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騎士のソニア  作者: 深緑蒼水


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13/27

13 : また逢う日

『騎士のソニア 【13 : また逢う日】』


移動都市を襲った事件。昔のような悲劇が起きることなく、ひとまず解決した。


ースタッ…。スタッ…。ー


「来たぞ。」

「やったな…!」

「…。」

「嬉しくないの?」

「別に。いつかは一人でやるだけだ。…生きているか見に来ただけで…。

 俺はもう行く。…正義の意味は理解しただろう。」

「何もないのですか?」

「何もない。」

(ポゼ)「…。」

「生きていてよかったな。」

「へへ…!」


ーーーーー


(ラキエル)「…。」

「ネメシスが心配か?」

「…君か。文句を言いに来たか?」

「いや、俺だけでは出来なかった。」

「意外だな。」

「お前達のことは、ある程度信頼している。だから呼びに行かせた。」

「信頼を得ているのは、王として嬉しいものだ。」


そんな会話をするが、しばらく沈黙が続いた。二人は分かっていた。

お互いが本題に踏み込めずいることに。


「"本人からの希望"だ…。」

「…?」

「ヒーローリットリオは、"マンティーエルの他人格"だ。」

「…!!!いつからだ…」

「親が死んだあの日、犯人達を自身の手で処刑した日。俺が生まれ、奴は後ろに行った。」

「…そうか。」

「冷静だな。」

「内心は違うさ。十数年も昔に消えた家族が、生きていたと言われたらこうなってしまう。どうだ?少し…」

(リットリオ)「それはダメだ。俺は"リットリオ"。奴じゃない。俺がマスクを外しても、顔と声が同じ別人だ。昔の思い出が変わってしまう…。」

「…。そうか。でも、素直なとこは、君も同じだ。…フフ。」


厳格で高貴なラキエルは、少女であった笑顔でリットリオに微笑んだ。


「これから君はどうする?ネオの再興に時間がかかるが…」

「俺は変わらない。ネオのヒーローであり続ける。」

「君の選択だ。君が決めるといい。」


ー"リットリオ。君のやりたいように、やるといいよ。"ー

「(だが、俺の命は長くない…。毎日力を使っていたら、代償が俺を見つけに来ていた…。)」


ー"だからこそ、君のなりたいように…"ー


「"いつか世界を救う、ヒーロー"に…。」


マンティーエルとラキエルの言葉を聞き、自分の理想や民衆の期待を考えたリットリオ。過剰な力の行使に、精神は蝕まれており先は長くない。リットリオが選んだ答えとは…


ーーーーー

「行くのか?」

(ソニア)「朝には出ていく。俺らの手伝いは、必要ないと思ってな。」

(リットリオ)「そうか。なら、"俺も行く"。」

(皆)「…!!!」


ヒーローリットリオの加入である。


「いなくてよいのですか?」

「外に出て力を得る。力に限りはないからな。ああいう力をもった奴らに、勝てなければいけない。」

「じゃあ決定。」

「不安はないんだね。」

「ネメシスの時に強く感じた。俺がいなくとも、守れる者達がいる。

 だから大丈夫だ。騎士団も、ラキエルもまたな。」

「なら寝よう。朝は早いぞ。」


また新たに、力を求める友が加わった。5人の旅。次の国で表大陸最後の国となるが…


ーブラック・ロワー

(ハザキ)「帰ったぞ。」


ーガコン!!!ー


(オメガ)「電力を入れたタンクです。」

(???)「集まってきたな。」

「"血は馴染んだか"?」

(ミア)「大変だったけど…」

(黒鎧の男)「だいぶな…。電力、神の心臓。」

(???)「気を付けるのだ。神の力は強大である。人が耐えられるものではない。」

(黒鎧の男)「分かっている…。必要なことだ。こうでもしなければ…」


ーーーーー


満月。星々が光る草原の上。


(ラキエル)「リットリオ。ネオ・ランドは、君の帰還を待っている。我々に流れるのは、天空たる"天の血"。"天ノ神"の導きで、また再び会おう。」


朝日を背に、最後である燃える情熱の地へと向かおう。

            <"火の国:ルボトス">

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