39.そこで、提案があります-挟撃だけは絶対に避けなければならない-
全48話予定です
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「差し当たって補給が完了し次第、様子を見に行こうと思います」
相手が逃げ込んだ場所というのは大体予想が立っている。機械化部隊と合流、そしてその区域から移動していないのは衛星で確認済だ。そこは市街地から少し離れた、それでいて市街地が望める場所である。地形的にはところどころ岩がむき出しになっていて、それこそ遮蔽には困らなそうである。
更にゼロフォーは、
「敵のレイドライバーは二体と確認しています。それであれば数でこちらは勝っている。そこで、提案があります」
ゼロフォーの提案、それはまさに[様子見]をしようというのだ。
具体的には、ゼロフォーとスリーワンで残存レイドライバーの様子を見に行く。もちろん交戦になれば対応はするが、出来るだけ戦闘は避ける。
ではゼロツーは? と言えば北から押してきている機械化部隊の排除に同盟連合の機械化部隊と共に当たる、というものだ。
「でもそれって」
思わずトリシャが口を挟むが、
「ですから、戦闘は望まない。でも挟撃だけは絶対に避けなければならない。聞けば現地の軍隊は押されているとか。現に最北の拠点であるウァンは既に陥落したらしいとの情報も上がってきています。敵は旧アルメニアから軍を送り込んでいる。そしてその軍隊はおそらく大陸製の最新型だと思われるのです」
つまり、現存の機械化部隊では太刀打ちが難しい案件なのではないか、ゼロフォーはそう懸念しているのである。そこでゼロツーが加勢に行けば、状況は一気にひっくり返る、はず。
一方のゼロフォーはスリーワンとの組み合わせが都合がいい。何故なら意思伝達に、いざとなれば会話を挟まなくても済むからである。スリーワンは[無人機]。搭載されているサブプロセッサーにさえ情報が伝われば、そこに会話は必要ないのだから。
「でもっ」
「それとも何か問題があるのでしょうか? マスターはここでの作戦指揮を私に託された。その信託には応えなければならない。貴方もマスターに従っている以上、私の作戦指揮に従って頂くのが賢明か、と。それとも今から確認しましょうか?」
トリシャの異に被せるようにゼロフォーが言ってかかる。
――私は何か間違っていますか?
ゼロフォーは純粋にそう思って聞いたのだが、それはトリシャにとっては直撃したようで、
「い、いえ、貴方の言う事に逆らうつもりは毛頭ありません。わ、わ、分かりました、では私は北方に向かうというのでいいんですね」
声色がワントーン上がる。そんな会話に黙っていられなくなったのだろう、
「なぁゼロフォー、ウチのパイロットをそろそろ解放してやってくれないか」
そう切り出したのはゼロツーだ。
[私は何か間違っていますか?]
言葉ではなく、直接伝達してみる。これは、通常型のレイドライバーへのテストも兼ねている。それくらいゼロフォーは頭が回るし、状況判断が出来るのである。
であるが、
[間違っちゃいないし、あーしは正しいと思う。だけどな、ウチのトリシャはつい先日マスターからお仕置きを受けたばっかなんかだよ。あんたの一言一言で悶えてしまう。それが今の彼女なんだ。だから]
[手を抜け、と?]
――私は何か間違っていますか?
常に同じ考えが頭を巡る。ゼロフォーはまだ人との付き合い方の勉強中なのだ。そして、特定の人物への好意というのは理解することが出来た。しかしながら他人との付き合い方が、それも近くにいる他人との向き合い方がまだまだ分からないのだ。
そんなゼロフォーを見てか、
「いや、まぁ命令は了解だ、行くぜ相棒」
とゼロツーが敢えて通常無線に切り替えて答えてくる。
「では、いっ、いってきます」
終始こんな様子であるのだが、どうしてそうなるのか、それはゼロフォーには分からない事なのだ。
しかし、
――それがマスターのお考えなら。
とも思うのである。
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