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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愛されヒロインの弟ですが、あの姉は正直ヤバいと思います。

作者: ありしあ






「ねぇ、ユーリ。聞いてくれる?」

「またですか、マリー姉さん」



 僕が紅茶を一口したところで、姉であるマリーがそう声をかけてきた。

 長く美しい金色の髪に、透き通るような青の瞳。肌は白磁のように白く肌理細やかで、染み一つありはしなかった。マクスウェル伯爵家令嬢であり、僕ことユーリの姉であるマリーは、身内の贔屓目があったとしても美少女と断言して相違ない。

 綺麗な私服のワンピースドレスを身に纏う妖精のような彼女は、



「うん、こんな話できるのはユーリしかいないもん」

「そう言われたら、断れないじゃないですか」

「やっぱり、優しいね! ユーリ!」



 僕の答えを聞いて、無邪気な笑顔を浮かべていた。

 その姿にこちらは呆れるしかないのだけど、とりあえず残りの紅茶を一気に喉に流し込む。そしてリビングでテーブルを挟んで、向かいに座る姉を見ながらこう確認した。



「それで、今日は誰の話なんですか?」



 ここから段階から共有しないと、僕の姉の話は分からなくなってしまう。

 ただ先んじて、情報を開示しておこう。まず大前提として、この世界は俗にいう乙女ゲームの中だ。僕はどういったわけか、その世界のヒロインであるマリーの弟に転生したらしい。よくある設定だとは思うのだけど、ここでの自分の役割は『ヒロインのサポート』だった。

 マリーが興味を持った男性の情報を集めて、それを提示するお助けキャラ。

 あとはその男性が姉をどのように思っているのか調査する、という仕事もあった。ただ物語が進んでいく中で、僕の生活の大部分を占めるのは――。



「うん! あのね、アレクセイ王子のことなんだけど――」



 このように、姉の恋バナを聞くこと。

 ゲーム上では描かれていない部分ではあるけれど、リアルタイム進行となると、このような時間も自然に生まれるようだった。

 姉が情報通の弟に、恋愛相談をする。

 そんな光景が伯爵家では、日常的なものとなっていた。



「アレクセイ王子とは先日、学園の中庭で茶会を開いたのでしたね」

「うん。その日はとても楽しくて、みんな笑顔だったよ」

「だった、ですか……?」



 そんな会話の中に、早くも暗雲が立ち込めている。

 過去形を口にするということは、その予後で何かしらの問題が起きたということ。こちらが訊き返すと、マリーはどこか沈んだ表情になってこう口を開いた。



「今日ね、アレクセイ王子がミカエルくんと言い争ってたの」

「あー……もしかして、その茶会にはミカエルさんも参加していた、と?」



 僕はそんなことだろうと思いつつも、念のために確認する。

 すると姉は、



「……うん。だって、みんなで一緒に遊んだほうが楽しいでしょう?」



 少し困惑したような表情で、小首を傾げるのだった。

 それを見て、僕は思わず眉間を指で押さえる。何故なら彼らが言い争う理由というのは、単純明快で分かりきっていたからだった。



「姉さん。ミカエルさんの立場は、ご理解なさってますか?」

「……え、コーヴィス皇国の第三皇子、だよね?」

「そこまで分かってて、どうして理解できないのですか」

「え……えぇ?」



 理解が追い付かず困惑する姉を前に、僕は口論の原因を告げる。



「コーヴィス皇国とは停戦条約を結んでいるといえ、このガリア王国とは仇敵関係です。彼らもひとかどの人物ですから、姉さんの目の前では笑顔だったのでしょう。しかし互いに敵対心を持つ者同士が、接近すれば軋轢が生じて当然です」

「そ、そうなの……!?」



 するとマリーは初めて知ったとばかりに慌て始めた。

 簡単に説明すると、長い戦争の果てに二国間では条約が結ばれ、平穏な時間が訪れたのだ。――が、それはあくまで表向きの話であって、互いに嫌悪感を抱いているのは当然のこと。ミカエル皇子は使者の役割も兼ねてガリア王国へ留学しているが、その立場は危ういものであった。

