13 : また逢う日
『騎士のソニア 【13 : また逢う日】』
移動都市を襲った事件。昔のような悲劇が起きることなく、ひとまず解決した。
ースタッ…。スタッ…。ー
「来たぞ。」
「やったな…!」
「…。」
「嬉しくないの?」
「別に。いつかは一人でやるだけだ。…生きているか見に来ただけで…。
俺はもう行く。…正義の意味は理解しただろう。」
「何もないのですか?」
「何もない。」
(ポゼ)「…。」
「生きていてよかったな。」
「へへ…!」
ーーーーー
(ラキエル)「…。」
「ネメシスが心配か?」
「…君か。文句を言いに来たか?」
「いや、俺だけでは出来なかった。」
「意外だな。」
「お前達のことは、ある程度信頼している。だから呼びに行かせた。」
「信頼を得ているのは、王として嬉しいものだ。」
そんな会話をするが、しばらく沈黙が続いた。二人は分かっていた。
お互いが本題に踏み込めずいることに。
「"本人からの希望"だ…。」
「…?」
「ヒーローリットリオは、"マンティーエルの他人格"だ。」
「…!!!いつからだ…」
「親が死んだあの日、犯人達を自身の手で処刑した日。俺が生まれ、奴は後ろに行った。」
「…そうか。」
「冷静だな。」
「内心は違うさ。十数年も昔に消えた家族が、生きていたと言われたらこうなってしまう。どうだ?少し…」
(リットリオ)「それはダメだ。俺は"リットリオ"。奴じゃない。俺がマスクを外しても、顔と声が同じ別人だ。昔の思い出が変わってしまう…。」
「…。そうか。でも、素直なとこは、君も同じだ。…フフ。」
厳格で高貴なラキエルは、少女であった笑顔でリットリオに微笑んだ。
「これから君はどうする?ネオの再興に時間がかかるが…」
「俺は変わらない。ネオのヒーローであり続ける。」
「君の選択だ。君が決めるといい。」
ー"リットリオ。君のやりたいように、やるといいよ。"ー
「(だが、俺の命は長くない…。毎日力を使っていたら、代償が俺を見つけに来ていた…。)」
ー"だからこそ、君のなりたいように…"ー
「"いつか世界を救う、ヒーロー"に…。」
マンティーエルとラキエルの言葉を聞き、自分の理想や民衆の期待を考えたリットリオ。過剰な力の行使に、精神は蝕まれており先は長くない。リットリオが選んだ答えとは…
ーーーーー
「行くのか?」
(ソニア)「朝には出ていく。俺らの手伝いは、必要ないと思ってな。」
(リットリオ)「そうか。なら、"俺も行く"。」
(皆)「…!!!」
ヒーローリットリオの加入である。
「いなくてよいのですか?」
「外に出て力を得る。力に限りはないからな。ああいう力をもった奴らに、勝てなければいけない。」
「じゃあ決定。」
「不安はないんだね。」
「ネメシスの時に強く感じた。俺がいなくとも、守れる者達がいる。
だから大丈夫だ。騎士団も、ラキエルもまたな。」
「なら寝よう。朝は早いぞ。」
また新たに、力を求める友が加わった。5人の旅。次の国で表大陸最後の国となるが…
ーブラック・ロワー
(ハザキ)「帰ったぞ。」
ーガコン!!!ー
(オメガ)「電力を入れたタンクです。」
(???)「集まってきたな。」
「"血は馴染んだか"?」
(ミア)「大変だったけど…」
(黒鎧の男)「だいぶな…。電力、神の心臓。」
(???)「気を付けるのだ。神の力は強大である。人が耐えられるものではない。」
(黒鎧の男)「分かっている…。必要なことだ。こうでもしなければ…」
ーーーーー
満月。星々が光る草原の上。
(ラキエル)「リットリオ。ネオ・ランドは、君の帰還を待っている。我々に流れるのは、天空たる"天の血"。"天ノ神"の導きで、また再び会おう。」
朝日を背に、最後である燃える情熱の地へと向かおう。
<"火の国:ルボトス">




