14:偉大なる狩り
『狩人のディポラティア 【14:偉大なる狩り】』
サン達はディポラティアから、夢で見た"竜大戦"の話を聞いた。
「かつてあった、血炎の物語だ。…バハムートと叔父の血に、流れる記憶だったんだろう。」
(サン)「記憶が流れるほどになった。つまり…。」
「バハムートの声は聞こえない。確証はないが、扱えるはずだ。…ミラーデインを交えて話そう。王殺し、獣を討つ戦いを。」
ミラーデインの到着を待った。
その間ディポラティアは、夢の中で見たもう一つの事を考えていた。
それは、誰にも言わずにいるか迷うものだった。
ー夢の中ー
真っ暗な闇の中、ディポラティアの意識は目覚めた。
「どこだ…?」
目を開いているのかも分からない。
そんな時…。
ーピカァ…!!!ー
微かな光が闇の中に光った。
(???)「ディポラティア…。」
「…。」
ディポラティアは、竜大戦の夢を見た後だった。
姿無きその光の声に、聞き覚えがある。
「ハラド。」
(竜殺しの英雄:ハラド)「そうだ。…孫に初めて会い、こんな事を言いたくはないが、すまない…。私が本来やるべき事を、君達に押し付けてしまった。」
かつてバハムートを狩った英雄。
そんな彼に獣の力はなく。
怪我を負い、バハムートを扱えなかった。
ましては、呪いや使命を与えることになってしまった。
「構わない。あなたの血は、"とても綺麗な人"を生んだ。」
「…ディポラティア。私には獣の力がない。バハムートは死しても抵抗を続け、制御する余地などなかった。だが君は、自身の結論で奴の呪いを打ち砕いた。」
少し息を吞み、ハラドは語りだす。
光がおぼろげに形をなし…。
「今から君に、思いを託す。個人などではなく、全ての願いを。呪いが消えた今、私も消える。ただ掴まっていただけの、微かな意思でしかないからな。栄光を滅ぼした者は、今もあの地にいる。私利私欲のため自然を傷付け、生命を狩りつくした者。」
形を保ってなくなった光は粒になり散っていく。
微かな声で、膨大な願いを残して。
(生命の願い)「"無念を晴らしてほしい。狩人よ、悪しき獣を討ってほしいのだ"。」
そうして夢は終わり、現実へと帰還した。
ーーーーー
「(思いは受け取った…。)」
呪いが流れていた狩人。
今や呪いは消え、生命の願いが流れている。
ーシュイーン!!!ー
扉の前に立った、ミラーデインが現れた。
「無事であるようだな。…グリセスは回収した。狩人狩りだが、警備を倒され、スレインを逃がされてしまった。申し訳ない。」
「大丈夫だ。俺も怪我をしたが、奴らは重症だ。今…。」
ディポラティアは無理をして、ベットから身を起こす。
ーダン!ー
下を向いているミラーデインの肩に、拳をぶつける。
「共に獣を討つぞ。偉大なる王殺しだ。」
ミラーデインの白い目が、輝きを取り戻した。
「ありがとう…。恐怖だったのだ。もし失敗した時のこと。」
右大陸管理組織:ミランシェ。
絶対的であるべきの組織は、いつしかムデナに踏みにじられ、
偽りの地位になってしまった。
「ミランシェにかつての絶対権力はない。ムデナが連れて行った人々も、未だに取り戻せないでいる。」
「偽りの王。彼の力が強大である限り…。」
(ハザキ)「"奴隷制度"…。今もある場所にはあるのか…。」
「君には…。いや、やめておこう。過去など、容易く踏み越えるものではない。今は…。」
「早朝。あの地へと行く。」
ディポラティアは言った。
皆が、無理をしないでと言おうとした。
だが、体の血が熱く滾る。
「承知した。方舟に狩人を乗せて、我々も向う。」
「俺がバハムートになった時、攻めてこい。人々の救出は任せる。」
「最強の狩人である君の判断に従う。」
「そうだ…。武器はできるだろうか?」
「ッフ…。任せたまえ。必ず届ける。」
作戦は整った。
目的を見失うことはない。
ーバッ…!!!ー
全員の手を重ね、狩りに出発しよう。
ー次の日ー
(ミア)「生きて帰って来てね…。」
「当たり前だ。だがいいのか?」
「うん。私は応援することしかできないから…。それに今度こそ、私を構いながら戦う暇なんてないでしょ…?」
ミアは気付いていた。
自分が足手まといになっていること。
