17:出でよ、我ら獣の王よ
『狩人のディポラティア【17:出でよ、我ら獣の王よ】』
「見せてやる…。」
眼帯を外したディポラティア。
今やその眼は赤く輝き、身を縛る者は消えた。
ーギイイイイン!!!グググ…!!!ー
赤い閃光が辺りを照らし、肉体が変化していく。
ーシュイイイン!フオオオオオオ!!!ー
胸元が明るく光り、巨大な翼で突風を起こす。
(竜神:バハムート:ディポラティア)「グオオオオオオオオ!!!!!」
上空からでもハッキリと見える巨体。
空まで響く王者の咆哮。
「来い、狩人達…!」
「出たな…!バハムート!!!だが所詮、旧時代の覇者だ。新時代の力こそ頂点!」
ーバッ…!バサァ…!!!ー
ムデナ達は翼を広げ、空へ羽ばたこうとしている。
(???)「ディポラティア…!!!」
上空、バハムートへと変化したディポラティアへと語りかける声が聞こえる。
「来たか。」
ーサッ…!バッ…!!!ー
ディポラティアも翼を広げ、両手を広げ待機した。
「落下装置を押すんだ。」
「うん!」
ーガコン!!!ー
レバーが引かれ、方舟に取り付けていた"二本の槍が"、
地上のディポラティアに向けて落下していった。
(ミア)「お兄さん!!!頑張って…!!!」
ードン!!!ー
先に空へと向かった二体を追い越し、空へと飛んだ。
ーガシ!!!ー
二本の大槍を、確かに握る。
悪しき獣を討つ、最強の武器。
"グングニル"と"ゲイボルグ"。
「あぁ!受け取ったぞ、ミア!!!」
(ミラーデイン)「さぁ、戦線から離脱したまえ。あとは我々がやろう。」
方舟から下を見る。おぞましい巨大な獣が、二体。
(組員)「行かれるのですね、ミラーデイン様。」
(狩人:ミラーデイン)「私にも力はある。ではな。」
ーバッ…!グググ…!!!ー
ミラーデインは方舟から飛び降り、姿を変化させた。
今や前線から身を引いた者であるが、確かにその身は狩人であり、
獣の力も有している。
ーファアアアン!!!ー
光の繭を破り、ミラーデインがもつ獣の姿が現れた。
(鏡精:ミラーラ:ミラーデイン)「助太刀するぞ、ディポラティア!!!」
ーバサァ…!ー
鏡のような六枚羽を煌めかせ、バハムートの隣りについた。
「ミラーデイン?獣になれたのか。狩人であったとは、聞いていたが…。」
「昔に得た力だ。決して火力向きではないが、サポートなら任せたまえ。」
(ムデナ)「グオオオオオオ!!!狙いは奴らだ、いいな!!!」
(ヌル・バハムート)「ギャオオオオオ!!!」
ヌル・バハムートに装備されている、全ての武器が展開された。
「俺は他者の幸せを奪い、自分のものにする!それが真理だろう!強者が弱者を狩り生きる!!!自然の摂理、弱肉強食だ!我が夢の煮えとなれ…!」
ーゴルゴル!!!ー
黄金の結晶が、フェンクスの肉体を駆けていく。
ーバキバキ!!!ー
それと混ざるように七色の宝石たちが、巨大な武器にそれぞれ変化していった。
「支配者は常に、俺であり続ける!!!」
ーガコン!!!ー
数多くの巨大兵器が、ディポラティア達に向く。
「行くぞ、ミラーデイン。」
「あぁ!君と共に!!!」
ーーーーー
ーガコン!!!ドドドドドド!!!ー
ムデナ達二頭は、肩に装着したマシンガンを乱射した。
ーバサァ…!!!ー
ディポラティア達は別々の方向に飛び、弾を避けていく。
「また弾飛ばしか?」
ーバッ…!ギュイーン…!!!ー
少し攻撃する隙を狙ったディポラティアは、ムデナ達二頭に向け、
全力のブレスを放った。
ードオオオオオオオオ!!!ジュアアアアアア!!!ー
発射された弾と宝石は瞬時に溶け、地形ごと溶かしていく。
ーバサァ…!ー
二頭もまた別々の方向に飛び、ブレスを避けていく。
「適当に撃ち続けるのは危険だな。」
容易く環境を破壊する力は、地上にいる人々を巻き込んでしまう。
ーミラミラ…!!!ー
「ディポラティア!ブレスをミラーに撃て!相手に当たるよう設置している!」
ミラーデインは羽を取り、それを引き伸ばし空中に設置していた。
ーボオオオオオオ!!!ー
ミラーに当てたブレスは反射し、予測不可の攻撃として二体に降り注いだ。
ードドドドドド!!!ー
ブレスは次第に分裂し、ムデナ達に命中していく。
武器を溶かし、宝石を貫く。
「すでに鏡の中なのだ。避けることはできん。」
「ッチ!ミラーデイン!!!頂点から引きずり降ろされた、組織の成り損ないが…!」
ーバキバキ!!!ー
ムデナ達は地上で宝石のドームを展開し、身を隠した。
ーフオオオオオオ…。ー
空中にて二体の行動を待つ。
(ディポラティア)「損傷はあるはずだ。ムデナにも生物兵器にもな。」
ーギュオン…!ギュイーン…!!!ー
ドーム状の宝石から、光が漏れ始めた。
「ディポラティア。あれは…。」
「…。…!」
ディポラティアには既視感があった。
かつて見た、異様な威力のブレス。
「下がれ!」
