表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士のソニア  作者: 深緑蒼水


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/27

3:土砂の国:マリア

『騎士のソニア 【3:土砂の国:マリア】』


ークラガリ洞窟ー


ーポチャ。ポチャ。ー

視界は見づらく、出口の光はまだ見えない。


ーボオオ!!!ー

ポゼが照らす火が頼りだ。


「どこに行くの?」

「"土砂の国 : マリア”。知ってるか?ここしばらくの間、マリアの情報が全くないんだ。」

「どうして?」

「噂では、砂が活性化して、移動が出来ないんじゃないかって言われてる。お、見てみろ。」

「あ!もう火はいらないね!」


ービカアアアア!!!ー

灼熱の光が、大地を照らしている。


ーサアアアア…。ー

「砂が渦巻いているのか…。」


洞窟から出た高台から、砂の地を観察する。


「砂嵐も凄いね。」


所々に発生している砂嵐が見てとれる。

目を少し狭めて、見なければならない。


「活性化は本当なのか。…どう進むか。」

「飛んだら行けるかも。」

「やれるか?」

「"マリア"はあれだよね?が、頑張れば…。」

「信じるぞ。」


ーバサ!ガシ!ー

ポゼは足の爪で、ソニアの肩を掴む。

肩にある軽装の鎧が、爪を食い込ませるのを止めてくれている。

力を入れても問題はないようだ。


ーググ!ー

「…!!!」


ーバサ!パサ!ー

この高度を保てれば、足をつけず、砂で出来た城へとたどり着く。


ーーーーー


「あと半分くらいだ!」

「づぐ…!!!もう、無理…。」


ーバッ!ー


ポゼの力が抜け、二人は地面に落ちる。

肩鎧の凹みを見れば、懸命に挑んだ姿勢が分かる。

死ぬ高さではないが、這い上がれるかどうか…。


ーゴオオオオ!!! ザアアア!!!ー

落ちるはずであった場所から、何かが盛り上がる。


(???)「…!」

「"土の化身" …。」

(土の化身:ゴールド・ハウス・ジャイアント)「…!!!」

ーゴゴゴゴゴ!!!ー

「本当にいたんだ…。」

砂から出てきたそれは、"化身"と呼ばれ、"この星"に存在する。

40~50m体格の化身はまさしく、超巨人と言える迫力である。


ードスン!ドスン!ー

「ポゼ、見ろ。運んでくれてるぞ。」


ー土砂の国 : マリアー

「ありがとう。」

「ゴオオオオ…。」


地揺れる咆哮を響かせ、土の化身は砂へと帰っていった。


「何で助けてくれたんだろう?」

「特にないのかもな。化身が "神の創造物" なら、尚更。さぁ。」

「砂の門?」

「今度は開けられるといいが。」


…。驚くほどに、砂の門は動かなかった。

音さえ発することなく、何もなかったのだ。


「ここなら、行けるかも。」

「そうしよう。今度は頼むぞ。」


門を二度開けられなかったソニア。二度、目的地へと飛ぶポゼだが…。


ーパサ!パサ!ー

「…!行けた!!!」


ードサ!!!ー

華麗な着地で、新たな国へと踏み入った。


「足に砂が入るな。」

「…。」

「ソニア…。」

「…?」

「上見て。…"雲が、動いてないよ"。門が開かなかったのは、動かなかったんじゃなくて、止まってるからじゃないの?」


ポゼの言う通り、確かに雲を見続けても動いていなかった。

ただ、それだけで原因を決めつけるのは危うい。

ソニアは付近を凝視した。すると、不可解な光景が点在している。

空にいる鳥は止まり、少し大きな虫も

完全に、"止まって"いる。


「どうなってるんだ…。」


ーザッ。ー


(二人)「…?」

(???)「なんで、ここにいるの。」


昔に離れた関係がある。

姿は成長しても、一度結んだ絆が、そう簡単に消えることはない。

久しぶりにあったその人は…。


「ヤチェ…。」

(ヤチェリー)「久しぶり。元気してた?」


ーーーーー


前を歩くヤチェリーに、ただ黙ってついていく。

言いたいことは沢山あったはずなのに、

突然それが来ると、言葉が詰まってしまった。


「ここ。」


ーギギィ…。ー

「適当に座って。」


絶望的に住めないような場所ではないが、年頃の女子が住むような環境ではない。少し汚らしいが、頑丈なつくりではあるのだろう。


「ペットでも買ったの?」

「ペットじゃないよ!」

「いや、友達だ。」

「そうなんだ。よくマリアに来れたね。」

「若干遠回りしたが、悪くなかった。…。」


言える。


「何で、急にいなくなった?」

「手紙、読んだでしょ?あれが全て。自分の弱さで、毎日を生きていくのが辛くなった。危なかったら、タイダルが止めるよ。それがなかったから外に出た。見れば分かるでしょ?実際、危ないことないし、生きてるよ。」

変わらない。強さでもあり、弱い部分が、今もある。

「本当に、強くなってるか?」

「…。」

「邪魔が入ったんだろ?丁度、お前がいなくなってから少し経ったくらいで、マリアの噂が出始めた。」

「もういいよ。分かってるから。話すよ。気になるでしょ?それに、このままじゃ"二度と出られないよ"。」


ーーーーー


ヤチェリーは、自分がマリアに来た後に起きたことについて話し始めた。

なるべく簡潔に。分かりやすく。

早くここから出たいと、思わせるような話し方で。


「王が死んだ?」

「前にね。でもすぐに後継者は現れたよ。

名前は"ディアノス"。国は混乱に陥っていたけど、上手く軌道を修正した。

でもある日、ディアノスが騎士隊を連れてどこかに行ったんだ。そして帰って来た時、こうなった。"マリアの時間は止まって、砂漠の時間は加速し始めた"。」

「ディアノスは何をしに行ったんだろう?」

「さぁ。でも、"杖を持ってた"。行く時にはなかったはず。」

「根源はその杖か。」

「二度と出られないのは嫌だよね。」

「私も賛成。」

「人はいるのか?」

「いるよ。元気な人は少ないけど。」

「そうか。なら、俺たちで行こう。ディアノスに会いに行く。最悪の場合も、考えておこう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