 そんな中でアレクセイ王子と接近させたのだから、結果は火を見るより明らか。



「ど、どうしよう……?」

「……はぁ、仕方ないですね」



 そのことを都合上知らないマリーは、思い切り地雷を踏んだのだった。

 しかし、さすがの彼女も事情を察したらしい。慌てふためきながら、涙目になってこちらに助けを求めるような視線を送ってきた。

 僕はそれを認めて、一つ大きくため息をつく。

 そして、狼狽える姉にこう伝えた。



「ここは僕が、二人の状況を確認してきましょう」




 これが異世界転生した僕の役割。

 ユーリ・マクスウェルという少年は、どうにも損な立場に思えるのだった。



 




 そんなこんなで僕は翌日、学園で上級生の教室を覗いてみる。

 アレクセイ王子はどこかへ出ているようなので、隣にあるミカエル皇子のクラスへ顔を出してみた。するとそこには、窓辺でたそがれる彼の姿。短く黒い髪に、鋭い赤の瞳。細く見えるがしっかりと筋肉のついた長身の青年は、憂いのこもった眼差しを窓の外へ向けていた。

 周囲の学生たちはそんな皇子を遠巻きに眺め、何やら噂話をしている。

 軽く耳を傾けると分かったのは、少なくとも好意的な内容ではない、ということ。仇敵国の要人なのだから、無理もない話とも思えたが……。



「すみません。ミカエル皇子で、間違いないですか?」

「ん、そうだけど……お前は?」



 僕は特に気にせず、しかし礼儀を忘れずにそう声をかけた。

 するとミカエル皇子は怪訝そうに眉をひそめるものの、無下に扱う様子はなく答える。そっけない素振りを見せる人物ではあるが、根っこの部分は当然に悪人ではなかった。そして僕に対して警戒心を解かないのは、やはり周囲からの視線が関係しているのだろう。

 その証拠に、彼はこう言った。



「話があるなら、場所を変えるぞ。……ここは人が多いだろ?」



 その口振りはどこか、こちらの身を案じているようにも思える。

 少なくとも僕はそう感じながら、彼の後に続くのだった。





 そして、人気のない場所まできて。

 僕たちは改めて、互いに名乗り合った。すると、



「なんだ、お前。マリーの弟だったのか」

「はい。マクスウェル伯爵家、嫡男のユーリと申します」

「あー……そういう堅苦しいのは苦手なんだ。口調は崩してくれ」

「分かったよ、ありがとう」



 畏まった態度に対して、ひどく面倒くさそうな表情を浮かべる皇子。

 相手がそのように言うのなら、素直に受け取るのが良いだろう。僕としても敬語を抜きに話せるのはありがたいので、ひとまず肩の力を抜くことにした。

 するとミカエルは意外そうな顔をした後に、納得したように頷く。



「なるほど、な。その気楽さは、たしかにマリーの弟だ」



 そして、どこか嬉しそうに笑うのだった。

 その笑顔を見て思ったのは、案外に彼が人懐っこい表情を浮かべる、ということ。だけど少し考えてから、それもそのはずかと思い直した。

 彼はいま敵国の中にいるのだから、心の底から笑える場面が限られる。

 いわば仮面を被っているのが当たり前なのだから、普段の彼だけを見て為人を知った気になるのは間違いだった。そう考えると、いまの笑顔がミカエルの素顔なのだろう。



「それで、ユーリは俺に何の用だったんだ?」

「いや、たいしたことじゃない。姉さんと仲良くしてるから、どんな人なのか、って気になっただけだよ」

「ふーん……?」



 そんな彼の心を曇らせたくはなかった。

 だからあえてアレクセイ王子の名前は出さず、ミカエルのことを知りたいと伝える。当たり前に彼は試すような視線を送ってくるが、これも僕の本心であって嘘ではなかった。そのため皇子も警戒を解いてくれたらしく、小さく笑うと気の抜けた声で話し始める。



