5 : 流砂
『騎士のソニア 【5 : 流砂】』
ーザアアア!!!ー
砂の城が崩れた轟音は、静止していたマリアを動かす、土砂のように響いた。その音を聞いた、国民たちにも伝播していく。
(人)「こっちだ!!!」
(人)「"ゴーレム"はいないのか!!!」
大量の砂の中に、人が飛び込むのは危険だ。
(ゴーレム)「任せろ。」
砂の山の周りに、人が集まる。状況を理解し、伝えた人々のおかげで。
(人)「無事か!!!」
砂の中から引き上げられた。
(ゴーレム)「そのはずだ。喋れるか?砂を飲み込むのは危険だが…。」
(ソニア)「あぁ…。ありがとう…。ヤチェ。」
(ヤチェリー)「ヅゴホ!」
(ソニア)「大丈夫か?」
(ポゼ)「うん…。ソニア達も大丈夫そうで…。」
ソニア達は、ゴーレムによって発見された。
(ゴーレム)「…。これは…!」
ーザワ!ザワ!ー
もう一体のゴーレムが、砂の中から見つけ出した人を、全員が見た。
それは国民にとって喜びであったか。
あるいは、魂を乗っ取られた、優しき王に対しての哀しみであったか。
思う感情は、人それぞれあるはずだ。
(民)「ディアノス王!!!」
(ポゼ)「どうなるかな…。」
(ソニア)「…何かあったんだろう。あの男の言葉を聞いたら、ディアノス王が私欲のため、杖を取りに行った訳じゃないように思えるな…。」
ー数日後ー
ヤチェリーの家。ヤチェリーが紙を持って、外から戻ってきた。
(ヤチェリー)「来たよ。」
時が止まっていたマリアにも、"情報紙"が届くようになった。
ーここ近年での、土砂の国:マリアの噂。タイダル王、ディアノス王との対談後、砂が活性化していた影響であったと報告。結果は噂通りであった。現在、砂の活性化は収まっている。ー
情報紙の内容だ。
(ソニア)「真相には触れられてないな。」
"時の杖"。"黒鎧の男"。
(ポゼ)「でも、ディアノス王は戻ってきてるよね。」
(ヤチェリー)「タイダルが協力して、戻せるものは戻していくらしいけど。」
失った時。概念を戻すことは、王であるタイダルでも難しいだろう。
(ソニア)「まぁ、マリアに真実が伝わってるのは、いいことだと思うが。」
時が止まっていたという話は、情報紙にはのっていない。
その事実を知るのは、マリアの民達だ。
(ヤチェリー)「本当のことを知ってるのは、私たちとディアノス王だけ。いや、本当に全てを知ってるのはタイダルだけなんだろうけど。」
黒鎧の男。その存在は、民達にも知られていない。
ーーーーー
その日。事の詳細をディアノス自身が、民の面前で語った。
(ディアノス)「…。事の真相を、話していく。全て、私の責任だ。"時の秘宝"たる噂を聞きつけ、そのような力があれば、国を良い方向へと導ける。そう思ったのだが、現実は厳しいものだった。タイダル王や、"風葉亭の次期王"。"火の王"や、"雷鳴たる名の家系"のような強さは、私にはなかった。身を知った…。本当に、貴重な時間を奪ってしまった。すまないと、思っている。」
ソニア達も、国民も、それを隅で見るタイダルも。
誰も言葉を発さず、ディアノスを見ていた。
正直、ディアノスは辞退してもよかったのだろう。
だが、衝撃である真実を伝えられた時、国民はこう言った。
(人)「なら!あなたが動かすんだ!!!それが、王の責任だろう!」
誰も責任を取れないとき、人は誰かに投げるのだ。
それはディアノスにも言えること。だがディアノスは。
(土砂の王:ディアノス)「もう一度チャンスがあるならば…!」
ーーーーー
崩れ落ちた、砂の城。そこに建てられた仮地点。
(タイダル)「見事だった。」
(ディアノス)「あなたのように、本当はなりたいが…。」
理想と現実は程遠かった。
(ポゼ)「僕はいいと思うけど。ディアノス王には、期待を背負って、決断をする力があると思うんだ。」
(ヤチェリー)「それが王の器なんでしょ。特殊な力は必要ない。」
王に求められるもの。
それは絶対的力ではなく、人の前に立ち、思いを背負える器なのではないか。
(ディアノス)「…。励ましをもらえるとは。君たちにも、迷惑をかけた。特に若い時間というものは…。」
(ソニア)「正直、あなたを止めようとはしたけど、俺達にその力はなかった。止めたのは、"あの男"だ。」
正体不明。目的不明の、黒鎧の男。竜の里との関連はあるのだろうか。
(タイダル)「存在が分からない相手に盗まれるとは、厄介だな。」
(ソニア)「あの杖は何だ?」
人智を超えた、不思議な杖。
(タイダル)「特別な武器だ。人があれらを扱えることはない。本質を引き出せるのは、"もっと上だ"。」
タイダルとの話は、いつも謎が深まる。
ーブラック・ロワー
薄暗い家。霧深い地。
(黒鎧の男)「…。載ってはいないか。」
(???)「見つかっていなければいいですね。」
(黒鎧の男)「それは難しいな。あの場にいた全員を生かし、逃げるにはあれしかなかった。存在は知られた、ここからは早さだ。」
(???)「次の準備は出来ているようです。」
(黒鎧の男)「あぁ。少ししたら出る。お前も準備しておけ。"移動都市"からの目的に、俺は関われない。」
ーーーーー
マリアが程よく落ち着き始めた朝。門の外で、ある人を待つ。
(ヤチェリー)「…。行こう。マリアでは足止めをくらってたから。だから行く。私、まだ強くなってない。」
(ソニア)「そうか。」
(ポゼ)「じゃあ、次は…。」
<"風の国:風葉亭">
"2026/01/23"読みやすくなるよう変更を加えました。流れの改変は行っていません。