ーギュイーン…!!!ドオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!ー
激しいブレスが衝突する。
(ヌル・バハムート)「ゴオオオオ!!!」
ヌル・バハムートは胸部に熱を発し、その姿を見せた。
「ミラーデイン!素早く終わらせよう。強すぎる力は危険だ。俺も相手もな。」
ーボオオオオオオオオオ!!!ー
ディポラティアはよりブレスの威力を上げる。
「あの日大きな壁を見た。巨大な影が放った、一撃のブレス。それはあまりにも強力なもので…。だが…!!!」
ージュアアアアアア!!!ー
ヌル・バハムートのブレスを打ち消し、本体を燃やしていく。
「もう俺の方が強い!」
ーバン!ー
空中から猛スピードで、ヌル・バハムートへトドメを刺しに向かう。
ーザン!!!ー
片翼に槍を打ち付け、不気味な鉄製の首を握り締める。
ースタッ…。ー
(ミラーデイン)「このコア…。」
「ミラーデイン。ケイジーノを連れ、戦線から離れてくれ。」
ーバチバチ!!!ー
ヌル・バハムートからコアを丸ごと外し、ミラーデインに差し出す。
「…。ムデナの姿が見えなかった。気を付けよ。」
ーファアアア!!!バサァ…!!!ー
コアを持ち、ミラーデインは離れた。
ーバチバチ…!シュウウ…。ー
コアがなくなったヌル・バハムートは火花を散らし、機能が停止した。
「逃げたのか?ムデナ・パンドラ!」
上空に向かって名を叫ぶ。
ーファサ!ファサ!ー
ムデナは、雲の中から現れた。
(ムデナ)「ここだ。」
「上に移動したのか。」
「ただ移動しただけだと思うか?」
「なに?…!!!」
ーゴゴゴゴゴゴゴ!!!ー
轟音が、雲の奥から聞こえる。
(ムデナ)「バハムート。かつての大戦を引き起こした王の力は、確かなものだ。…ヌルを容易く破壊したな。」
「嫌だったか?」
「ッフ…。俺の力で世界を制する。それで、問題のないことだ。」
ードオオオオオオオオオ!!!ー
轟音の正体が、雲を破り現れた。
ーバッ…!ー
ムデナは手を広げる。
「潰れろ、バハムート!!!」
降り注ぐ、七色の流星だ。
「…!地上が破壊される…!上で作っていたのか…!!!」
ーバサァ…!!!ギギギ!!!ー
槍を食い込ませ、まずは一つを切り落とす。
「あと六個だぞ…!」
ードスン…!!!ー
「ッグ!!!」
フェンクスの体当たりをくらう。
そのまま掴まれ、上空から地上へと叩き落された。
ーバコオオオン…!!!ー
「一つ一つ破壊する時間は、もうないぞ!!!」
フェンクスは馬乗りになり、上から押さえつけている。
目を開けば巨大な宝石が、轟音と共に近付いてくる。
「地べたで見ていろ…!俺の力で、世界が変わっていく光景を!!!…お前には無理だ。全員を救うことなど。」
「グググオオオオオオ…!!!」
ディポラティアは右腕に力を入れる。
ーグサッ!!!ー
フェンクスの右肩に槍を刺し、もう一本の槍を胸に突き刺した。
(ムデナ)「ギャオオオオオオオオン…!!!」
ードン!ドスン…!!!ー
ムデナを蹴り飛ばし、足でそのまま押さえる。
「そこで見ていろムデナ。この力は全てを焼き払う…!!!」
ディポラティアは両手を握り締め、過去の記憶を辿る。
かつての戦いで見せた、バハムートのメテオ。
ージュオオオオオオオオオ!!!!!ー
ディポラティアは熱を肉体に纏わせ、宙の星を引き寄せる。
「サン…!!!お前から学んだぞ…!熱の纏い方!!!」
ーブオン!ブオン!ブオン!ー
メテオが続々と、雲を突き破り降り注ぐ。
ードン!ドン!ドン!ー
宝石とぶつかり、両者散り散りになっていく。
赤く燃える空。
降り注ぐメテオ、王の復活。
(竜神:バハムート:ディポラティア)「グオオオオオオオオ!!!」
ーズサァ…!ー
ムデナに刺した右肩の槍を抜き、首に向ける。
「お前の旅はこれで終わりだ。」
粉々になった宝石の屑が、宙に舞う。
「ハァ…。結局は劣等感を感じ、死んでいくのか…。お前は生まれた時から、バハムートという強大な力を持ち、俺を倒した…。」
「バハムートは、人が繋いできた強さだ。いつか悪しき獣を討つという。」
「人か…。人は他者を通して自分を知り、比べ苦しむ…。それでもまた、他者によって癒されていく…。」
「癒されたことなどあったのか?」
「ない…。だからこその理想郷だ…。」
「やはり、獣だな。」
「当然だろう…?それが本能さ…。」
ムデナの息は、すでに薄い。
ーサァ…!!!ー
「さらばだ。ムデナ・パンドラ。」
ーグサッ!!!ー
今度は狙いを決め、心臓を貫いた。
ーズサァ…!!!ー
赤い血を滴らせ、大槍を掲げる。
「終わったぞ…。今は亡き、先駆者達よ。」
ーフオオオオオオ…!!!ー
燃える火の海。
ムデナ・パンドラとヌル・バハムート。
二体の獣は、討伐された。
ードクン!!!ー
「ッグ…!心臓が…。」
ーシュウウ…。ー
バハムートの変化が解けていくディポラティアは、その場に倒れ込んだ…。




