30.マスター、退避を-申し出は有難いがきみたちは貴重な戦力だ-
全48話予定です
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予備機はガトリングガンを装備している。その兵装は両腕を使用する。つまりは左腕に盾を装備しているゼロシックスとは違い、相手とモロに対峙しているのである。そこに遮るものは無い。
だからだろうか、
「マスター、退避を」
という言葉がゼロシックスから出る。その真意は分かりかねるが、多分[やるなら私が]と考えているのだろう。
しかし、
「ゼロシックス、申し出は有難いがきみたちは貴重な戦力だ。レベッカなんかは傷もまだ癒えていない。だったら、この予備機を盾に二体とも潰してしまおうじゃあないか」
と敢えてゼロシックスを煽るような言葉を掛ける。
ゼロシックスの機体は現在、サブプロセッサーが操縦していて、レベッカは直接の操縦はしていない。それはまだ無理をさせられない身体だというのがひとつ。
では何故に置いて来なかったか、と言えばその躰にある子宮が必要だからである。同盟連合は子宮リンクシステムを採用している。そして、直接のインターフェースとなる子宮に相当する[子供]、そのゼロシックスとレベッカとの間の[子供]を作る暇が無かったのだ。
結果として[そこに居るだけのパイロット]という構図が出来上がった。そうは言ってもコックピットの中には間違いなくレベッカ本人がいる。
――今は、一人でもパイロットを失う訳にはいかないんだ。
予備機とパイロット。予備機とサブプロセッサー。それらを天秤にかけた結果、カズはゼロシックスの機体を優先したのである。
「虫を駆除できる機会を与えてくださってありがとうございます、マスター。ではお言葉に甘えまして」
明らかに高揚している声でゼロシックスが返答してくる。
――まぁ、このくらいはね。仲間を大事にしてくれるのであれば戦闘意欲が高いのはそれだけで魅力なんだよ。
カズは、ゼロシックスの射撃管制に従って弾丸をばら撒いている。その指示が後方の敵へと移ったのだ。
「了解だ、前方のはよろしくね」
「はいマスター」
そう言いつつもゼロシックスは体制を変えない。それは敵に対して斜め前方を向き、片脚を地について盾で全身を覆いつつもマシンガンを構えて、まさに射撃しているのだ。そこが人間の兵士が同じ武器を持つのと違うところである。レイドライバーは当然だがモーターで動いている。そしてモーターは疲れを知らない。それは片手でマシンガンを構えるという体制を[保持]した状態が続けられるというのを意味している。
一発、二発と弾丸が、正確な弾道を描いて相手に吸い込まれるように命中していく。前方の敵は両脚をやられて倒れこんだ。後ろの敵は先ほどから予備機のガトリングガンの掃射を受けて満身創痍である。そこにゼロシックスが放った弾丸が両脚を関節のところで撃ちぬく。
――これでチェックかな。
カズが倒れこんでいる相手に弾丸を追加でばら撒く。それに倣ってゼロシックスが掃射をしようとしたとき、二体の敵レイドライバーは自爆したのである。
「よし、こっちは片付いた。ゼロゼロ?」
カズが問う。
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