4 : 時の杖
『騎士のソニア 【4 : 時の杖】』
ーギギギ…。ー
「時間はずっと、朝のままか?」
「そうだよ、変な感じ。今はもう慣れたけど。いるのは国の中央、砂の城だよ。ディアノスは動かないから、必ずいる。」
ー砂の城ー
高台から見えた砂の城が、より高く不気味に感じる。
ーギギギィ!!!ー
城の門は開いた。止まっているものに、法則性はないようだ。
ディアノスがいる場所を探したが、人と会うことはなく、いかにもという扉を残し、城を回りきった。
「ここだな。」
ーグッ!!!ギギギ!!!ー
デカい砂の扉は、少し動きが鈍くも、赤いカーペットが続く道へと繋いだ。
(皆)「…。」
カーペットが続く道の上、玉座に座す、男がいた。
(土砂の王:ディアノス)「…。」
「あなたがディアノスか?」
「…。人間か。」
「まるで、自分はそうじゃないみたいに言うんだね。」
ースッ…。ー
「玉座に牙を剥く者よ。」
ーギュイイ!!!ー
玉座から立ったディアノス。ディアノスが持つ、杖の先端にある水晶が、
強く光を溜めているのが分かった。
「駄目だ、構えろ。話せる相手じゃないらしい。」
「知るがいい。神たる力。時の流れを。」
ービィィィ!!!ー
(皆)「…!」
「全身が重い…!ッ!もう退けはしない!」
ーーーーー
ーチチチ!!!ー
「止まった時の中では、人は何も出来ない。」
ードオオオオン!!!ー
「ヅ!!!」
貯蓄されたであろう微かな力の固まりが、時が動いた瞬間、ソニアを襲った。
「ソニア…!」
「油断するな!一瞬で詰められるぞ!!!」
ーギュイーン!!!ー
「その程度、時を止めるまでもない。」
ポゼのブレスは、いとも容易く避けられた。
「遅い。止まって見えるぞ。私に当たる攻撃など…」
ーブオン!!!グサッ!!!ー
一番後方にいるソニアの後ろから、黒い槍がディアノスの肩へと命中した。
「ヅグッ!」
(皆)「…!」
「槍…?」
ーバッ!!!ー
ソニアの横を何かが通った。
ーカラン…。ー
ディアノスは杖を落としていた。
(???)「…。」
「私の杖だ!!!」
「お前の?」
ーグッ!!!ー
黒い槍を投げ、黒鎧に身を包むその男は、ディアノスの首を力強く締めている。
「グアアア…」
ースッ…。バタ!ー
男はディアノスを殺さず、手を離した。
「お前では無理だ。"魂が乗っ取られている"。人を思う心があれど、自身にその強さがなれけば、ただの迷惑だ。」
ースッ…。ー
「"時の杖"。…"神器"。」
時の杖と言われたそれは、黒鎧の男が持っている。
ースタッ…。スタッ…。ー
男は玉座の裏へと歩いていく。誰も動く気はなかった。
だが、全員が感じた。"止めなくてはならない"。
何か間違った方向に、その男が進んでしまう気がした。
「待て!!!」
ソニアが出る。
「…。」
「杖をどうする!お前は誰だ!」
「追って来るな。それが俺達がとれる、最善の選択だ。」
ーバッ!ー
「飛び降りた!!!」
ーサアアアア!!!ー
(皆)「…!!!」
「これは…!」
「城が崩れる!!!」
ーザアアアアアアアア!!!!!ー
大量の砂が崩れる轟音とともに、ソニア達は埋もれていった…。




