24.ヴィクトーリヤ准尉!-何で、あんなに動けるの!?-
全48話予定です
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「ヴィクトーリヤ准尉!」
イリーナはそう叫んだが、それは後の祭りというやつである。実際にその行動は一瞬で終了した。イリーナが[下がれ]と、たった三文字発音する前に相手の同時斉射を受けていたのだから。
――何で、あんなに動けるの!?
シュエメイはその動きを驚きを持って受け止めていた。それはまるで。
「准尉!」
再度イリーナが呼びかけるが応答がない。そんな応答をしながらもこちらも遮蔽をとる。少しの時間のロスはこの際致し方ない。それよりも味方の損害が重要なのだ。
前述の通り、レイドライバーというのは機密のカタマリである。これが友軍陣地で防衛線をしているのであれば、動けない機体は残して自分たちは先に進めるだろう。
だが、いかんせんイリーナたちは侵攻軍である。離れているとはいえ、敵の機械化部隊が存在するし、現にこちらの出した機械化部隊はちょっと押され気味だ、応援を乞うという通信が入ったばかりである。
そんな状況下でヴィクトーリヤの被弾は大きい。相手にもそれなりのダメージを与えた……つもりではいるものの、実際相手は動いてそのまま物陰へと隠れていったのだ。
それはまるで、コンピューターゲームを見ているかのようだった。
自分は新兵ではあるものの、ど新人の域は少し脱したと思っていた。事実、イリーナの指揮に時々疑問を呈していたりもした。それくらいシュエメイには心にある意味余裕のようなものがあったのだ。そして余裕のようなもの、というのは実際には[おごりのような]ものと言い換えられるのかも知れない。ありていに言えば、数が上という現実に相手を[ナメてかかっていた]のである。
「中尉、どうされますか?」
シュエメイが指示を待つ。こんな時に判断を下すのは上官の仕事だ。自分はそのまま命令を受けるまで待機しなければならない。だが、敵は相当に腕がたつと見える。事実、物量では圧倒的に不利な状況をイーブン、いや、帝国に与えた衝撃を考えればそれ以上の立場逆転にまで持ち込んだのだ。
「ヴィクトーリヤ准尉の機体は、状況として芳しくないようだ」
シュエメイがカメラを向けると、
――こんなに効果的な攻撃の仕方って……。
とシュエメイに思わせるほどリアクティブアーマーの隙を狙って攻撃されていたのだ。それはまるで空中に浮いている糸通しに糸を通すか如く精密で、綻びのない攻撃だ。だから、胸部下の腹部、ちょうどコックピットがある辺りに被弾が集中していたのだろう。もちろん帝国も同盟連合同様、パイロットの生命は何よりも優先している。だから装甲も必然的に厚く作られているし、そもそもリアクティブアーマーを装備していたではないか。
それが見事にそこだけに弾丸が集中していたのだ。そのつぶれ具合からいってヴィクトーリヤの生存はほぼ絶望的だろう。
「ミラーナ准尉に続いてヴィクトーリヤ准尉もなんて」
悔しそうなイリーナの声が聞こえるが、今はそれどころではない。
「ご指示を」
シュエメイが再度促すと、
「爆破処理しよう」
イリーナがそう言うと[シュエメイ准尉は警戒を]と一言言ってから作業に入る。シュエメイの乗るレイドライバーのディスプレイに[起爆を実行しています]という文字と共にカウントが入り、ゼロになると同時に爆縮と呼べる自爆が起きた。
――我々の残りは二体。それって数的にはイーブンだけど、このまま戦闘続行は厳しいか。我が帝国も四体同時のロストは好まないだろう。
とシュエメイに想像させるほどにはこの戦局はある意味でひっくり返ったのかも知れない。ここに来ての二体喪失というのは帝国にとっては泣きっ面に蜂である。
「シュエメイ准尉、これは一旦体勢を立て直す必要が出てきた。必然、本部とも相談せねばなるまい。撤退か、あるいは……」
と話している時、高高度から飛来する物体ありとの報告を受けたのだ。
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