だがどんどん進んでいく旅であるから、中々言うことが出来なかった。
(ミラーデイン)「何か探そうか?君にできること。」
「迷惑でなければ…」
ーブボボ!!!ー
(組員)「方舟の準備出来ました!」
「では、俺達は行く。また会おう。」
ーバン!ー
ミラーデインとディポラティアは、強い握手をした。
空に浮く小型方舟に乗り、下へ降りる。
体力は温存するべきだろう。
ーブオオオオオオ!!!ー
方舟は、火を吹き出発した。
ー大戦の跡地:ドラゴンズフェスー
かつての大国は、巨大なクレーターと化したあと復興作業が行われた。
だがその作業は、突如襲来したムデナへと支配された。
今やムデナが君臨する、ただ一人のための国。
ージュアアア!!!ー
バハムートの影響により周辺は、火山地帯と化している。
中央にフェス、それを囲う火山地帯と生息する竜達。
この環境こそ、ムデナ討伐の難易度を高めていると言えるだろう。
ただそれは、入国していない者が言ったこと。
本当の恐ろしさこそ内部にある。
ーグサッ!!!ー
ディポラティアは、数体の竜を容易く狩る。
「…。準備運動だ。」
(ルナ)「見て。出口じゃない?」
強烈な暑さが体力を奪っていく。
枯れてしまう前に移動しなくては。
ーフオオオオ!!!ー
涼しい風が吹いている。
心地いいものだと思ったが、それは気味悪く感じる風であった。
ーカチャ…!カチャ…!ー
鉄の音が至る所から聞こえる。
「何の音でしょう…。」
「あれを見てくれ…。」
サンが指した場所。
そこには、ボロボロで焼き焦げた衣類を着て、手足に鉄をつけた人々がいる。
「奴の城をつくっているわけか。」
(ルナ)「何のためにあそこまで…。」
(ブラックソード)「ムデナは城を作ることより、他者を操る方がいいのだろう。…ミアは来なくて正解だった。"故郷"と同等。もしくはそれ以上か…。」
辺りには人々の死体が転がっている。
見た目の説明をしたくないほどの状態で。
(ハザキ)「人の死体を燃やしているのか…。ッ…!その匂いかこれは…。」
「進もう。こんな光景、続けて見られはしない。今に城ごと破壊する。」
ースタッ…!スタッ…!ー
ディポラティアの歩みはいつもより早く、力強いものであった。
人々とすれ違うが誰一人言葉を発さず、ディポラティア達を見もしない。
(皆)「…。」
城の入り口。
巨大な石扉の前に立つ。
(サン)「どう行く?普通に開けるか?」
「私が吹き飛ばしましょうか?」
「いや。それでは生温い。来客が来たと、主人に知らせなくては。」
ディポラティアは一度後ろを振り向く。
そこには先ほど見た人々が。
ーグググ!!!ー
トランズにへと変化し、扉を破壊する。
ードン!!!!!グオオオオオオオオ!!!ー
そして咆哮を轟かせる。
その声は人々に恐怖を与え、感情を引き出した。
もう一度振り向き人々を見る。
錯乱する者。泣き崩れる者。動かない者。懇願する者。作業を続ける者。
ーシュウウウ…。ー
人の姿へと戻り、言葉を話す。
"言葉は人に思いを届ける、人がもつもの"。
ーザン…!!!ー
幾千の獣を狩った槍を掲げる。
(狩人:ディポラティア)「聞け!!!名を、狩人:ディポラティア!!!!!悪しき獣を狩りに来た!!!…見ていろ。王殺し、偉大なる狩りを。」
ーバッ…!!!ー
石扉が崩れた先。レッドカーペットの上を走っていく。
「ッ…!!!お前には似合わんカーペットだ…!待っていろ!!!」
(ディポラティア&サン)「ムデナ・パンドラ!!!」
ー王の玉座ー
(ムデナ・パンドラ)「…。」
金色、七色の宝石で彩られた王室。
そこにムデナはいる。
ースッ…。ー
天井にかかっている、ジャンデリアに人差し指を向ける。
ーバキン!!!ー
シャンデリアは床に落ち、粉々に割れた。
ーキラキラ!!!ー
ムデナの手は"黄金に輝き、力強く変化した"ように見える。
「宝石の狙いは正確だ。確実に、お前の心臓を狙い撃てるぞ。ディポラティア…!」
ーファサアアア…。ー
玉座の後ろ。少し透けて見えるカーテンから、影が見える…。
(???)「グオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」




