表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カインドラ  作者: 深緑蒼水
狩人のディポラティア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/85

11:激風!天翔る覇天

『狩人のディポラティア【11:激風!天翔る覇天】』


静寂で穏やかな草原を抜けたディポラティア達。

草原の静かさは一見平和に見えたが、何かの影響を感じて変化した、

歪さなのかもしれない。


―石削りの断崖―

―フオオオオ…!!!―

草原と研究所までを繋ぐ洞窟を進む。

出口の光が見えた時、前から流れる風が、足下を通っていく。


―ビカァァァ!!!―

眩い光が目を奪い、視界が晴れた時。


―フォォォ…。―

巨大な円状の穴が空いていた。

上へと登るには、螺旋状に出来た断崖絶壁を登るしかない。


(ブラックソード)「…これは、落ちたら死ぬな。」

(ハザキ)「地上が見えない…。」

「先に上へ行きましょうか?」

「その方がいいだろう。上へ登り突き落とされたら…。」

「ならばミア。共に行きましょう。」

「なら私も行くよ。連れて行って。…あと一人行けるけど。」

(サン)「ソード。」

「俺か?」

「重装備だ。重いだろう?」

「なら…。待て、触れられるのか?」

「アメガミがそれを許すなら。」

「ならば祈るしかないな。信頼を得られない歩みだったのなら、そこまでだ。」


オメガはミアを連れ。

ルナはスズナリに、ソードはアメガミに手を引かれ、上へと向かった。


「さぁ、行くぞ。」


残るディポラティア達三人は、いつ崩れてもおかしくない、

岩の凸凹に手や足を置き、慎重に進んでいく。


―ガッ…。ガッ…。―

誰も喋ることなく。

先行するディポラティアと同じように、手足を置く岩の強度を、

確かめていく。


―ガッ…。バコン…!―

(サン)「…!」


サンが次に手を置く岩を触った時、その岩は終わり迎え、

背にある大穴へと落ちていった。


(ハザキ)「大丈夫か?」


上に見えるハザキが言う。


「あぁ…。」


増した本能が故の恐怖。

だが決意で抑え、上を目指す。

後悔とは、過去を吹き飛ばす力に成りうる。


―ダッ…!―

まずは一着。

ディポラティアが上に着いた。


―バッ…!―

ハザキの手を掴み上に引き上げた。

二着。


(ハザキ)「ハァ…。一生において、味わう必要がないものだ…。」


あと数手。

登りきるサンに手を差し出す。


「サン。もう少しだ。」


兄の手を握ろうとしたが、まだ届く距離ではない。

一歩先の岩を掴む…。




―バコン…!!!―

その一手。

連鎖が起き、サンの手足が乗っていた岩が、塊として崩壊した。


(皆)「…!!!」

(オメガ)「サン…!!!」


ブースターを全起動するオメガ。

それより早く…。


―グググ…!!!パキパキ…!!!―

ジフレットへと瞬時に変化したディポラティアは、崖を氷結させた。


―シュウウウ…。―

変化を解き、人の手を伸ばす。


「熱の感覚はあるだろう?身に流れた時からあれはずっと、お前の力だ。」


―ジュウウウ…!―

片手で兄の手を強く掴み、凍った左半身を溶かす。


―グッ…!!!―

氷が溶けた切った瞬間、弟を強く引っ張った。


「無事か…?」

「あぁ...。でも、不思議と楽しかった気がする。」

「…。判断を間違えた。オメガ達に一人一人運んでもらえばよかった。」


厳格な兄が少し弱い顔をしている。


「俺は、焦っているのかもしれない…。」


自分の内を話さない兄は、何か一人で考え、悩んでいるのではないだろうか。


「でももう、一人じゃない。俺も、兄さんも。」

「その言葉…。…俺はそれで、戦っていける。」

(サン)「…最近、夜寝る時、昔を思い馳せることが多い。」

「俺達は過去に縛られている。…その鎖を斬り解く、ケジメでもあるんだ。過去という牢獄で、飼われる獣ではなく。人として。三人で、光の元を歩いていこう。」


―ギョアアアアア…!!!―

獣の声が聞こえる。


「さぁ、行こう。ここは自然の中。いつでも油断はできない。」


―ザッ…。ザッ…。―

目先にある山を登り、獣へ会いに行く。


「…。サンは不思議と、楽しかったと言っていましたが…。」

「…。」


ハザキとソードは複雑な表情で、ディポラティア達のあとを追って行った。

