20.誰にだって初陣はあるんだけど-実戦に投入された兵士は二通りに分かれる-
全48話予定です
※先日の前書きで述べた通り、このレイドライバーシリーズは22巻で完結となります。現在、書き上げて推敲している段階にあります。ですので、もし、もしもよかったら最後までお付き合い頂けるととても嬉しいです!!
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
ゼロゼロは、南側からグランビア基地に挑んでいた。アルカテイルを背にして見た場合の左翼担当、つまりは地図でいう所の南側から攻め込んでいるのである。僚機にはゼロファイブがいる。彼女、つまりエレン・エイントホーフェンとそのサブプロセッサーのゼロファイブにしてみれば初陣、となる。
――まぁね、誰にだって初陣はあるんだけど、初陣かぁ。
ゼロゼロはふとそんな事を考えていた。
実戦に投入された兵士は二通りに分かれるとされている。
ひとつは、実戦で早々に戦死する人間である。神の存在というものがこの世界でも信じられていて、そういう人間は[神に死ぬ事を赦されている]のだそうだ。だから実戦という、戦闘で直ぐに神のもとへ連れて行かれるらしい。
もうひとつは、どんな過酷な戦場に投入してもしぶとく生きて帰って来る人間である。そう言う人間は[神に死ぬ事を赦されていない]からこそあちらの世界に行けないのだそうだ。
――この娘たちはどちらなんだろうか。前者か、それとも後者か。出来れば後者であって欲しいと願ってしまうのは、私のわがままかな。
ゼロゼロこと襟坂恵美は研究所の研究者だ。それは現在も在籍しているし、実際この躰になってから更に頭の回転が良くなったから、戦闘が無い時は研究所の主任として実際の実験の指示を出している。
もちろん、多くの人間を、被検体という名の人間を手に掛けてきた。時には生き地獄のような実験も、いっそ楽に殺したほうがいいであろう実験も主導してきたのだ。そんな恵美がふと思う[誰も死んでほしくない]という気持ち。その気持ち自体に嘘偽りはないのだが、
[ここまでしておいて、今更どの口が言う?]
そんな考えが浮かぶたびに再三、自分自身に問われるのである。
――かといって、死ななくていい命なら救ってあげたい。
とも思うのだが、初めの問いに戻るのである。
だが、残念ながら今はそんな懺悔をしている暇は、感傷に浸る時間は、少なくとも作戦行動中なので存在しない。ゼロゼロは常に全周警戒をしながら目的の相手に近づていく。
敵は望遠ながら目視で見えている。射程距離にもほぼ入ろうとしている、まさにその時。
[バンバンバンバン]
――へっ?
気が付けば四発の弾丸を喰らっていた。幸いだったのはサブプロセッサー本体は無事だたというところか。
視界を急いで射角方向に向けると、一回だけ発光が見えた。おそらくは敵の発砲の最後のシーンだったのだろう。
ゼロゼロはまず、状況分析に勤めようとしていた。
自分が喰らったのは四発。
うち一発は頭部をかすめている。つまり、メインカメラに損傷があるのだ。だが、これは胸に付いているサブカメラで代用が効く。効きはするのだが、メインカメラ程性能は良くない。つまりは精密射撃は不可能だ、という結論になる。
次に残りの三発は何処に当たったのか。幸い、痛覚の緩衝装置、ペインアブソーバーをそれなりに効かせていたので痛みはそんなに感じていない。元々、ゼロゼロという人物はが痛いのが嫌いなのだ。だからそんな普段からとっていた何気ない行動が幸いした。
しかし、現在この機体には自分以外は乗っていないのだ。つまりは[自分で何とか]しなければならない。
では本題の三発は何処へ?
ペインアブソーバーを少し緩めると頭部に痛みが走る。と同時に背中と左腕に痛みが走っていた。
――頭部と背中、左腕、それで三発。残りは多分同じ背中だろう。
そう推察が付く根拠が存在する。以前にスナイピングを受けた時も背中に二発、命中していた。それは帝国側に[どうやら同盟連合のレイドライバーは背中がウィークポイントだ]という情報が伝わっていたからである。例の、帝国のスパイ活動をしていた、元上級整備士のドナルド・キーガン大尉から漏えいした情報である。
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