6.ゼロフォーは冷静に状況分析をしていた-今までのような戦いにはならないでしょうね-
全48話予定です
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そして、舞台はゼロフォーたちが陣取っているマルティン市街まで戻って来るのである。
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戦闘状況としては、帝国の機械化部隊がまず見えるというものだが、こちらだって機械化部隊が駐屯している。それぞれに砲撃を行いつつ、レイドライバー部隊は機械化部隊とは距離を取り、敢えて遮蔽のあるところで隠れていてまだ参戦はしていないという状態。そこに敵のレイドライバーが出現、数発の撃ち合いののちに現在のにらみ合いになった、といういきさつがある。
ゼロフォーは冷静に状況分析をしていた。
今回の指揮官はゼロフォーが担当している。それはカズの考えによるところが大きい。部隊の中には[無人機]であるスリーワンとスリーツーが存在している。その指揮を前回の戦闘で行い、ほぼ満点の結果を残したゼロフォーをみすみす使わない手はない。いざとなれば交渉役には、何食わぬ顔をしてパイロットであるマリアーナが出ていけばいい話なのだ。
現在のこちらの手持ちは三体、そこに増援のゼロツーが加われば四体となる。敵は、四体が確認出来た。おそらくこちら側から漏えいさせた[レイドライバーを相当数派兵]という情報を勘案して四体を寄越したのだろう。
――これは、今までのような戦いにはならないでしょうね。
ゼロフォーは冷静にそう判断している。それはこの戦場が休戦を結べるほど簡単ではないからだ。
機械化部隊もいれば戦闘機も飛んでいる。そしてここは同盟連合の、非常に重要な土地だ。だから地元の部隊もほぼ最新鋭といっていいものが配備されている。
当然、戦闘機も複座型と呼ばれる、パイロット以外にもう一人人が乗れるタイプの三五FDが主力になっている。今回は最新鋭機である三五FDIも加わっている。上空は上空で何とかしてもらえそうだが、果たして地上に構っていられるかどうか。向こうとてむやみに通常型の戦闘機しか連れていないとは考えにくい。となれば必然的に考えられるのは新型機、つまりM三一DIがいると見ていいだろう。
そんな状況下で、さて自分たちはといえば会敵ののち睨み合いという形になっている。マスターの話ではもうじき援軍が空路で向かってくるとの事。
――そうなれば四体四、イーブンだ。だが、このまま援軍を待つべきか。いや、出方を見極める為に少し戦闘をしておくべきか。
ゼロフォーはそんな考えをしていた。
「スリーワンとスリーツーを射撃管制下に入れます。敵を一体でも被弾させられれば上等ですので、まず少し小手調べをしてみましょう」
と言ったあと、
「マリア、私が射撃管制を行い、一体に弾丸を集中させます。貴方は私の予測線を……そうでした、レイドライバーでは予測線という言葉は使わないのですね、想定した敵機を射撃願います」
そうマリアーナに告げる。それに対して、
「もちろんですわ、あなたの立てたプランに乗りますの」
直ぐに返答が返って来る。
――今度はマリアに怪我させたりはしない。
そう思っているゼロフォーの心の中に[もしかしたら僚機を盾にして]という考えがまったくないか、と言われれば頭の隅にはいるくらいの考えがあった。
もちろん僚機を盾になぞしたくないのは事実である。だが、もしも状況がそうなった場合、一体は犠牲にしないといけないかもしれない、そんな風には考えているのである。
――もしそれがスリーツーだったら? マリアは私を恨むだろうか。
ゼロフォーは誰に問うでもなくそんな事を考えていた。
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