彼らもまた、内を話すことがないが、過去に何かを経験し、

故郷から離れたロワへ着いた。

きっとサンが不思議と感じた楽しさに、答えをもっている。

だがその答えは、彼らの過去を呼び起こすものなのだろう。


(ルナ)「きっとね…」

(ミア)「嬉しかった。そうじゃないかな…?」


それぞれの思いが生まれた。

それは悩みを生むもので、過去を思い返させるものかしれない。

だがその思いに、悪い気はしない。

心の居場所を思いに与え、獲物が座する頂へと参ろう。


―獣研究所跡地―

建物の壁や資料がバラバラに散乱し、かつての光景は何一つ残っていない。

そんなガラクタと化した瓦礫の上に、巨大な巣がある。


(ブラックソード)「鳥の巣か?」


―ファサァ…。―

だがそこに獲物はおらず、静かに吹く風だけが。


(ルナ)「いない…?」

(サン)「いや…。」


―バザァァァァ…!!!―


「上だ…!」


いつだろうか。

駆ける音など聞こえなかった。

翼を広げ、こちらを認識している。

獲物は既に、上にいた。


(覇天女王:プリンス・グリセス)「ギャオオオオオン!!!」


―ダダダダダ…!!!―

瞬足の烈風が、見えない刃となり降り注ぐ。


―グググ…!パキパキ…!!!―

氷壁を、いとも容易く破壊する。


「…防御しきれないな。」


―ザン…!―

全員、構えに入る。


(ディポラティア)「天を穿つぞ…!」


天を討つ、戦いだ。

ーーーーー

―バサァ…!!!―

天を、瞬足の如く駆けるグリセス。

翼を羽ばたかせ、暴風が起こる。

鋭い眼光で、こちらを見ている。


(ハザキ)「ああも飛ばれてはな…!」

(ディポラティア)「こちら側の飛行能力では追いつけない!凍らせる…!」


グリセスが空を飛び、風を起こすだけで刃は生まれる。

それでは勝てはしない。


「ハザキ。…水を起こせ。氷の道を作る。」


ハザキの剣技は特殊なものだ。

水を含んだ大太刀は、丈夫な肌へも浸透し、滑らかに斬り飛ばす。


「術の類ではない。水が染み込む鉄だといえど、ちゃんとした道は作れんぞ。」

「それでいい。細くても道を作る。奴に攻めさせればいい。」


―スッ…。―

ハザキは大太刀を静かに構え、鞘へと入れる。

自然の音を聞けば、万物の動きが読めるとハザキは言っていた。


「凍らせるが、誰が行く!」

(ブラックソード)「俺だ。」

(ルナ)「私も。」

「オメガ。熱を分け与える。羽を狙おう。」

「はい。」

「ラティア!準備はいいか!?」


―ギョロ…!―

グリセスは不思議な行動に違和感を感じた。


―バサァ…!!!―

翼を広げ、風を飛ばす気だ。


(ディポラティア)「ッチ…。間に合うか?」

「構わん!そのまま凍らせろ。」


―スッ…。ズザン…!!!―

綺麗な三日月状の、水の刃が放たれた。

それは、グリセスが放った風に向かって。


―ヒョオオオオ!!!パキパキ…!!!―

水が拡散した。

そして、氷の道が出来た。

それは細くも、グリセスを巻き込む氷の柱となった。


―バッ…!!!―

スズナリが全速で駆け出す。


―ザンザン…!!!―

右翼を傷つけた。


―バキン…!―

短い時間だったが傷を負ったグリセスは、フラフラとその場を飛んでいる。


―ブオン!―

後ろから追従していた、アメガミの重い一撃が振られる。


―スッ…!―

傷を負っても、攻撃を避けるグリセス。


「キィエエエエ!!!」


女王の覇気が放たれる、が。


―ズザン…!―

アメガミの攻撃を避けたが、後手であるルナの大鎌が、翼を斬り裂いていく。氷の柱を駆け上がるブラックソードもまた。


―ザン!!!―

宙に羽が散る。


「特殊能力などない生身の人間だ。…ただの力が、武器なのだ。」


グリセスの体重は片側に傾いている。


「決めろ、オメガ!!!」


ーガコン!!!ギュイーン!ズドオオオオオオオオオ!!!ー

天穿つ熱線。

それはグリセスの片翼を溶かし、熱は宇宙の彼方へと飛んでいった。


―ヒュオオオオオ!!!―

両翼の機能を失ったグリセスが、落下してくる。


「よくやった。」


―バッ!―

ジフレットであるディポラティアは跳躍し、獲物を捉える。


―ドスン!!!―

爪で相手の首を押し込み、宣言する。


「ワオオオオオオオオン!!!!!」


―グシャ…!!!―

そして、四体目の獣を喰らった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