47.おかえりなさい-もうだいぶ良さそうだね-
全48話です
明日(8/25)の第48話でこの巻は完結になります。読んでくださって本当にありがとうございます!
続いて、同じく明日(8/25)に次作である「レイドライバー 19 -戦闘終了、同盟連合と帝国の思惑-」を寄稿したいと思います
次話の前書きと後書きにリンクを貼っておきます、引き続き読んでくださればとても嬉しいです!
そして、以前に書きましたがレイドライバーシリーズは全22巻で完結となります
もしよろしければ最後までお付き合いくださるととても嬉しいです!
カズが研究所に着いたのは三日後である。それはもちろん遠回りをして目的地に移動するという慣例がある為である。それこそアルカテイルから研究所までまっすぐに行けば一日半もあれば着く距離なのだから。
「戻られましたね」
アイザックが出迎える。その傍らにはもう一人。
「おかえりなさい」
そう、[襟坂恵美]という躰をした千歳である。
「もうだいぶ良さそうだね」
千歳は襟坂の躰に脳だけ移植されたのだ。処置したての頃は表情一つ作るのにも苦労していたようだが、そこは流石に人間同士、仕組みは同じだし、何より恵美の開発したクスリがあるから拒絶反応も抑えられている。
「お陰様で。そうだ、ゼロゼロは?」
千歳がそう尋ねると、
「トレーラー組は流石に何か所かの隠れ家を経由するからもう一日二日はかかると思うよ。それよりもまずはこれからの事を話し合おう」
そう言って所長室に二人と一緒に入っていく。
そこからは三人で話をした。まずは事の顛末。こちらの損害は決して少なくない。サブプロセッサーとコアユニットが一つずつ無くなり、パイロットが一名がほぼ死亡扱いという現状と共に話をしていく。カズから二人には、これからのスケジュールの事や研究の進捗状況などを聞いた。
「子宮システムですが、確かにこれは有用なものなので否定はしません。ですが、今回のように限定された環境下なら完全無人機もありなのかな、と思う」
――実際にあそこまで動けるとは思いもよらなかったよ。
それがカズの感想である。
「操縦してみたけど、若干の違和感はぬぐえないけど、これからの研究でそのあたりも払拭できれば」
「完全な[無人機]も夢じゃあないよね」
そう千歳がつなぐ。カズも、アイザックも、千歳だって殺人を好んでしている訳ではない。もちろん研究の結果としてそういった事もありはする。
カズだってもちろん自分を肯定などしない。それを言ったら二人だって同じだろう。現にその手は血に染まって久しいのだから。
レイドライバーという研究がひと段落したというのもある。だからそんな考えが生まれるのだとも思える。
――それでも救える命があるのなら――
三人とも同じ考えだろう。少なくとも千歳はそう考えているのはこの前カズと話した通りである。
だが、非道な実験はこれからも続くというのもまた事実である。[独特の間]の解消にはサンプルデータが圧倒的に不足している。特に生理データが殆どないのだ。そういう意味では帝国の方がこの辺りはリード、と言えるのかもしれない。少なくともカズが得ている情報ではそう感じるのである。
さらに言えば[襟坂恵美]として千歳が復帰したという現実も大きい。レイドライバー技術を応用した義体の研究である。もちろん、これも並行して行う手はずになっている。
――あの時、イリーナさんをハチの巣にしていなくてホントに良かったよ。
イリーナは一度カズの手に堕ちている。[あれやこれや]で、自分の知っている情報をすべて吐いてしまったのだから。その話によれば、帝国のレイドライバーは生体コンピューターは積んでいるものの操縦は本人が直に行っているという。
帝国は、同盟連合が実現した子宮リンクというシステムを追わなかったのだろうというのはよく理解できた。
もちろん不明な点も多い。どうやって生体コンピューターと意思疎通をしているのか、そもそも意思疎通はしていないのか。その辺りはイリーナが限界を迎えてしまってついぞ聞きそびれてしまったのだ。それでもジュケーという後ろに控えている都市がレイドライバーの製造元であるのは突き止められたし、補充が定期的に来ているのも分かった。更に言えば補充のペースは同盟連合より早い可能性も。
――さて、上の人たちとお話ですかね。
一通り話を終えて二人に、
「じゃあ、少しばかり上の方々と話をしてみるよ。それまでは隣で待っていてくれるかな?」
カズはそう告げた。
全48話です




