25.高度は約一万メートル-トリシャの思考はすべてゼロツーに見られている-
全48話予定です
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――もう、ご主人様を落胆させたりいたしません。ですから、どうか。
トリシャ・エカード中尉はそんな事を考えながら降下に入っていた。現在の高度は約一万メートル。いわゆるHALO(高高度降下低高度開傘)降下というやつである。
「敵、味方それぞれレーダーで探知。これから援護に向かいます」
トリシャがそう宣言する。そしてトリシャの思考はすべてゼロツーに見られている。
だからだろう。
………………
「しっかし、あんたがねぇ。人ってのは変われば変わるもんだ」
カズがゼロツーとトリシャを合わせて事の次第を説明した時にゼロツーから出た言葉だ。
トリシャの頭部には生体コンピューターが組み込まれて、その思考ログを管理するようにゼロツーは言われたのだ。
「その辺りは……まぁイロイロとね。聞きたいなら本人の口から言わせるけど?」
とカズが言えば、明らかに恥じらいを浮かべた表情のトリシャがいる。そんな表情を察したのだろう、
「いえ、これ以上おかしな彼女を見ても調子狂うだけっすから。トリシャの思考ログを管理して、もしも重大な何かがあったらマスターに報告、これでいいんすよね?」
とゼロツーが返す。
「そっ。そして手元にはコンピューターが一台増えた。お互いにリンクも組めるだろう。だから有効活用してね」
………………
そんなやり取りをした記憶がある。
「敵部隊はこちらに気が付いたみたいだ。どうする?」
事実、敵は見える範囲で二体いる。その二体が相当の速度でゼロフォーたちから遠ざかっている。どうやら機械化部隊と合流するようだ。
「ゼロフォー?」
トリシャは試しに通常無線で呼びかけてみる。すると、
「正直危なかったです。あと数発喰らっていたら私もスリーワンも撃破されていたでしょう。こちらはリアクティブアーマーを使い切りました。まだ戦えはしますが、出来れば残弾も補給したいところです。ここはひとつ、少し距離を置いた方がいいか、と」
とゼロフォーが受け答えをしてくる。
――あれ? マリアーナは?
という疑問を投げかけてみると、
「すみません、彼女は現在、戦闘に耐えられる状態ではないのです。今はこの機体の全コントロールを私が掌握しています」
と返って来る。
「聞かない方が……いいみたいね。じゃあ、機械化部隊の高射砲の射程に入っても嫌だから狙える範囲で何発かバラまいとくわ」
――それでも、そんな私たちでも戦闘をしなければならないのよ。そう、きっとご主人様はそう思われているはず。
トリシャはそんな事を考えながらマシンガンを何発か掃射していた。
だが、流石はスナイパーライフル装備の以前と違い、マシンガンでの掃射である。敵の機械化部隊の何両かには当たりはしたが、ついぞ目的の相手にはかすらなかったのである。
こうして帝国のレイドライバーは一旦ゼロフォーたちとは距離をとり、トリシャはゼロフォーと無事合流したのである。
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