「……ま、良いけどよ。それは半分嘘、ってところだろ? 俺に興味を持ってくれるのは嬉しいが、それだけじゃない。きっと俺とアレクセイのことを訊きたいはずだ」

「凄いな。もしかして、何かの魔法?」

「バーカ、そんなんじゃねぇよ。勘ってやつだ」

「それはそれで、凄いけどね」



 それに僕は感心しつつ、相手から話題提供してくれたことに内心で感謝した。

 向こうから話してくれるなら、いくらかは気持ちが楽だ。そう思って僕は、なるだけ柔らかい表情に努めて訊ねる。



「口論してたって聞いたけど、いったい何があったのさ」



 するとミカエルは、少しバツが悪そうにこう言うのだった。



「あぁ、元々はたいした話じゃなかったんだ。茶会で一緒になったんで、少しばかり挨拶したんだが――」

「もしかして、思ったような返事じゃなかった?」

「そうだな。端的にいえば、あしらわれた。でも互いの立場を考えれば当たり前のことなんだが、少しばかりカチンときちまってな」

「それで口論になった、と」

「……その通り、だな」



 もちろん、それだけじゃないはず。

 マリー姉さんも絡んでいるから、もう少し事態は複雑のはずだった。しかしいま、そのことまで首を突っ込んでいたら話が進まない。そのため、まずは――。



「でも、挨拶するってことは……ミカエルに敵意はない、ってことだよね」



 そのことを明らかにしよう。

 僕はそう考えて訊ねると、彼は迷わずに頷いた。



「もちろんだ。昔は戦争してたかもしれないが、あくまで親の代までのことだろ? 少なくとも俺としては、今の代まで持ち込もうとは思っていない」

「ふむ、なるほど」

「ただあっちは、どうか分からないだろ?」

「…………」



 その言葉に、僕はしばし考える。

 やっぱりこのミカエルという人は、大物だといって間違いなかった。国と個々人の思想を分けて考えながらも、相手のことを慮るだけの懐の深さがある。

 感情的なように見えて、実のところかなり思慮深いのだろう。

 そう思いながら、僕はこう答えた。



「んー、それはどうかな」

「……どういう意味だ?」



 すると彼は眉をひそめ、こちらを見る。

 しかし、僕の意図するところは彼の思惑とは違っていた。



「少なくとも、アレクセイ王子は話の分かる人だよ。条約のことも理解しているし、むしろミカエルのことを気にかけてるんじゃないかな?」



 そうなのだ。

 少なくとも自分の知るかの王子は、相手のことを思いやれる優しい御仁。それが口論にまで発展したというのなら、その理由は一つしかなかった。

 我が姉マリーは、なんとも罪な女性である。



「だったら、どうしたらいい? 俺もアイツとは、わだかまりを残したくない」

「それは、そうだね。それなら――」



 僕は少し考えてから、こうミカエルに告げるのだった。



「何か共通の話題がないか、僕がアレクセイ王子に訊いてくるよ」




 それが関係改善に、一番の近道だろう。

 姉以外の話題があるのなら、それに越したことはなかった。



「あぁ、助かる。その――」



 そう考えていると、ミカエルはしばし口ごもりながら。

 どこか気恥ずかしそうに、こう言うのだった。



「……あ、ありがとう」――と。







「さて、次はアレクセイ王子……か」




 ミカエルと別れてから、しばらく経って。

 僕はひとまず王子の行きそうな場所に、足を運んでいた。おそらく学園内からは出ていないだろうし、いるとしたら中庭か、あるいは――。



「王子よ。どうかご理解くださいませ」

「それはそうなのだが、しかし……!」



 ――と、考えていると。

 何やら物陰から、そんな話し声が聞こえてきた。

 一方は間違いなく王子のもので、もう一方は臣下の誰かだろうか。不思議に思いつつ声のした方へと向かい聞き耳を立てると、入ってきたのはこんな会話だった。



「あの者は敵国の人間。たとえ何があっても、口を利いてはなりませぬ」

