23.若干先行している敵から狙います-こちらは[無人機]である-
全48話予定です
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ゼロフォーはコントロール系統をすべて自分に回して、マリアーナ自身に実体の身体を返して、子宮リンクもすべてカットした状態で会敵していた。それと同時に、敵帝国軍の中にゼロフォーは三体いるうちの一体が微妙に先行している事に気が付いた。
[スリーワン、この状況下では各個撃破以外選択肢がありません。射撃管制を貰います、指示に従ってください]
と思考伝達したのち射撃管制を任されている旨の思考が伝わって来るので、
[若干先行している敵から狙います]
と言ったあとに移動しながら斉射をする。帝国の射撃管制システムだって相当良いものなのだろうが、こちらは[無人機]である。多少は実体の躰とのズレはあるものの、それは織り込みが出来る。それくらいゼロフォーは各所で出ている通り、サブプロセッサーとしての性能がいいのである。
それはもしかしたら他のサブプロセッサーでも出来る芸当なのかも知れない。もちろん完全単独操作などやらないに越した事はない。だが、肝心のパイロットが使えないどころか子宮リンクしていると自分も不安定になるのでは話にならない。
ゼロフォーは常に冷静だ。だから、微妙に突出している個体がおそらく新人で、後ろで構えているのがベテラン組、そう判断できたのだ。それは帝国にしてみれば意図したものかどうかまでは分からない。だが、新人というのは往々にして[ヘマ]をやりがちであるのもまた事実なのだ。
[バンバンバン]
双方の銃弾が飛び交う。それは乱戦、とも呼べる様相なのだが、ゼロフォーは今自分が置かれている状況に対してとてもクリアに思考していた。それはある種の思考加速に近い動作なのかも知れない。
自作パソコンのCPUやメモリーなどをオーバークロックして処理速度を上げ、性能を上げた状態で使うという人たちがいるが、その、オーバークロックに近いものを意図的に起こして処理しているのだ。ここでボトルネックになるのは、自分の脳みそである。脳の処理速度というのはそんなに上げようと思っても上がるものではない。
少なくとも一般の脳では。
しかしあのゼロフォーである。自身の生体コンピューターにフル回転をさせながら自身は盤上のコマを扱うか如くに思考する。以前に自身が言っていた[ボードゲームに置き換えれば、現在のコンピューター相手では人間なぞ敵ではないのですよ、カル]のその通りの事をしようとしているのである。
具体的には、相手の射線を読んで出来るだけ被害の少ない箇所で避け、微妙に突出したその一体をいかにして効果的に無力化するかというのを武器の照準を当てながら考えつつ、スリーワンにも指示出しをし、なおかつ一番近い遮蔽物まで最短で進むという一連の動作を、ほんの数秒のうちに、それもリアルタイムで変動しているのを都度都度修正しつつすべてこなしているのである。
[バンバンバン]
敵の弾丸を一発も喰らわない、などというのは超能力でも持っていない限り不可能だろう。ならば、何処を犠牲にして何処を守るか。それを考えて装甲の厚い、リアクティブアーマーで守られている、本来なら一番守らねばならない胸部を敢えて晒して撃ち合ったのだ。
胸部は言うまでもなくコックピットと直結している。だが、それ故に胸部というのは、背中や腹などよりもより装甲の厚みがあるのだ。とはいっても何発も同じ場所に喰らえば流石にマズい。だから少しずつずらして敢えてウイークポイントを[餌]にして相手の油断を誘う。そして、その油断に誘われやすいのは、大抵の場合、やはり新人である。
こちらが撃った弾丸は、相手の突出していた個体にすべて命中していた。相手もリアクティブアーマーを装備してのは知っている。だが、知ってさえいればその撃破方法はそれほど難しくはない。
問題は、その撃破方法を実行に移せる実力なのだ。そしてその実力がゼロフォーには備わっている。
だから、
[一体撃破しました]
というゼロフォーの宣言と共にスリーワンとゼロフォーはそのまま遮蔽物へと滑り込めたのだ。
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