4:海中都市:ムゲンカイ
『狩人のディポラティア【4:海中都市:ムゲンカイ】』
あの後、ディポラティアは知人の商人へと連絡した。
血の匂いで集まってきた軽い獣達がいたため、兄との話し合いは出来なかった。
(サン)「これは…?」
(ディポラティア)「水中に入るための乗り物だ。…あまり大人数向けではないが、ここら辺にある場所へ行くのなら、この下へ行くのが早い。」
―ジャポン…。―
水上に置かれたカプセル体の乗り物に乗る。
―ズズ…!!!―
ディポラティアがスイッチを押すと、扉が厳重に施錠され、潜水を始めた。
―海中都市:ムゲンカイ―
深い青で染まる短い時間を経て、これまた不思議な都市へと着いた。
「海中都市:ムゲンカイ。海獣を退治するための拠点として建てられた場所だ。…さて、都市へと着いたことだ。サン達、話をしよう。」
海の獣。
その特異個体であった、"オオクラゲ"の頭部をドーム状にし囲んだ水中都市。
ディポラティア達は、近くの宿へと入った。
ーーーーー
「気になることがあるのなら、そこから話そう。」
(サン)「あの獣は?全員、あのレベルなのか?」
「いや、あれは特別。”特異個体”というものだ。…そう簡単に見られるものではないが、ここ最近活性化している。…学者達によれば、”何か強大なエネルギー”を感知し、急激に成長しているのではと言われているな。」
(オメガ)「...エネルギー。人工的であっても自然であっても、脅威になりそうです。」
(ミア)「お兄さんが見せたあの姿は?」
「あれか?」
ディポラティアの肉体は、あの時急激に変化し、
"トランズ・キャットネス"になっていた。
「獣を喰らい、力にした。俺は始めて喰らったが、"狩人の血"だからこそ、なせるものらしい。」
(ルナ)「食べるの?」
「あぁ。体内にて、力へと変換する。」
「…。妹、"ケイジーノ"は…?」
答えによっては絶望となる質問。
だが知らなくてはならない。
「右大陸の支配者。"ムデナ・パンドラ"。奴の手に、今も妹はいる。」
(ハザキ)「では向かうか?」
「いや、やめておこう。」
(サン)「…なぜ?」
「一度負けたからだ。」
「…!でもみんなで行けば…!!!」
サンは冷静ではいられなかった。負けた兄が憎く軽蔑した訳ではない。
相手の存在が分かっていて、妹もいると言うのに、
行けないということがどうにも、腹立たしいことに感じた。
「サン。お前は強くなった。きっと周りのみんなも。だが言おう。…無理だと。」
(皆)「…。」
(ブラックソード)「方法はあるんだろう。無理だからと言って、諦める者ではないと知っている。」
「負けた時、奴の後ろに"何か"を見た。強力なブレスを一度放つだけで、俺の後ろ。城の前部分が吹き飛んでいた。あれはきっと、"生物兵器"だ。特異個体活性の原因も、獣達の行動範囲もあれが影響している。」
(オメガ)「生物兵器をどうにかしなくては、そもそも勝負にならないということですね。」
「そうだな。…だが、チャンスは来た。"獣を喰らう"。」
―スルッ…。―
(サン)「…?眼帯…?」
サンはその時気付いた。
兄がそう話し、左眼につけた眼帯を外した時、兄の変化に。
それは人の目ではなかった。血管が浮き上がっている。
竜の目のようなもの、"邪眼"だろうか。
「俺の身に宿る"こいつ"の呪いを消し、俺の力にする。それには強大な力が必要だと仮設を立てていたんだが…。」
(ミア)「強い生物。…"特異個体"。」
妹を救う。だがムデナがもつ生物兵器が、それを邪魔している。
ただし、策はある。
ディポラティアに"宿る者"の呪いを打ち砕き、自身の力にする。
「そうだ。特異個体探しの旅に出るぞ。…自然は危険だらけだ。それでもいいと言うのなら。…俺と来るか?」
(皆)「…!!!」
満場一致。全員の手を重ねる。
「ムデナ・パンドラは賞金首だ。"右大陸管理組織"がそうしている。遠慮はいらない。奴を狩る。あれはもはや獣なんだ。私欲のため人を使い、自然の秩序を乱した。…共に行こう。獣狩りの旅へ。」
ここから始まる、妹を助けるための獣狩りの旅が。
「目の話はその内する。まずは、明日。さっき遭遇した獣を追う。あれは血を出していたからな。取られる前に狩るとしよう。」
―バッ…!!!―
重ねた手を掲げる。生きるため、救うため。戦おうではないか。
ーーーーー
その日の夜…。
(ディポラティア)「寝ないのか?」
(サン)「色々なことがあったんだ。」
「そうか。…明日は早いが、聞いてもいいか?お前達の、旅の話を。」
水の中から見る月の輝きは、悪くないものだった。