「しかし、彼には敵意がない。それを無碍にしろ、というのか!?」

「条約などまやかし。いつ裏切られるか、分かったものではありません!」

「くっ……!?」



 どうやら臣下の何者かが、王子に釘を刺しているらしい。

 それにアレクセイ王子自身は不服のようだが、なにも言い返せなくなっていた。いかに王子といえど、まだ王位を継承したわけではない。発言力や影響力のある者からの言葉は、無視できないのが現実だろう。そのことを王子が悔しく思うのは、当然のことに思えた。



「良いですか、アレクセイ王子。努々、この忠告を忘れぬよう……!」

「…………」



 そう言い残して、臣下はその場を後にしたらしい。

 気配が消えてからは王子が一人、ただただ無言で立ち尽くしていた。いまこのタイミングで、彼に話しかけて良いものか。それに僕が悩んでいると、



「盗み聞きは、感心しないな。……そこのキミ」

「あぁ、バレていたのですか……?」



 王子はこちらに向かって、そのように声をかけてきた。

 であれば、さすがに観念するしかない。僕はそう思って王子の前に、身を晒した。すると彼は意外そうに、その金の眼差しを細めながら頷く。

 短く整えられた赤の髪先を弄りながら、王子はこう言った。



「キミはたしか、マリーの弟くん……だったかい?」

「ご存知だったのですか? 驚きました」

「ははは。王族たるもの、貴族のすべてを記憶できないと話にならない」

「……いやいや。それは並大抵ではない、と思いますが」



 しれっと凄いことを言われるので、苦笑しつつ僕は頭を垂れる。

 すると王子は短く息をつき、



「構わないよ。ここは王城でもなければ、私たちは同じ学園生だ」

「それは助かります。少し、お話をうかがっても……?」

「あぁ、聞かれてしまったようだからね」



 どこか諦めたように、そう言うのだった。

 僕はひとまず面を上げてから、アレクセイ王子に訊ねる。



「先ほどの件は、ミカエル皇子とのこと、でしょうか?」

「ふむ。やはりマリーの弟くんは、事情に通じているらしいね」



 すると彼は苦笑し、一つ咳払いをした。

 その上で、



「お察しの通り、あの者は臣下の中でも過激派でね。しかし古株であるため、多大な影響力を持っている。私が王位に就くには、彼の後押しが必要だろう」



 思いの外に踏み込んで、そう話してくれる。

 それだけ気を許してくれているのは、やはり姉の影響があるのだろうか。我が姉はご存知の通り天然を通り越して正直ヤバいのだが、誰にでも分け隔てなく接するという美点があった。きっとそういうところが愛される要因で、僕はいまその恩恵を授かっているのだ。

 であれば、それを最大限に活かしたいのだけど――。



「キミは、どう思う? 私はこれから、どうすればいい」

「あー……」



 さすがにいま、このタイミングで趣味の話などできようはずがない。

 ここで間抜けた雑談をすれば、それこそ空気が読めない、というやつだった。それだけは避けなければならない。相手は一国の王子、失礼なことはできなかった。

 ただそれ以前に、僕には思うこともある。

 この国の行く末とか、そんな大それた規模では語れない。それでも――。



「すみません。少しだけ、失礼な言い方になるかもしれないです。それでも大丈夫なら、僕なんかでよければ意見を述べさせていただきたいです」

「あぁ、構わないよ」

「そ、それじゃあ――」



 彼の悩みに対して、確実に伝えられることがあった。

 一度深呼吸し、僕は真っすぐに王子を見て語る。



「アレクセイ王子。僕は国を豊かにするのは、歴史だけではないと思うのです」



 拙い、夢物語ばかりの理想論を。




「たしかに歴史や伝統は大切です。それを省みることで、学ぶことも多いと思います。ですが過去ばかりに目を向けていては、前を向けません。憎しみの感情から解き放たれることはありません。過去の長きにわたる戦争は、教訓にこそなれ、生きる糧には到底なり得ません」




