。」
「そもそも魔法を与えられるのは、あの人だけなんでしょ?」
「えぇ。だから、とても心配よ…。」
「気になるのは、それだけですか?」
「…。えぇ。それだけよ。」
―ガラガラ…!!!―
随分と、目的の物が集まった。
「アリス。感覚が感じられなくなったかも。瓦礫に埋まってたりしたら、探せないけど…。」
「このくらいにしておきましょう。私達には、まだ先があるもの。ソニア達を呼んで、"英雄達の慰霊碑"を建てましょう。彼らの鎧と武器を置いて…。名前を刻むのは、今度にするわね…。」
―――――
「みんな、ありがとう。こんなに広い場所で、探してほしいだなんて…。」
(アヤ)「私は好きだよ。人の気持ちを、感じられた。」
(コール)「アリスって案外、熱い系だよな。」
「そう?でも思いには、応えていきたいわ。」
慰霊碑を建て、集められただけの鎧や武器を置いた。
「あなた達のおかげで、多くの命が助かることになるわ。ありがとう。そして、ごめんなさい…。あなた達を、助けられたかもしれない。どうかゆっくり休んで。そして、見ていて。私はあなた達から受け継いで、歩いて行くわ。」
―ビカァァァ…!―
雲の隙間からの、眩い光。
「影は晴れた。さようなら。戦士達…。メルセデス…。」
慰霊碑より離れ、アリスは歩いて行く。
「それじゃあ、行きましょう。」
アリスに続き、皆夕日へと向かっていく。
目的地は最後の地。
(ラペット)「あれ?ソニア、全然来てないけど…。」
―ヂュミミミ!!!―
ソニアは慰霊碑から離れず、地面に手を当て続けていた。
―スタッ…。スタッ…。―
満足したのか、合流しに来た。
(アリス)「何をしていたの?」
(アヤ)「アリス。地面を見て。」
―ファサァ…!―
大半の草木は燃え、大地は枯れてしまった。
そんな広大なクルサンにとってとても小さい規模ではあるが、
慰霊碑を中心とした僅かな地は、既に彩られていた。
「波動を地面に流し込んだ。景色が戻るのが早ければいいなって、思ったんだよ。色がないと、寂しいだろ。」
「ありがとう、ソニア。あなた達の力はきっと、とても優しいものなんでしょうね。」
一時期の別れを告げよう。
―クルサンの英雄達、ここに眠る…。―
(ソニア)「次はどこへ?」
(黒野助)「"氷結の砦城:アルメンカル"。ここクルサンより、絶望的かもしれない…。」




