11:鋼鉄工場:クルサン
こんばんは、深緑です。
あとがきにて設定を書いています。
『魔女のアリス【11:鋼鉄工場:クルサン】』
―ペルトバーラ(次の日)―
前日皆それぞれ別れ、次なる地への準備をしていた。
そして来る出発の日。
―チュン…!チュン…!―
朝の遊園地は静かだった。
集合は、ペルトバーラ出口ゲート。
(ソニア)「…。」
(黒野助)「…。」
誰もいない園内を見る二人。
―スタッ…。スタッ…。―
「黒野助。」
ソニアは黒野助を呼び、歩いてくる二人を指した。
(ニキャット)「やぁ!まだ二人かい?」
(タレン)「準備に時間がかかっているようだな。あるいは、行けない可能性も。」
「いいや、あの子は来るようだ。」
(アリス)「待たせたわね。契約に体力を使い過ぎて、寝込んでたわ。さぁ、来なさい。」
アリスの背後にいる、意外にも大きかった彼女は、闇を一部纏い現れた。
(アヤ・オブシディアン)「改めて挨拶をさせて。私は"アヤ"。ごめんなさい。そして、よろしく。」
「ちゃんとした姿に戻れたな。」
「うん。みんなのおかげ。みんな、私を否定しないでくれた。特にあの蒼い光は、昔を思い出せる…。」
「"闇"は、君の力になったのだな。」
「私には、一番しっくりくる力。まだ完全に制御できないけど、もう暴走しないよ。」
「それでいい。意味を見つけたのなら、闇は君のものだ。」
「おーい!!!」
デカく元気のいい声が聞こえた。
(ソニア)「コールとラペット…!」
「でも、まだ分からないわ。親を説得出来ていなければ、この旅には連れて行けない…。」
「着いて来なくても、一つ話したいことがある…。」
(コール)「よぉ、来たぞ!」
(ラペット)「お待たせ…。」
「二人とも。あなた達と出会えて良かったわ。ソニアと黒野助を見つけられた。なんなら、全て救えたわ。…それで、旅には着いてくる?とても、安全を保証できるものではないわ。それでもいいと言うのなら。あなた達が、親の許可を得たのなら。共に行きましょう…!」
「ついて行く。俺も、ラペットも。」
「親の許可は、ちゃんと得たよ!」
ラペットは紙を、アリスに渡した。
「これは…。」
「サインだ。一応貰っておいたぞ。」
「タレン。」
―サッ…。―
「字体を確認しておきます。ホテルのサインがあるので。まぁ今ある記憶だと、不正はないと思われますが。」
「厳重だな…。そんなことしないぞ。それは、俺達の精神に反する。」
(ソニア)「何か、なりたいことでもあるのか?」
(コール&ラペット)「"騎士"になりたいんだ!!!」
(ソニア)「…騎士?」
(ニキャット)「子供達の夢さ。マスコットになりたいって、言う子もいるよね。」
ニキャットはいつも通りの笑みで、アヤを見た。
ニキャットやタレンが話しかけても、
機械人形は組み込まれた仕組みでしか、動くことはない。
だが意思は生まれ、魂を手にした。
「マスコットは、しばらく不在だけど…。」
「"天帝:メルセデス"の鋼鉄騎士…!"氷炎のファーマン"率いる、"アルメンカルの騎士"!かっこいいだろ…!憧れるよな!」
コールは熱く、ソニアに語った。
ラペットは喋らなかったが、"そうなんだよ!"
と言わんばかりの目の輝きで、ソニアを見ている。
「ッフフ…。」
ソニアは軽く、その時笑った。
「昔の俺もさ、そうだったんだと思うよ。父や、育ての友人から見たら、こんな感じなのかなって…。」
(ラペット)「変、かな…?」
「いいや、そんなことはない。夢を語ってくれて、凄い嬉しい。もし興味があるなら俺の所でも、入れると思うけどな。」
「…!表大陸の騎士か…。未知も、悪くないな…。」
「それで、ついて行っていいよね!?」
「いいわよ。意思も許可もあるのなら、誰も止められないわ。」
人数は揃った。
「アリス様。では、行かれるのですね。」
「えぇ。次の場所へ行くわ。」
(ソニア)「どんな場所だ?」
(黒野助)「"鋼鉄工場:クルサン"。裏大陸の心臓と言ってもいい場所だ。裏大陸全ての資源を担っている工場でもあり、鋼鉄の城でもある。」
(ニキャット)「一番安全だけど、一番狙われる場所かもね。まぁあの人は強いから、大丈夫だと思うけど…。」
竜王率いる魔物の軍勢により、裏大陸は断絶された。
情報網は絶たれ、それぞれの地がどのような状況かは、
行かなければ分からない。
「それじゃあ、準備はいい?」
(コール)「おう!」
(ラペット)「よろしくね…!」
(ソニア)「何かあれば守るさ。」
(黒野助)「あぁ。」
(アヤ)「足を引っ張らないようにするよ。」
(アリス)「じゃあ、行ってくるわ!」
―バッ…!!!―
ニキャットとタレンはその場に膝を着き、主を見送った。
「人々は、我々にお任せを。」
アリス達は出口ゲートをくぐり、次なる地へと向かう。
巨大な坑道を抜け、クルサンへと進むのだ。
一行の姿が見えなくなった時…。
「ねぇ、タレン…。」
「どうした?」
ニキャットはいつもの元気ではなく、不安や心配の声で話出した。
「"クルサン"や"アルメンカル"は、無事なのかな…?」
