表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士のソニア  作者: 深緑蒼水


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/27

25:禁足の魔境

『騎士のソニア 【25:禁足の魔境】』


霧がかりの奥深く。魔人の様子を見るため、暗い道を進んでいく。


ーガサ…。ガサ…。ー

(ソニア)「暗くなっていくな…。」

「火でも照らせなくなってきてる…。」

(リットリオ)「…。止まれ…。」

(皆)「…?」


リットリオがみんなを制止させた。


「確かめておきたいことがある。ソニア、ヤチェリー。お前達二人の心情だ。」

(ソニア・ヤチェリー)「…。」

「タイダル王は魔人を助けようとしている。その意思を信じ、魔人に相対するつもりか?疑心で進めるほど、野生は甘くはないぞ。」

(ソニア・ヤチェリー)「…知りたい。なんで、村を滅ぼしたのか。何が魔人達を動かすのか。」

(ヤチェリー)「恨みはさ、力に変わったんだよ。殺したいほど、もう憎んではないよ。」

「色んな人にも会えた。そんな人達に会えなくなるかもしれないのは、嫌だからな。」

(風花)「それでこそ、私たちは命をかけて戦えます。」

「ならばいい。…進むぞ。」


ーーーーーー


ーグウウウウウ…!!!ー


(ヤチェリー)「魔人…。」

(風花)「あれが…。」


少し開けた場所に成人の人間サイズ程、一体の魔人がうずくまっている。


「何してるのかな…?」

「油断するな。もう、奴らの縄張り内だろう…。」


ーザッ…。ザッ…。ー

暗い木々の奥から、何やら足音が近づいてくる。


「隠れよう。」


高く生い茂る草むらの中から、足音の正体を探る。


(オニキス)「…。次世代の子供。こんなところまで行っていたのか。」

(魔人)「ウウウウ…。」

「お前達を見ていると、自分は運がよかったのだと思う。未だ、希望は見えないがな。さぁ、帰るぞ。」


話が終わったようだ。だが、足音が聞こえない。


「グウウウウ…」

「どうした?草むらばかり見て。」

(皆)「…!!!」


気付かれている。疑心のまま離れてくれればいいが、子供の好奇心だ。


(オニキス)「…スゥ。なるほど。出てこい。ここで、何をしている?」


ーグオオオオオオオオ!!!!!ー

オニキスの咆哮が響く。それに呼応し、四方から魔人達が現れた。


ーバサッ…!!!ー

(ポゼ)「グウウウウ!!!」


ポゼは、ソニア達を包むように変化した。


(リットリオ)「こうなることは避けられなかったか。」

「…?森で迷ったか。今すぐ去れ。」

(ソニア)「…"魔人"。」

(魔人達)「…!!!」


その言葉を聞き、周囲の魔人達はより一層、周囲の陣形を強くした。


「迷った人間ではないということか…。どこで、その名前を知った…。」

(ソニア)「聞いた。見もした。…いいか?殺し合いがしたいわけじゃない。俺に意味をくれ。なんで、村を襲った?魂吸族を殺した?」


ソニアは以外にも、冷静に自分の思いを伝えられた。だが…。


「その言葉、虚偽だな…。奴も同じか。だが元々、敵同士だ。奴が言ったのだろう?魔人を殺せと。」

「話し合いで終わるなら、それがいいだろ!」

「"話し合いなどで終わらないからこそ、昔にあった大戦が起きたのだろう"。何も話すことはない。ただ孤独に生きるだけ…。アルトラ!!!」


ソニアの歩み寄りは、彼ら魔人を縛り付ける過去に消された。


(アルトラ)「あぁ。」


銀河の頭をもつ魔人。アルトラはオニキスの言葉に応え、自身の力を広げた。

それはまるで銀河のように。


(皆)「…!!!」


ーシュインンンンンン!!!ー


「さぁ、散れ。…お前達。侵入者を排除する。」


アルトラが広げた力により、ソニア達は別々の場所に飛ばされた。


ーーーーー


「…!…。飛ばされたのでしょうか?」

「同じ森であるようだが。」

「皆さん、大丈夫でしょうか。」

「心配なのはあの二人だ。冷静ではあるが、間違いなく緊張していた。」


ーガサガサ!!!ー

(???)「…。」


魔人が、リットリオ達の前に現れた。


「雑魚共だ。早く倒して…」

(ニト)「オニキスから聞いた。君たちが…。」


長身。食料が少ないからなのか、細身の肉体。獲物の血跡がついた両刃剣。

その見た目の二人。


「後ろの奴もやる気か?」

(リル)「…。」

「リルは喋れない。ただ、意思は僕と同じだ。」


ーザン!!!ー

刃が、地面の草を裂く。


ーーーーー


(ポゼ)「グウウウウ…。みんなは…。」


ードン!!!ー

