45.研究所に繋いで、と。アイザックさん?-三期生、上がりましたか?-
全48話です
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流石にトレーラーが何台も出て行ったのでは行先が分かってしまうというものだ。だから行動は夜間に、順路を変えてそれぞれに研究所に向かった。
その中でも一番早いのは、やはりライトバンに乗っているカズであろう。
このライトバンは、話に度々出てくるカズが移動する際に使用している車である。研究所に一台、アルカテイル基地に一台、それぞれ二十四時間待機している。そしてカズが一たび乗ったならそこは秘密空間、会話は運転席や助手席にすら聞こえないように強固とは言えないものの防音設備が施されている。
そして、万一会話が漏れても大丈夫なように運転手、コドライバー共に研究所付きの人間なのである。
――さてと、まずは。
「研究所に繋いで、と。アイザックさん?」
カズが尋ねると、
「ああ、所長。無事でしたか」
と返って来る。向こうからは決して名乗らない、それがルールなのだ。こちらが相手を指定して話をする。それは指定できるだけの情報を持っている人間としか話さないという裏返しともいえる。そして、相手の情報を逐一網羅しているのは、このアルカテイル基地で言えばカズだけであろう。
「三期生、上がりましたか?」
と尋ねれば、
「はい、この作戦期間中に上がってきました。パイロットは四名、サブプロセッサーが七個という内容です」
――おぉ、それはそれは。
それは前倒して採用になった分は含まれていない。というところを見るに、
「もしかして、三期生は優秀なのが多い?」
という疑問が出る。もちろん、概略はカズだって知っている。だが、実際の現場の人間となると正確には分かりかねる、というのが本音なのだ。それに留守中は副所長のアイザックが、今では[襟坂恵美]という研究員もいる。中身は言わずもがな、カズの言わば半身である人物が一緒になって取り仕切っているのである。
[襟坂恵美]という人物が姿を現してから、研究所の体制は若干の変更が加えられた。今までも恵美は主任研究員であったのだが[襟坂恵美]という人物には副所長付きという立場が与えられたのだ。これはカズの意向がない、とはいいがたいのだが、アイザック自らが、
「彼女にサポートしてもらいましょう」
と言ったのだ。それ程に復帰した彼女は色々な角度からの分析、それに続く提案を行い、アイザックをして唸らせるほどには頭角を現していたのである。
当たり前と言えば当たり前なのだ、何と言っても中身は[前所長]なのだから。
「ええ、今回のクラスはより厳格なテストをしていますからね。元々のポテンシャルが違います」
そうアイザックは答える。
「ちなみにサブプロセッサーは研究所保管だと思いますが、パイロットは?」
とカズが尋ねれば、
「教練所に留め置いていますが」
と返って来る。
「それもそうですね。では本題に入りましょう。こちらはゼロゼロとゼロワン、ゼロファイブがそれぞれ被弾しました。ゼロゼロとゼロファイブは後ろから致命弾を喰らいました。ゼロファイブのパイロットは……このままだと死亡は免れないでしょう。なので」
カズは脳だけ取り出して、パイロット経験のあるサブプロセッサーとして生き残らせようというのだ。
「これは[無人機]構想の一環とも呼べるものです。そのままにしておいたら消えてしまう命も救えるなら救いたい……って今更どの口が、ですね」
――今更なのは十分承知している。でもね、救えるものなら救いたいんだよ。散々いじくりまわしておいて何だけど、スリーツーだって救いたかったんだ。確かにスリーツーには酷い事をしたし、酷いマネまでした。でもね。
スリーワン、スリーツー共に[無人機]である。そして[無人機]であるがゆえに独特の間を気にしていた。だから感覚が鈍くなってしまう、ペインアブソーバーの機能はこの二体に関して言えば密かに無効化されていたのである。
カズは少しばかり感傷的になっていた。今回の作戦立案は自分である。もちろんそれは軍上層部、ひいては政府上層部とも話を付けての作戦なのだ。そして作戦行動、つまりは戦闘になれば一人の負傷者も出さない、等というのは夢物語である。それを知っての所長、ひいてはレイドライバー部隊の隊長なのだが、こうして実際に負傷者が出るというのは毎回気が滅入るものである。
そんな声のトーンを察したのだろう、アイザックが、
「私は所長のお手伝いは出来ますが、所長の代わりは出来ません。意思決定というのはそれだけ重さがあるのは分かります。ですが」
「それを他人には押し付けたりしませんよ。大丈夫、少しばかり感傷的になってしまいましたね、すみません」
アイザックの最後の言葉に被せるようにカズが言葉を繋ぐ。
――それ以上は言わせてはいけない。それだけの責任がオレにはあるんだ。
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