 言い淀めばそれで終わり。

 僕は一生懸命に、王子の想いに向き合った。




「生きる糧、希望を生み出すのは未来を語る者だと思います。新たな歴史を生み出すのは、過去の人々ではなく今を生きる人々だからです。そして同じく希望は争いからは生まれず、相互理解と協力の上に成り立つのだと、僕は信じています。だから、絵空事でも良い――」




 そして、ようやくそこで一つ息をついて。

 最後にアレクセイ王子へ向けて、僕はこう伝えるのだった。




「もし王子が悩んでおられるなら、迷わず未来を語ってください」――と。









「う、うーん……?」

「ユーリ、どうだったのかな?」




 学園から帰ると、リビングにはすでにマリー姉さんの姿。

 彼女は心配そうに首を傾げながら、こちらの報告を待っていた。しかし正直なところ、アレクセイ王子とミカエルの仲を取り持つ話題は見つけられていない。

 それでは本来の目的には、達していなかった。

 王子は僕の話を聞き終えてから、何やら意味深に微笑んでいたし……。



「とりあえず、二人と話してはきたのですが――」



 それでも報告する義務はある。

 そう考えて僕は、マリーに事の次第を語って聞かせた。すると、




「共通の話題なら、あるじゃない!」

「――えぇ?」




 何やら姉さんは、キラキラと目を輝かせる。

 そして居ても立っても居られないという様子で、こう宣言するのだった。




「待っててね! 明日には絶対、二人を仲直りさせてみせるから!!」




 いったい、どこからそんな自信がでてくるのだろう。

 僕はそう思って首を傾げるのだが、姉は至って大真面目に拳を握るのだった。






 ……で、後日のこと。

 僕はマリー姉さんの誘いで、噂の茶会に出席することになった。前々から興味はあったものの、都合がつかずに参加できていなかったのだけど、今回は是非にと念を押されたのだ。

 そこまでして僕を呼びたい理由は分からないけど、いったい何があるのだろう。

 そのように思いながら、当日を迎えた僕は――。




「あのー、どういう状況ですか? これは」

「どういう状況、って?」




 完全に委縮してしまっていた。

 何故なら僕と姉以外の参加者は二人いたのだが、それが問題だったから。




「そんなに畏まるなよ、ユーリ!」

「あぁ、この茶会は憩いの場だからね。堅苦しい話はなしだ」

「おおう……」



 困惑する僕に、アレクセイ王子とミカエルは笑い合いながら言った。

 先日の一件はどこへやら。いいや、和解したのであればそれで良しなのだけど。どうして二人揃ってこちらを見ながら、楽しげに微笑んでいるのだろうか。

 頭を悩ませる僕に向かって、答えを示したのはマリー姉さんだった。



「なにって、共通の話題だから、だよ?」

「…………へ? なにがですか」



 彼女の言葉に、さらに首を傾げる。

 それは先日の解決案にあった『共通の話題』を見つける、ということか。だけど、それと僕が茶会に参加するのに、どんな繋がりがあるのだろう。

 そう思っているとマリーは、僕を指さして言うのだった。




「みんなの共通の話題! ユーリのことが大好き、ってこと!!」

「………………はい?」




 そんなはずがない。

 僕はそう思い、否定しようと――。




「あぁ、俺はお前に救われたからな。いまの居場所はユーリがいてくれたから、手に入れることができたんだ」

「え、え、え……?」

「私も理想を貫こうと思えたのは、ユーリくんのお陰だからね。もし王位を無事に継承できたなら、キミを側近の一人に迎えたいと考えているよ」

「え、え、え、え、え、え………!?」




 それより先に、王族と皇族が口を挟んで肯定する。

 僕の思考はそこで停止して、




「ど、どうしてこうなったの……!?」




 そう口にすることしか、できなかった。



 


書いてて、自分でもオチに驚いてます。



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