お読みいただいた皆様へ
「紅華四季恋浪漫譚 蛍夏の章」
ここまでお付き合いくださった皆さま、本当にありがとうございました。
本作は
「背中合わせが一番心地よいふたり」
「相棒以上、恋人未満の関係性」
「言葉にしない愛」
を主題に描いた長編でした。
結末には賛否あるかもしれません。
それでも私には、あの二人にはあの終わり方しかないと思えたのです。
もともと「蛍夏」は、蛍の舞う森で男女が背中合わせに座り、黙ったまま眠りにつく――そんな一枚の情景から生まれました。
そこに至る二人はどんな死生観を持っていて、どんな過去があるのか。背負っているものは何か。何を求めているのか。そして、黙っていることが心地良い二人の関係性とは、どんなものなのか。
そんなことをぼんやり考えて考えて、頭の中で組み上げた数年間。
私の頭の中だけで描かれていたお話を、こうして実際に小説とすることができて、しかも読んでいただくことができて、万感の思いです。
どうか、この先も火花と玲に、ささやかな幸が訪れますように。
あなた達は私の処女作の主人公と、胸を張って言うに相応しい。
ありがとう! いつまでも愛してる!
さて、勘の良い方はお気づきかもしれませんが――
「紅華四季恋浪漫譚」は四部作です。
次回作 「紅華四季恋浪漫譚 綻春の章(仮)」 の連載を予定しております。
物語の主人公は、紅華帝国第二皇子・雅臣と、その婚約者・白藤綾乃へ。
「蛍夏」とは雰囲気を変え、
“素直に言葉にできないふたりの、まっすぐな純愛”
を描いていきたいと思います。
主題は、「嘘と忘却に隔てられた、二度目の初恋」。
──あの頃、雅臣は何をしていたのか。
──彼が抱えていた悩みとは。
──魔石とは、いったい何なのか。
まったく違う空気感の物語になりますが、
もしよろしければ「綻春」もご覧いただければ嬉しいです。
皆さまの大切なお時間を、本作に割いていただき、心から感謝申し上げます。
また次の章で、お会いできますように。
浅葱ハル 2025.11.28