巨大な両斧で地面を叩いた音がする。


(???)「戦う前に聞いておきたいのだが、君はなぜ、人と共にいる?」

「好きだから。」

(フェイリッタ)「我々にとっては永遠の敵。だが、憧れを抱かずにはいられない…。」

「かなりデカいけれど、僕に勝てるの?」

「人を愛す巨竜よ。君の熱。受け止めてみせよう。」


ーーーーー


(ヤチェリー)「…。飛ばされた?」

(アルトラ)「…。昔にもあった。我々に知識をくれた人が森を離れ、人里へと降りてしまったこと。」

「へぇ…。その話、ちょっとムカつくかな。ねぇ、そのガラス玉みたいな頭、潰したら死ぬの?」

「一度だけ破壊されたことがある。だが死にはしなかった。けれど、"奴"のような気配を感じない。」

「そうなんだ。まぁ、壊すけど。」


ーーーーー


(ニト&リル)「…!!!」


リルは言葉を発しないが、息が合っている二人の動き。

暗い森の中、空を切る音が前後左右から聞こえる。


「速い動きですね…!」

「風花、そのまま戦え。俺はやりたいことがある。速いのなら、こちらも速くなればいい。」


ーバッ…!!!ー

そう言い、リットリオは闇の中に消えていった。


(ニト)「仲間を見捨てたか。」


ーシュン!シュン!ー

二人の攻撃が、風花一人に集中する。


「ッグ…!!!彼が見捨てることはありません!!!」


ー"そうだ"。ー

リットリオの声だけが聞こえる。


(リル)「…。」


ーシュン!!!オオオオオ!!!ー


(リル)「…!!!」


何かがリルの近くを通り、体制を崩させた。


(風花)「…!」


ーザン!ー


(リル)「ッ…!」


リットリオは、自身に闇を纏わせて飛んでいる。

姿は誰にも見えず、音のみが聞こえる。


「犯罪が起こりやすい環境。それは俺が、本気を出せる場所でもある。体制を崩させる。勝手に攻撃しておけ。」

「えぇ!皆さんの元へ急ぎましょう。」


ーーーーー


ーダン!!!ー

巨大な両斧を、ポゼは握り受け止めた。今や彼の鱗は傷つかず。


「僕は戻るよ。」

「…振りほどけないか。」


ーギュイーン!!!ー

火が口から溢れる。


「逃げないのかい?」

「手を離せば逃げられるな。だがする気がない。やるがいい。君の強さだ。」


ーブオオオオオ!!!!!ー


武器を掴むほどの距離感で、ブレスを喰らったフェイリッタ。

「よいな…。思いの力か…。」


ードサ!ー


ーーーーー


(アルトラ)「…!」


ーピカピカ!ー

アルトラの頭は輝きを増し、視野を奪った。


「ッ…!」


視野が戻った時、アルトラは宙におり。


ースッ…。ー

星を展開し…。放つ。

ーダダダダ!!!ー


「…!」

ーサッ…!ー


走りながら、空中に飛ぶ機会を探す。


「今…!」

ーバッ…!!!ー


「遠距離に近づくのは当然だな。だが。」


ーシュウウウ…。ー

アルトラは近づくヤチェリーから離れようと、力を使い始めた。

あの時のように輝きを増し…。


「次は近づかれないぞ。」


ーバシュ!ガン!ー

(アルトラ)「…!?」


ヤチェリーはガントレットを発射した。

指を広げながら飛んだガントレットは、

アルトラの顔に強く食い込み…。


ーダン…!バキバキ!!!ー


地面に落ちた二人。頭部にヒビが入っていくアルトラに近づく。


ーガシュン!ー


外したガントレットに手を入れ、自身で力を入れる。


ーバキバキ!!!ー

「…動けない。」

「もう終わりだよ。最後に選んで。元の場所にみんなを集めて。」

「…。必要ない…。壊せば、力がなくなる。」

「そう…。なら…!!!」


ーグググ!!!バリン…!!!ー


ーーーーー


ーシュウウウ…。ー


(ポゼ)「…!急に…。」

(ヤチェリー)「全員いる?」

「お前がやったのか?」

「うん。あの星玉、倒した。」

(風花)「ソニアは…。」


ーフォォォ…。ー

少し冷たい風が吹いた。その方向を見た。血を流し、倒れている魔人達。

死んではいない。その先を見た。


(ヤチェリー)「ソニ…。」


ーバッ…!!!!!ー

ソニアの姿を見た時、瞬時に全員が構えた。


ーボタ…。ー

血が滴っている男の姿。血が流れる男の姿。


(オニキス)「ハァ…。警告はしたのだがな…。」


魔人達の中、同じように倒れているソニア。ただやられたわけではないようだが…。


「あの力、見覚えがある…。"今の姿もな"…。」


戻ってきた場所。そこにいたソニアは、かつてのソフィーナと同じ姿でいた。


(ソニア)「 」

(皆)「…!!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