19 : 滅んだ街
『騎士のソニア 【19 : 滅んだ街】』
黒鎧の男、サンと名乗った男との勝負の末、逃げられてしまったソニア達。
(ソニア)「ッ…。」
(タイダル)「無事か?」
「逃げられた…」
「そうか。…ぼっちがすでに追っている。今は別のことをしていよう。」
(リットリオ)「そっちはうまくいったようだな。」
「奴らを捕縛した。騎士達と共に船へと連れていく。こっちは大丈夫だ。
お前達は、ロワを探索してくれないか?…気になることがあってな。」
「分かった…。」
(ヤチェリー)「気になってたしね。」
「彼らの裏を知って、考えが変わるかは分かりませんが…。」
「罪からは逃れられない。たとえ、どんな過去があったとしてもな。」
「頼んだぞ。」
ーーーーー
ソニア達は、中心部からの景色をじっくりと見た。少し遠く離れた場所に、家々が見えた。
その中の一つの家から見始める。それぞれの部屋に分かれ、探索する。
「リットリオが言っていた通り…。綺麗な状態…。」
ーキィィィ…。ー
(ヤチェリー)「普通の家…?」
ーガラ…。ー
「家具の跡か?昔は家族で住んでいたようだが。今は一人か。」
「いなくなったってこと?」
「二人とも、写真があります。」
風葉が言う場所には家族写真が置いてあった。
「普通の家族写真だな。…いや、気のせいか?」
(ソニア)「みんな。これを見てくれ。」
ーバサッ…。ー
ソニアは大きい紙を机に置いた。
「これは、図?設計図か。」
"オメガ"、"グァンザ"。そう命名された二つの設計図が。
「誰かが作ったということでしょうか。」
「"サン"だろう。家族写真、小さいが面影がある。」
(ポゼ)「そんな物資があるようには見えないけど…」
「戦力を増やすことにしたのかもしれません。」
ースタッ…。ー
(ヤチェリー)「みんな。」
ーサッ…。ー
ヤチェリーも紙を置いた。図ではなく言葉がかかれたものだ。
「読むよ。"物を集める。力のために。全てを使って、"サン"が犠牲になる。"」
ブラック・ロワの作戦が、そこには記されていた。
サンが犠牲になる。という結論を出さないよう、何度も書き直した跡がある。
特に、少女の字体で何度も何度も。
「そうまでする理由が未だ見えんな。…街の静けさが関係しているか?」
「それなんだが…。」
ソニアはヒビが入っている窓から、外を指した。
「あれ、見えるだろ?」
ソニアが言う先には、巨大な四角上の建物があった。
「あそこ、何も感じないんだ。不気味なほとに。」
ーーーーー
(リットリオ)「鍵がいるぞ。」
(ポゼ)「僕がやるよ。」
(ソニア)「加減してくれよ。」
ーバキン…!!!ー
「はい!そんなひどくないでしょ。」
「ありがとう。…。」
ースッ…。ー
扉に両手を乗せる。
「開けるぞ…。」
(皆)「…。」
ーギィィィィ…!!!ー
扉を開けた。そこに広がっていた光景は…。
(皆)「…!!!」
"人であった。一面に広がる人々が、仰向けで並べられていたのだ"。
「なにこれ…」
(ソニア)「あぁ…。なにもないんだ…」
ソニアには理解できた。
「ここにいる全員、"魂がない"…。」
その人々の中、まるで生きているかのように、世話をしている一人の姿があった。
(ポゼ)「…あの子。」
(ミア)「…!あなた達…。」
ブラック・ロワの真実。それは…。
"魂がない人々"




