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カインドラ  作者: 深緑蒼水
騎士のソニア

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4:時の杖

『騎士のソニア 【4:時の杖】』


中々寝付けず外に出ると、壁にもたれかかるヤチェリーがいた。


(ソニア)「時間はずっと、朝のままか?」


体感で眠くなっても、外の景色は何一つ変わっていない。

入った時からずっと、日中のまま。


(ヤチェリー)「そうだよ。変な感じ。今はもう、慣れたけど。ディアノスがいるのは、国の中央。砂の城だよ。ディアノスは動かないから、必ずいる。」


ヤチェリーが差した先には、城のてっぺんが見えた。

あそこに国家停止の、元凶たる杖がある。


ーー砂の城ーー

いざ前に立つと肌寒い雰囲気を、城が放っている気がする。

洞窟を抜けた高台から見た時と、真逆の不気味さを感じる。


ーギギギ!!!ー

また飛ばないと無理だと思ったが、城の門を押すと普通に開いた。

全てが動かないという、法則はないようだ。

不自然に停止と加速の影響が、マリア全土に広がっている。

手遅れになる前に、ディアノス王を止めなくては。


(ソニア)「ここだな。」


あらゆる部屋を探したが、人と会うことはなく。

いかにもという扉を残し、城を回りきった。


ーグッ!!!ギギギ!!!ー

大きな砂の扉は、少し鈍く開く。

停止の影響というより、単純に重さがあった。

扉を開けると赤いカーペットが、真っ直ぐ伸びている。

カーペットの先へと視線を動かしていくと、高級な玉座が目に入った。

その玉座に座す、男の姿も。


(土砂の王:ディアノス)「…。」


ディアノス王と目が合ったが、どこか合っているとは思えない。

空っぽな虚ろな目。


(ソニア)「あなたがディアノスか?」


ディアノスへと語りかけた後は、全く返答がこないため、長く感じた。


(ディアノス)「…。人間か。」

(ヤチェリー)「まるで自分は、そうじゃないみたいに言うんだね。」


砂漠では暑そうな厚着のマントを揺らしながら、杖を持ち立った。

あれこそ根源。異常現象の、源たる杖。


(ディアノス)「玉座に牙を剥く者よ。」


玉座から立ったディアノスは、躊躇もせずソニア達に、杖を向ける。

杖の先端にある水晶が、強く光を溜めている。


(ソニア)「駄目だ構えろ。話せる相手じゃないらしい。」

(ディアノス)「知るがいい。神たる力。時の流れを。」


杖の光が、一瞬で無くなった。

いつの間に、放出されたのだろう。


(皆)「…!」


重りを背負わされたような重圧が、体にのしかかる。

踏ん張らなければ、押し潰されそうな勢い。


(ソニア)「全身が重い…!ッチ…!もう退けはしない!!!」


重い体を気合いで動かし、階段をゆっくり下りる王へと、武器を向ける。

ソニア達もまた、牙を剥く。


ーーーーー


ードン!!!ー

ディアノスが階段を、下りきった瞬間。

杖を床へと打ち付けた音が響き、世界の色を奪った。


(ディアノス)「止まった時の中では、人は何も出来ない。」


停止したソニアへと杖を向け、小さな砂弾を放つ。

ソニアは表情を変えることなく、瞬きもせず、攻撃を受け続ける。


(ソニア)「ッグ…!?」


時が動いた瞬間。

単体では微かな力が、固まりとなってソニアを襲った。

ソニアは思いっきり殴られたかのように、後方のポゼと同位置まで吹っ飛んだ。


(ヤチェリー)「ソニア…!」

(ソニア)「ッグ…!油断するな!一瞬で詰められるぞ!!!」


ヤチェリーは後ろを向き、ソニアを心配する。

ソニアは膝をつき、腹を押さえながら言う。

赤いカーペットは、少し濡れて。

何が起きたか判断するには、あまりにも一瞬すぎた。

時を止めているのだろうが、どう対処するべきか。


ーギュイーン!!!ー

ポゼがブレスを溜める。

ランタンほどの明かりが、ソニアの横顔を照らす。


(ディアノス)「その程度、時を止めるまでもない。」


ポゼのブレスは、容易く避けられた。

ディアノスの位置が急に動いたように、ソニア達は見えた。

予備動作もなく、音すら発生させず、一瞬で。


(ディアノス)「遅い。止まって見えるぞ。私に当たる攻撃など…」


ソニア達は一斉に飛び出し、息が切れるくらいには攻撃したが、届かない。

時を止めなくとも、ディアノスは勝てる。

異常な反射神経と基礎速度を、もっているから。


ーグサッ!!!ー

突如黒い槍が、ソニア達の間を通り抜け、ディアノスの肩へと命中した。


(ディアノス)「ヅグッ…!!!」


その場にいた者達は止まった。

杖の効果ではなく、突然の状況によって。


(ソニア)「槍…?」


ーバッ!!!ー

少し後ろに下がり槍の刺さった、ディアノスを観察する。

その時ソニアの横を、風だけ残して何かが通った。


ーカラン…。ー

ディアノスは杖を持っていた手で、刺さった肩を押さえている。


(黒鎧の男)「…。」


光を通さない、漆黒の鎧。

だがへこみと薄汚れが多く、土のような臭いも目立つ。

それほどの戦士だろうか。


(ディアノス)「私の杖だ!!!」

(黒鎧の男)「お前の?」


持ち主から離れた杖は転がり、黒鎧の足に当たった。

低くこもった声で、男は話す。


ーグッ!!!ー

黒い槍を投げ黒鎧に身を包むその男は、杖を取ろうと迫ったディアノスの首を、力強く締め持ち上げた。


(ディアノス)「グアアア…。」


ディアノスは、手足をバタつかせ抵抗する。

このまま行けばディアノスは殺されるが、男は手を離した。


(黒鎧の男)「お前では無理だ。"魂が乗っ取られている"。人を思う心があれど、自身にその強さがなければ、ただの迷惑だ。」


苦しそうな咳をして、床に這うディアノスへと、男は言い放った。


(黒鎧の男)「"時の杖"。…"神器"。」


杖を持った男は、玉座の裏へと歩いていく。

衝撃展開の連続で、ソニア達は固まっている。

だが全員が感じた。"止めなくてはならない"。

何か間違った方向に、その男が進んでいる気がした。


(ソニア)「待て!!!」


ソニアが出る。

気付けば体は軽く、ゆっくり歩く黒鎧に追いつける。


(ソニア)「杖をどうする!お前は誰だ!」

(黒鎧の男)「追って来るな。俺も追わない。それが俺達のとれる、最善の選択だ。」


黒鎧の男はソニアを見て話し、手で窓を破壊して去っていった。


(ポゼ)「飛び降りた!!!」


粉々に砕けたガラスだけが、ソニアの足元に残る。


ーサアアアア!!!ー

男が離れてすぐ。

砂の城が、謎の音を発し始めた。


(ヤチェリー)「これは…!」


浜辺でよく遊んでいた、ソニアとヤチェリーには分かる音。


(ソニア)「城が崩れる!!!」


大量の砂が、我先にと崩れていく。


ーザアアアアアアアア!!!!!ー

大量の砂が崩壊し、轟音と共に、ソニア達を含む城の全てを呑み込んでいった。

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