31.全ユニット、撤退してください-撤退? まだやれるって-
全48話予定です
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ゼロゼロは、
「全ユニット、撤退してください」
と指示を出していた。今の指揮権はレイリアでも、クリスでもない。ゼロゼロに任されていたのである。
「撤退? まだやれるって」
アイシャのそんな言葉に、
「ミーティングでもマスターが言ったと思いますが、相手の素性が分かればこの作戦は終了です。それ以上の戦闘は、マスターも望んでいませんよ」
ゼロゼロは敢えてカズと呼ばずに[マスター]という言葉を使う。それは、彼女たちがマスターには絶対服従を誓っているからである。
つまりは[これもマスターの命令だ]と言い換えることが出来るのである。
「なっ、分かりました。撤退します」
アイシャはまだ何か言いたげだったが[マスター]という言葉が効いたのだろう、素直に応じて撤退を開始する。
「ゼロワンもゼロスリーも各自撤退を」
そう言いながら自分はゼロファイブに肩を貸す。
「すみません、お役に立てなくて」
エレンの代わりにゼロファイブが答える。
――エレンは、パイロットは無事だろうか。
ゼロゼロはそんな心配をしてもいるのだが、もっと心配なのはアンブッシュしているであろう敵の存在である。
索敵センサーはそちらに向けて最大限振ってある。その結果からすれば、どうも相手はあれで打ちきりの様子である。戦場のノイズに交じってかすかに車両の音がする。おそらくはトレーラーか何かのようなものに積まれていたのであろう、相手も遠ざかっていくのが分かる。
――これで敵の追撃は正面と、
「カズ君?」
「ゼロゼロ?」
ちょうど二人の通信が重なる。
「あぁ、ゼロゼロ。こっちはあらかた片付いたよ。そっちはどう、って全軍撤退の指示を出したんだね。戦況は?」
と聞いてくるので、
「ゼロファイブと私がやられたの。コックピット内まで弾が貫通してるみたいだからあるいは……」
現にゼロファイブが代理で通信しているものの、パイロットであるエレンからの返事は初めの[やられた]という言葉以降ないのだ。
「それは、エレンには申し訳ないけどゼロゼロという機体だけでも乗っていなかったのが幸いしたんだね。そうか、またスナイプか、やってくれるな」
カズの悔しそうな声が聞こえる。
――でもさ、カズ君。
ゼロゼロは心の中の言葉を言い出そうかちょっと考えてから、
「でもさ、カズ君。ゼロゼロとゼロファイブは確かにコックピットを狙われている。それも恐らく前回のスナイプの時より強力な貫通弾で。という状況で今、私がゼロファイブに肩を貸して撤退をしてるんだけど、これって相手も見てるよね?」
ゼロゼロは[無人機]の可能性が流出しないか、それが心配なのだ。
だが、
「でもさ、相手は帝国。そして帝国はまだ脳科学で後れを取っている。もし仮に[無人機]の存在がバレたとしてもまだ対策を打っては来られないと思うけど」
と言うので、
「可能性を提示した、という部分は?」
と返す。
帝国だってバカではない。当然この戦闘の一部始終を観察、分析するだろう。
カズは[うーん]と一言唸ってから、
「ゼロゼロ、ゼロファイブと共にその場で倒れてて。ワンワン、ワンツー?」
「はいマスター」
声が揃う。
「ゼロゼロとゼロファイブの回収を命じる。自力で動くのがよくないと判断したんだ。もしならゼロワンとゼロスリーも援護を」
「分かった」
「分かりましたマスター」
「了解です、ご主人様」
皆の声が出そろう。
「これで何とか切り抜けられそうだね。で、だ」
全48話予定です




