33.じゃあ、痛み分けな感じ?-ん? ファイブワン、今どこに?-
全48話予定です
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「こちらファイブワン、敵は最新鋭機と思われる機体が二機確認出来ました。味方の三五FDが何機か交戦しましたが損害が数機出ました。我々はマスターの指示の通り索敵に全力を回していましたので二機とも被害なしです」
そう、カズはこの戦いに挑むにあたって三八FIの二機にある話をしていたのだ。
………………
それは全体ミーティングが終わって、各自解散した後の話である。
カズはエルミダス基地からあらかじめ三八FIを二機とも招集していた。
「そう、今度ちょっとした戦闘を行うんだけど、きみたちにも参戦してもらいたくてね。それで呼んだんだ」
そんな言葉から話は始まった。
「戦闘、ですか? 今度はどちらに?」
ファイブワンが尋ねると、
「二つ隣街のグランビア市だよ。あそこには軍事拠点があるし、その後ろには一大軍需都市のジュケーが控えている。今まではこのアルカテイルが帝国の最前線だったけど、ここは同盟連合が落とした。という事実を鑑みれば」
「つまり、グランビア基地に色々と集結している、と」
「そう、レイドライバーも恐らくはそこに居るはずだ。そこでだよ、きみたちには上空の敵を[観て来て]欲しいんだ」
カズはそう告げた。
「観る、ですか。それは戦う、のとは違う?」
まだ疑問が取れないでいる。それはそうだ、ファイブワンもファイブツーも[戦闘してなんぼ]と叩き込まれているし、現にこうやって自分の躰を取り上げられ、強化プラスチックで出来た入れ物の中に脳みそだけ入れられ、自分の力では一ミリも動く事も死ぬ事すら許されていないこの環境下で、戦う以外になにをしろというのか。
「今回の戦闘はまだ全力戦ではないんだ。そう、帝国も同盟連合もそれを望んじゃいない。みんな[程よく]戦争が出来れは良いくらいに思っているんじゃあないかな。それでなくとも今回は下見が主目的だ。もちろんこちらの手の内は極力明かさずに、ね。だから[観て来て]欲しいんだよ」
カズはいつものように微笑んでいる。
ファイブワンは、
「了解です、マスター。貴方に救われた命です、どうぞご自由にお使いください」
そうカズに告げたのだ。
………………
「じゃあ、痛み分けな感じ?」
カズがそう尋ねれば、
「具体的にはこちらの三五FDが五機、帝国の通常型と思われるM三一が六機という状況でゼロゼロからの撤退命令が出ました。アルカテイル基地の司令もそれを支持し、撤退が始まりました。敵のM三一DIと思われる機体は二機いましたが、そのまま帰還となりました」
とまで言ったところで、
「ん? ファイブワン、今どこに?」
と尋ねれば、
「アルカテイル基地の傍まで帰ってきました。ファイブツーは着陸していますが」
と返って来たので、
「このままやられっぱなしというのはちと癪だから、出来る範囲でいいからアンブッシュしていた奴らに一泡吹かせて来てよ」
と言ったのだ。
「もちろん可能だと思いますが、敵は既に離れたのでは?」
と返って来たものだから、
――何も全滅させるのが目的じゃあないよ。
カズはそう思いながら、
「一体を屠ってくれるだけでいいんだよ。よろしく」
「分かりました」
そんな会話で話が終了になる。
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