5:死者の墓
『魔女のアリス【5:死者の墓】』
―死者の墓:ソウルトーン―
―ファサァ…。ー
暗く肌寒い森。
「静かだな…。」
「ここは墓なのよ。元々日が入りにくい森、死者達が眠る場所。」
「墓荒らしはされていないみたいだぞ。」
並べられた墓標。
だが、草が生い茂っている。
本来手向けられているはずの花は無い。
「でも魔物は来たはずよ。眠っている魂達が、怒っているかもしれないわ。魔物と魂、両方に気をつけて進みましょう。」
ーーーーー
―ザッ…。ザッ…。―
並ぶ墓の道を進むアリス達。
「魔物はいないっぽいな。」
「”墓守り”達は勝てたのかしら…。」
「でも手入れされてない。」
「墓守りとその家族達が、住んでいる場所があるはずよ。」
「アリス。あれはどう見える?」
ソニアが指した先には、霧が薄く立ち込めている。
霧の中に何かが見えた。
「家っぽいわ。言ってみましょう。」
ーーーーー
薄霧の中に入ったアリス達。
そこには家々が、建ち並んでいた。
だがどれも、廃墟と化している。
「誰かいるな。他に気配は無い…。」
「…。近付いてみるわ。」
座り俯いている者がいる。
―スタッ…。スタッ…。―
「”黒野助”…?」
「眷属か?」
「えぇ…。この剣にこの編笠。黒野助よ。」
二人目の眷属:黒野助。
名前と装いを知るに、裏大陸出身ではないようだ。
「魔物の魔法かしら…。魔物の力を感じるわ。いや、お母様…?」
黒野助に触れ、確かめた。
魔物だと感じる力。
けれどどこか、母を感じた。
「眠っているだけっぽいな。今の内に治せるか?」
「…。…解いてみる。」
疑問に思ったが、確信になることはなく。
今は治すことにした。
―シュイイン…!!!―
アリスは手をかざし、魔法を発動した。
暗い森に、明かりが灯る。
―ザザ…!―
(ソニア)「…?」
「出来た…!これで戻るはずよ。」
―ガサガサ…!ドス…!―
家の外、先程から音が聞こえる。
「アリス、変だ…。」
―ヂュミミミ…!!!―
波動は反応した。
「何か来る…!構えろ!!!」
―ドスン…!!!―
家の天井を突き破り、アリス達の前に降り立った。
(???)「…人間!!!」
(ソニア)「…”鬼”!?」
額に角が生えた巨体の存在。
手には凶暴な鉄棒。
「それはなに!」
「そういう生物だ!前に友達から聞いた!昔、表大陸にいたらしい。”そういった種”がな…!」
―ドン…!ドン…!―
鬼はトゲトゲしい棒を、床に打ち付ける。
(鬼)「グオオオオオ…!!!」
ーーーーー
―ブオン…!!!―
鬼は鉄棒を振る。
強風が吹くほどに。
(ソニア)「力が強い…!」
―ブオン…!―
だがデタラメに振っている。
知能はそこまでない鬼なのだろう。
―ズサ…!―
ソニアは俊敏に足を狙う。
「グオオオ…!!!」
―ドスン…!ドスン…!―
鬼は自分の足下を、乱雑に攻撃する。
―フラッ…。―
(ソニア)「…!振動が…。」
―フオオオオオ…!!!―
鬼は鉄棒を高く振り上げ…
「ソニア…!」
―ドオオオオオオオオオ…!!!―
アリスは光線を、鬼へ放った。
溜めた力は強く、鬼の腹部に大きい穴を開けた。
―ドスン…!!!―
鬼は手から鉄棒を落とし、回路が切れたかのように倒れた。
「やったか…。」
「黒野助は…!」
後ろを振り向くと黒野助は倒れ込んでいるが、無事なようだ。
―グググ…!―
(鬼)「グオオオオオ…!!!」
突然鬼は口を開け、アリスの方に向かった。
腹部に大きい穴が、開いたというのに…。
「…!?」
「アリス…!」
―ヂュミミミ…!!!―
波動を纏い足に力を入れるが、鬼は起き少し進んだだけで、
アリス達の間近にいる。
間に合う距離ではない。
―スッ…!ズオオオオオオオオオオ…!!!―
一瞬の斬撃。
それは鬼を二つに割った。
(鬼)「グオオオオオオオオ…」
―シュウウウ…。―
鬼は体から光を漏らし、動かなくなった。
「なんだ、これ…。」
ソニアは驚愕した。
鬼の体は、黒く干からびていた。
―スチャ…。―
剣を鞘に戻す。
「驚いたわ…。」
(黒野助)「ご無事ですか?アリス様。」
黒野助は目覚め、鬼を斬り伏せた。
―――――
―バチバチ…!―
アリスは火を起こし、その火を三人で囲んだ。
「魔物達は、目覚めた鬼によって倒されたのでしょう。」
「鬼は死んでいるってことね。」
「魔物が魔法を使っているというのは、驚きです。ですが確かに、死んでいるはずの鬼は動いていた…。私のもつ、”魂の魔法”。」
「利用されたんだな。」
「人々の安否が心配だ…。魔物がいなくとも、鬼は人を襲う。」
「なら行きましょう。」
「えぇ。…ソニア。ギャラクシアを救いここまで来た君を、期待している。」
「そうか?…よろしくな。」
アリスとソニアは黒野助と共に、
ソウルトーンの人々を救うべく歩みを進める…
前、ソニアは気になることがあった。
(ソニア)「黒野助。」
「何か?」
「気のせいなら忘れてほしいんだが、あんたに似てる顔を知ってるんだ。」
黒野助は編笠をつけている。
だが、顔が見えないわけではない。
「…私も微かだが、君からは"故郷の風"を感じる。」
「何かあるの?」
(ソニア)「多分。」
「君にはちゃんと名乗ろうか。...私は”嵐咲黒野助”。今は国になっていると聞いた。」
「当たってるな…!…ていうか、何歳だ?」
(嵐咲黒野助)「私を含め眷属達は、長い時間を生きている。何代、この名が渡っているのだろうか。」
「ちなみに私も、眷属の皆と同じくらいの年齢よ。」
「本当か…?」
「興味があるなら、歩きながらでも話そうか?私にある、過去の記憶を…。」




