43.いずれは訪れる、姉弟の別れ-一目会わせてください-
全48話です
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一方、引き揚げてきたカズたちに話は戻る。予備機はやはり廃棄扱いとなった。だが、それをしてもゼロシックスの、レベッカの無事は確保された。ゼロゼロ、ゼロワン、ゼロスリー、ゼロファイブはそれぞれ整備が必要となったのだが、
「アレックス、ジャズリンお姉ちゃん……」
レイリアのダメージが心配されるところである。現にこうして機体の前で泣き崩れているのだから。
いずれは訪れる、姉弟の別れ。それが今日起きたのである。
敵の放った弾丸は正確にコアユニットとサブプロセッサーを打ち抜いていたのである。徹甲弾、それもリアクティブアーマーの隙間からの直撃弾である。
レイリアは、
「お願いします、何でも言う事を聞きますから一目会わせてください」
そうカズに、整備員たちに懇願するのだか、カズが出てきて、
「いいかいレイリア。敵の弾丸は徹甲弾だ。そしてそれは威力が高い。そんなものが装甲の隙間を縫って直撃したんだ。それをきみは直視できるかい?」
カズは静かにそう言って聞かせる。
――それだけのダメージを負ったんだよ。原形をとどめていない、と一言で言った方が良いんだろうけど。
と思いはするのだが[原形をとどめていない肉片を見たいか?]とはとても言えず、先ほどのようなやんわりとした、それでいて確実に内容が伝わる表現をしたのだ。
「クリス」
おもむろにカズはクリスを呼ぶ。
「はい、ご主人様」
「レイリアについていてあげてくれるかい。オレはこれから」
「分かっております、例の場所ですよね」
と察してくるので、
「そう、これからの相談をしないといけないんだ。それに三期生が正式に上がって来た。その辺りも話を付けないと。それから被弾した機体の修理は……ちょっと考えてるから、ゼロゼロとゼロワン、ゼロファイブときみの機体は一緒に連れて行くかな」
と返す。
ゼロファイブのパイロット、エレンは一命は取り締めたものの危篤状態が続いている。現実問題として復帰は難しいかも知れない、それくらいの重症度なのだ。これについても何とかしなければならない。
――まずは司令のところ、か。
カズは、クリスの[仰せのままに]という言葉を背中で聞いて、司令室へと向かう。そこでは目的の人物が出迎えていた。
「よくやってくれたな、まずは感謝を」
と司令が言うので、
「すみません、被害を相当に出してしまいました」
と素直に謝る。
「きみのせいではないよ。事実、帝国の情報はほとんど入って来ない。よほど上層部だけで動いていると見えるからな」
事実そうなのだろう。これまでに捕虜、と呼べる人物は少ないながらも何人かはいた。それらは皆が[本当に知らないんだ、助けてくれ]という始末なのである。嘘をついているとも思えないその言動にカズたちは少し違和感を覚えた。
――もしかしたら、帝国は秘密を知った人間から順に被検体にしているのではないか。そんな噂が出回っているからこんなに怯えているのではないか。
そうも考えた。
本当かどうかは定かではない。ただこれだけは言えるのは、誰一人として情報を持っていなかったのである。
カズは一通り報告を済ませると、
「これから研究所に向かいます。そこで上と話もするつもりですが、何か伝える事はありますか?」
と尋ねる。司令はその問いに、
「事後報告でいいから情報をくれるとありがたいよ」
と笑顔で答えるので、
「もちろん、ご報告はあとでしますよ」
そう言うカズはやはり微笑んでいた。
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