35.敵は一体仕留めた、と-相手は動いて、いる?-
全48話予定です
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「何!? 二体とも撃破、だと?」
クラウディアは困惑していた。と同時に[やっぱりか]とも思っていた。確かにいくら自我が残っているとはいえ、クスリでやっと[マトモに]動いているような兵士である。参謀にはもちろん言えないが、正直、ポジションとしては捨て駒の位置にいた二人だ、そんなに惜しくはないのだが、
「敵は一体仕留めた、と」
自爆処理がなされる前の映像では全身に弾丸を受ける敵レイドライバーの姿が映っていた。あれではコックピットの中にいる人間は。
「ん?」
クラウディアは少しだけ違和感を感じていた。確かに味方機は自爆処理を行った。相手にも相当のダメージが行っていただろうし、腐っても自我のあるパイロットだ、コックピットを集中的に狙ったのも頷ける。
だが、あれだけの弾丸を受けながら、相手はこちらのカメラでは動いているように見えたのだ。確かに相手もリアクティブアーマーを装備はしていた。それにしてもそれはまるで、コックピットに誰も乗っていないような、そんな風にも見えるのである。
――これは、参謀殿とお話をしないといけないかもしれない。
しかしながら今は戦闘中だ、それが分からないクラウディアではない。
相手は四つ足を軸に撤退を開始している。スナイプ組は首尾よくやってくれたようだ。
だが。
「相手は動いて、いる?」
確かに二人には背中に二発撃ち込め、と命じてある。実際に相手にはそのように撃ち込まれたのだろう。現にデルタワンからは[スナイプ成功]の報を受けている。今回の徹甲弾は以前使用したものよりも貫通威力を増してある。同盟連合だってバカではない、背中に何か対策は取っているのだろうがそれにしても二発も打ち込めばコックピットの人間はまず無事ではいられないはず。
はず、なのだが、両方とも動いたように見えた。
――ん? 倒れた?
そのあと、動きを停止してその場に倒れこんだのだ。あれならまだ[意識があって]操縦をしていたともとらえられるが、それにしても少しおかしい。
仲間の救出の為だろう、二体の四つ足も、北側に展開していた二体もそれぞれ南側に展開しつつある。
そんな中、旧トルコに派兵した四体のうち、二体喪失、敵一体追加という報が入って来た。
「バカな!」
と声を荒げるが、誰も虚偽報告などするはずもなく、それが現実だという事実を突きつけられている。
クラウディアはクロイツェル参謀からは[無理に追わなくともいい]とあらかじめ言われている。だが、矢継ぎ早にデルタツーの撃破という知らせを聞いた彼女は、少しばかり頭に血が上っていた。
「アルファツー、スリー、フォーはそのまま警戒を、私は」
と言うと、地面に用意してあったスナイパーライフルを構えて腹ばいになり、
「逃がしはしない、せめて、せめて一体だけでも屠らねば」
そう、独り言とも取れるような言葉を吐いて何発か放ったのだ。
徹甲弾、それをあらかじめスナイパーライフルと共に用意してあったのである。
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