「我々は同じ主の元、集まった戦士だ。友を信じ、知らせを待つのみ。…だが、ペルトバーラやソウルトーン。ギャラクシアに雪崩れ込んでいる以上、無傷ではいないだろう…。少なくとも、竜王が占拠したと言われる森に一番近い、"アルメンカル"は…。」
ニキャットとタレンはアリス達を送り、この地を守護するが、
どうも不安や心配は拭えなかった。
―――――
坑道を抜け、屈強な地へと踏み入れた一同。
すぐさま、鋼鉄工場:クルサンの姿が視界に広がった。
(ソニア)「…圧巻だな。」
高くそびえ立つ、鋼鉄の壁。
「クルサンは広大よ。あらゆる地を、城内に取り込んでいるもの。」
鋼鉄の魔法を使う、"天帝:メルセデス"によりつくられた城。
城内に山を入れるのも容易い。
―ガガガ…!!!―
山鳴りのような音が鳴る。
巨大な扉が開くのだ。
「警戒は、しておいて…。」
そう言ったアリスの言葉を聞き、開く扉を凝視する。
―ガコン…!!!―
鋼鉄の大扉が開いた。
(黒野助)「驚いた…。」
―ダッ…!ダッ…!―
数人が走り出し、こちらに向かってくる。
距離が縮まるたび、鉄の揺れるが大きく聞こえる。
(鋼鉄騎士)「ア、アリス様でいらっしゃいますか…!!!そ、それに黒野助様…!」
―バッ…!!!―
数人の騎士達は整列し、主の前にて膝を着いた。
「我々は"鋼鉄騎士"。"メルセデス"様率いる、騎士であります。」
「ク、クルサンは無事なの…?みんな、生きているの…?」
「はい。メルセデス様の指示でここに来ました。アリス様の、気配がすると。」
「会える?」
「もちろんです。ではどうぞ、皆様方。我々についてきてください。」
そうしてアリス達は鋼鉄騎士らと共に、クルサンへと向かう。
(ソニア)「…。」
(ラペット)「ソニア?」
ソニアは一人止まり、辺りを見ていた。
「…あぁ。今行くよ。」
「どうかしたの?」
「なんでもない。あれは人だし、魔物の気配も感じない。」
「そっか。ソニアが言うならそうなのかも。」
「(だがやけに、顔色が悪かったな…。)」
―鋼鉄工場:クルサン―
―ワヤワヤ…!ガヤガヤ…!―
メルセデスの待つ、城へと向かうアリス達。
その道中では、クルサンの街並みを見れた。
(コール)「本当に、人が生きてるな…。」
(アヤ)「あれ見て、工場が動いてる。」
行き交う人々。音を鳴らす工場。
「街を見ていかれますか?」
「あとでいいわ。今は…。メルセデスと話したいの。」
―――――
ートントン…!ー
「アリス様達をお連れしました!」
(天帝:メルセデス)「...入れ。」
「では、我々はこれで。」
―ギギギ…!!!―
「久しぶりね…。」
「アリス様…。黒野助…。」
「君に、聞きたいことがあるんだが…。」
「あぁ。多くあるだろう。どうか座ってくれ。」
「私が話すわね。…魔物達は、攻めてきたの?」
「はい。ここクルサンに。そして戦い、勝利しました。」
「そう。それは、とても凄いことね。…メルセデス。あと一つだけ聞いて終わるわ。決してあなたを、責める言葉ではないことだけ、分かってちょうだい。」
部屋の中は沈黙した。
しばらくの間、みんな。
答えは分からなくとも、疑問に思ったことは全員、同じはずだ。
「メルセデス…。なぜ、"助けに来なかったの"?」
(メルセデス)「…。」
メルセデスは沈黙した。
「何かあるのか?勝ちはしたが、多く人を失ったり、物資がなくなったりと…。連絡網は絶たれている。その状況で、外には行けなかった。とかか…?」
「いや、そんなことはない。人は全員死んだし、クルサンは滅んだんだ。」
(皆)「は…?」
メルセデスは突然、意味の分からないことを言い始めた。
その瞬間…。
―バオオオオオオオ…!!!―
(アヤ)「…!?闇…?」
メルセデスは禍々しい力を放出した。
その力は部屋に広がった。
(ラペット)「うっ…!足が動かない…!!!」
「メルセデス…!!!」
「お前は誰だ…!メルセデス…!!!」
アリスと黒野助は、メルセデスを呼ぶ。
分っているはずだ。
鋼鉄の魔法をもつ彼が、鋼鉄の魔法を使っていない時点で…。
(メルセデス...?)「ッフ…。勘がいいのか、悪いのか…。善者気取りのバカ共が…!!!」
―バオオオオオオオオオオオオオ!!!!!―
その力は、更に広がった。
部屋もその力に戻り、本当の姿が顕になっていく。
(皆)「…!!!」
部屋は漆黒の奈落と化し、アリス達は落ち続けている。
(コール)「おい…!また呑まれるのかよ!」
(???)「安心しろ。最初の位置まで戻してやる。だが、逃げることはできない…!」
メルセデスの姿は見えず、先程とは違う声が聞こえる。
「お前達がのんびりしている間に、"クルサンは壊滅"した!!!"影"が呑み込んだ、過去の遺産!来い、影の中に!"クラマド"様が創成した、使徒の一体!」
(影軍:ソーン)「この"影軍:ソーン"が、お前達を始末する!!!」
―バオオオオ…!!!―
そうして、アリス達は影へと呑まれていった。
―――「影軍:ソーン」―――
悪の神:クラマドが創成した、使徒の一体。小人のようなサイズ感で実体はなく、影で構築されている。影を操るソーンは、同じ体をもつ大軍である。能力としては、景色の偽装。影への移動。存在を模倣、あるいは肉体の乗っ取り。物体へと入り、動かすことも出来る。




