41.それこそ穴倉から出て来れなくなるかもな-きみが謝るものではなかろうよ-
全48話予定です
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「まぁ、相手にもこちらの最新戦車隊の情報が降りるのも時間の問題だろう。実際に相手の対レイドライバー戦までこちらのミサイルは黙っておきたかったが、こればかりはどうしても事前テストだけはしないといけないからな。逆に威力が伝わればそれだけで足止めが出来る。それこそ穴倉から出て来れなくなるかもな」
クロイツェルは少し嬉しそうである。
「しかし、こちらも大分やられてしまいました。その辺りの、その、補充といいますか」
クラウディアは申し訳なさそうにしている。
そんな彼女に、
「きみが謝るものではなかろうよ。旧トルコに進軍しようと決定したのは私だし、グランビアの玄関を叩いたのは同盟連合だ。きみの行ってきた行動は賞賛こそされど、非難など受ける必要はないよ」
とクロイツェルが答える。彼は続けて、
「きみには私の副官としていろんなところを回ってきた。だから言葉にしなくとも何となくわかっているかもしれないが、一応言葉にして伝えよう。M三一DIにしてもレイドライバーにしても補充はじきに出来上がる。知ってるとは思うが、レイドライバーで言えば四体のロールアウトがほぼ目の前だ。今回の戦闘で結果はどうなったかな?」
と問われるのでクラウディアは、
「我が方はグランビアの四体は健在、スナイプ組は一体残存、旧トルコが二体の計七体になります」
と答える。
「そうだな。で、敵の数は?」
と再度尋ねられるので、
「四つ足二体は健在、北側の二体のうちの一体はかなりヤレたと思います。がもう一体は腕を損傷しただけ。南側の二体も、あれではパイロットの命はないでしょう。修理して使うにも時間はかかるはずです。そしてアルカテイル基地に存在していた二体のうち一体を撃破。旧トルコでは四体のうち三体が無事。つまり、健在が六体、大破が三体と言ったところでしょうか」
と答える。
「おそらくこれが全容だろう。つまりは[まずまず]と言ったところなのだよ。相手はこれからどんな作戦行動を執るにせよ、まずは破損した機体を修理しないといけない。それはつまりしばらくの間は時間が稼げるというのを意味している。その意味は、言うまでもない補充の為の時間だ。時間が経てばたつほど補充の機体が出来上がる。だがそれは相手にも言える話だ。敵も確実に補充が来るだろう」
クロイツェルは一区切りつけると、
「だが、これで我々の方が生産速度が上なのは分かった話だ。時間が経てばたつほどこちらが有利になる。それは相手にも伝わったはずである。言い方は悪いが、こちらは質より量、むこうは量より質といったところかな。もちろんレイドライバーのアップグレードも日々研究されている……のは私と一緒にそこらを回っているから知っているか」
と言ったところで、
「全軍に告ぐ。今回の作戦は終了だ。警戒任務に当たるもの以外は撤収をして、少しばかり休むと良い」
クロイツェルはグランビアに展開している部隊にそう告げたのである。
そして、
「クラウディア少佐、きみの処遇は少し考えている。スナイプ組も、前線に当っているパイロットも、な。相手も階級を上げて来ているなら、こちらも考えないとつり合いが取れない。それに」
クロイツェルはそう言うと、
「彼と話すときに大変だろう? 確かカズ……中佐、だったかな。彼とは一度敵味方関係なく話をしてみたいものだ。酒でもかわしながらな」
そんな言葉がクロイツェルから出てくる。それがクラウディアには、
「意外です、参謀閣下」
なのである。
だが、
「そうか? 彼はとても優秀な人材だと思うがね。まぁ、叶わぬ夢ではあるが、いっそ我が軍に欲しいくらいだ。私は優秀な人間は好きだよ、それは敵味方関係なく、な。その中にきみも含まれている、と捉えてもらっていい。理路整然としていて無駄がない。慌てず、わめかず、冷静に状況を分析して結果へと導く。それが実際に行動として出来るというのはとても素晴らしいのだよ。一時の情などは、なに、犬の餌にでもくれてやればいい」
クロイツェルは少し機嫌が良さそうだ。
そんな中、
「閣下、実は気になるお話があるのですが」
クラウディアはそう切り出した。
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