8:激怒!頂きに君臨する氷王
『狩人のディポラティア【8:激怒!頂きに君臨する氷王】』
(氷大狼:ジフレッド)「ウオオオオオオン!!!」
スレイン戦のさなか、怒れるジフレッドは現れた。
―ブォォォォ…!!!―
吹雪より冷たい風が、低い位置から強烈に吹雪いた。
―パキパキ…!!!―
(皆)「…!」
距離が離れていたためか。破壊できない程の氷ではなかった。
(ディポラティア)「…氷のブレスか。デタラメな…。」
だが距離が近ければ…。
―フオオオオ…!!!バキバキ…!!!―
ジフレッドは、自身に冷気を纏い始めた。
その氷風は氷結し、氷の鎧となった。
―バッ…!!!―
ジフレッドが向かってくる。
その足跡の周囲は、軽い氷塊が形成されている。
―スッ…!―
狙いを決めているわけではなかった。
全て殺せばいいという判断だろう。
先頭のディポラティアと接敵した。
―ガキン…!!!―
鉄のような歯を備え、頑丈な顎をもつカメザメ。
ディポラティアは、相手の爪ごと力強く噛んだ。
「…!硬すぎる…。」
だが、ジフレッドの氷鎧にはヒビが入った。
「(このまま砕ければいいが…。)」
場面は硬直状態にあった。
ジフレッドの周囲は極低温により、何者も接近を許さない。
―シュ…!グサッ…!!!―
二足立ちしていたカメザメの腹部へと、ジフレッドの鋭い爪が食い込む。
―パキパキ…!!!―
血が濃く、体温も高いカメザメ形態であったが…。
「ッグ…!全身の細胞が壊死する…。」
―シュウウ…。―
一度変身を解き、攻撃から抜ける。そしてまた姿を変化させる。
―スザン…!!!―
トランズの鋭利で力強い爪が、鎧の一部を破壊した。
(ジフレッド)「…!」
ジフレッドは紅く光る眼で、不思議な存在を見ていた。
人になり、獣になるそれを。そして判断した。
―グオオオオン…!!!―
王者の声は、地響きの如く山を伝わる。
(ルナ)「呼んだんだ…。」
―グウウウ…!!!―
ジフレッドの子達が大量に現れた。
どれも優秀な成体であり、命を狩る戦士だ。
(ハザキ)「子軍を排除する。私の水は、役に立たんだろう。」
「アメガミ。…サン達を守って。」
―ボタ…。―
辺りに赤が点在し始めているが、まだその中でも薄いといえる。
「兄さん…。」
「心配するな。…治療が必要だが、まだ動ける。オメガ。」
―ボキ…!ボリ!―
「そうか…。お前もやれそうだな。」
群れを相手取るメンバーと、ジフレッドを狙う二手に分かれる。
「熱が必要だ…。」
ジフレッドは鎧を修復しつつ、警戒している。下手に詰めて来ない。
「私はやれますが…。」
「あの時は咄嗟に出た。そもそも、まだ熱を出せたなんて。もう一度、出せる確実性はない。感覚を掴めるかどうか…。」
「だが昔、出せていた力だ。当時の感覚を思い出せ。…そろそろ奴も終わる頃だ。…オメガ。極限のビームを頼む。」
「はい。」
―ガコン…!!!ギュイイイインンン…!!!―
オメガの腕は展開し、胸のコアが月光に負けない輝きを放つ。
「グオオ!!!」
「時間を稼ぐ…!行け!!!」
―バッ…!!!―
サンは走り出す。追従するアメガミ。
―シュ…。―
先行する二人を狙うジフレッド。
「どうした?俺は脅威ではなかったか?俺を見ろ…。お前を狩る、狩人を…!」
―ドスン…!!!―
ディポラティアは跳躍し、カメザメの背中を押し付けた。
「…!!!ギャオオオン!!!」
そんな硬い背中にも、氷は広がっていく。
「撃てオメガ!」
身動きが取れないジフレッドの頭部を狙う。
「…やります!!!」
―ギュイン…!ドオオオオオオオオオオオオン…!!!!!―
緊急事態エネルギー以外を使用した、全エネルギー消費だ。
ジフレッドの額が、少し焼け焦げている。
「グオオオオ!!!!!」
ジフレッドは咆哮を上げた。力を入れ、体勢を戻した。
「崩れた…!」
仰向けのディポラティアは、すぐには動けない。
―バッ…!フォォォォ…!!!
ジフレッドはそんなディポラティアを抑え、
瞬時に行動不能レベルのブレスで固めた。
「ッグ…!」
「アメガミ…!決めるしかない…!!!」
紅い眼は、サンを捉える。
―フオオオオ…!!!―
十メートル弱の距離。ジフレッドのブレスがサンへ放たれた。
「…ッ!」
―パキパキ…!―
サンは、体の向きを変えていた。
そのため、肉体全体が凍ることはなかった。
が、顔部分を動かせるのみ…。
―ズサッ…!ズサッ…!パキパキ…!―
ジフレッドは、額の鎧を修復しながら歩く。
その歩みは、サンへと近付いていく。
(アメガミ)「…。」
「アメガミ…。離れろ…。”火を起こす”…。…!!!」
そう言い、サンは全身に力を入れた。昔と同じ感覚で。
―ズサッ…!ズサッ…!―
残り数秒。爪の届く距離だ。
「妹は今もいる…!ならばここで、止まる訳にはいかない…!全てを取り戻すために…!燃えろ…!!!命…!!!」
―ギュイン…!!!ブオオオオオオオオ!!!―
天まで光る炎柱が、燃え盛った。
ージュウウウ…!!!ー
煙が立ち込める…。
(ジフレッド)「…!?」
―ズサッ…。―
光景の予想外により、一歩足を下げた…。
「無駄だ…。お前が近付いてきたんだろう…!」
―バッ!!!―
煙を払い、火を纏う者の姿が見える。
―スタッ…!グサッ…!!!―
(サン)「…!!!」
ジフレッドの頭に乗り、槍を突き立てる。
氷を纏っているが、薄膜で焦げ跡がすぐ見える。
―ブオオオオオオオオオオオオ…!!!!!―
全身の火を、槍へと向かわせる。
―ジュウウウウウウウウ…!!!!!―
氷を溶かし、槍が刺さった…。
「…!貫け!!!」
―スザン…!!!―
「グオオオオ…!!!!!!」
―ドスン…!!!―
脳へ達した一撃は、氷大狼の声を引き出した。
―ババババ…!!!―
その姿を見て、その声を聞いた群れは、振り返った時には消えていた。
「よくやった、サン…。氷を、溶かしてくれ…。」
―ジュウウウ…。―
(ハザキ)「何とかなったな…。」
「あぁ…。ッグ…。そろそろ、”力”を語る時が来た気がする…。」
(ブラックソード)「狩人狩りを捕らえに行ってくる。」
―ズズ…!!!―
ディポラティアのポケットから、ノイズが鳴る。
「…通信だ。…どうした?」
(右大陸管理組織:???:組員)「こちら、”右大陸管理組織”です。…上空より戦闘の光景が見えたため、連絡しました。」
「そうか。なら、向かう…。怪我をしているが構わん…。それと、狩人狩りを捕まえた…。」
(???)「いや、狩人ディポラティア。こちらが行こう。」
「…だそうです。」
「分かった…。待っている。」
―ズズ…!!!―
(ルナ)「相手は?」
「管理組織だ。一般の組員と、もう一人。…あの声は”代表”だな。」
激闘を制したディポラティア達。
余韻が浸る中、右大陸管理組織の到着を待つ。




