37.エレンは、エレンは大丈夫でしょうか?-こればかりは分が悪いと思ってくれ-
全48話予定です
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ワンワンとワンツーはアルカテイル基地まで、それぞれゼロゼロとゼロファイブを連れ帰って来ていた。
「ワンワンとワンツーは立ちんぼよろしく」
引き揚げて来たのを見ながらカズが指示を出す。
「はい、マスター」
揃った声を聞きながら、
「とりあえずゼロファイブからだ」
そう言うとコックピットを開ける。開けた傍から血が滴り落ちる。
「エレンは、エレンは大丈夫でしょうか?」
ゼロファイブがそう尋ねるが、
「まずは救護室に。処置としてはそれからだ。心配しないで、と言いたいところだけど、こればかりは分が悪いと思ってくれ」
カズは医師だ。そのカズをして[分が悪い]と言うのだから事態としては良好とは程遠いのだ。
「ゼロゼロは無事?」
とインカムで話すと、
「私は大丈夫。だけど、スナイプとはね。もしこの機体にカズ君が乗っていたのなら間違いなく」
「死んでいただろうね」
と声が被る。
「そう言えば、予備機は?」
とゼロゼロが返してくるので、
「あれは……廃棄、かなぁって。フレームに何発も直撃してて」
と事実を述べる。
「その代わりにゼロシックスは守れたんだ、よしとしないと。だけど、こりゃあ色々と引っ掻き回したし引っ掻き回されたな」
と思わず愚痴る。
「状況を整理しようか」
カズがそう言うと、
「そうだね。こちら側としては無事なのがワンワン、ワンツー、ゼロツー、ゼロフォー、ゼロシックス、スリーワンの六体、軽傷なのがゼロスリーの一体、要相談なのがゼロゼロとゼロワン、ゼロファイブの三体か。で」
「帝国側は正面の四体と旧トルコの二体、スナイプ組の一体の他は自爆処理された、と。計七体だね」
カズが続ける。
「問題はどのくらい後ろがいるかって事かな」
後ろがいる、つまり補充のレイドライバーの事を言っているのである。同盟連合にしても帝国にしてもこの現状個体数で打ち止め、とはしないだろう。事実、帝国は数では同盟連合を追い抜いていたのだから。たまたまこちらの方が若干性能が良かった、それだけの話である。帝国もそれが分かっているから大増産に打って出たのだろう。そして各地で火種を付けた。新兵装である原子力潜水艦への搭載というオマケまでつけて。
「こりゃ、こっちも上と相談だよな」
カズがそう締めくくると、
「どれどれ」
そう言ってゼロゼロのコックピットハッチを開ける。ゼロゼロだけは天幕で覆った一角に仕舞われていたのだ。
「うわぁ……」
現物を見たカズが思わず声を上げる。それほど正確に二発、コックピットを貫いて全面に設置されているモニターを破壊していたのだから。
「エレンは……ダメかもなぁ」
カズは独り言とも取れるような言葉を発した。
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