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12.どうしてわたくしなんかに-貴方が爆破して、くれませんか-

全48話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 ――どうしてわたくしなんかに。


「わたくしなんかに構わずに逃げてくだされば……」


 とまででたマリアーナの言葉を、


「私が、そんな事、出来る訳、ないでしょう?」


 と返って来る。


「スリーツー、感覚遮断を指示します」


 ゼロフォーがそう伝えるが、


「運、というものが、あるのでしょうね、作動、しないのです」


 レイドライバーからの痛覚、触覚、熱感などはパイロットがいればパイロットに、スリーツーの機体ではサブプロセッサーに接続されている。もちろんこれら感覚はアブソービングする事も可能だし、何なら全部カットするのだって出来るはずである。だが、それが動作しない。それはつまり、ゼロフォーがスリーツーの機体を見た通りの痛みを感じていのである。


「そんな事が」


 とまででた言葉をゼロフォーは続けなかった。何か意図があるのか、それとも……。


「とにかく、今は戦闘中です。このままスリーツー抜きで戦いを継続します。いいですね、マリア?」


 そう告げる。


 それは、素人が見ても次に執るべき行動が見えてしまう。


 敵は距離を詰めてきた。そして、それを嫌ってゼロフォーたちは一ブロック横に移動しようとした。おそらくこのまま行けば、敵はさらに距離を詰める算段だろう。そうなれば動けないでいるスリーツーは拿捕の可能性が非常に高くなる。


 確かに相手を一体屠った。あれならほぼ間違いなく致命弾だ。向こうはじきに爆破処理されるだろう。


 ではこちらは?


 以前にトリシャが行ったような、サブプロセッサーを助けに行くというのは、現状が戦闘中なので出来る筈がない。


 マリアーナだって教練を受けてきた。それくらいは周りに言われなくとも分析出来るし、分かる話だ。だがそれは同時にスリーツーの自爆処理を意味している。


「マリア、ここは戦場です。そして戦闘は継続している。我々は現在、数で負けている。それ以上言わなくても分かりますよね?」


 心臓が痛いくらい高鳴っている。眩暈に似た感覚に襲われる。


 ――それって! それってつまり!!


 そんな感情は子宮リンクシステムに頼らずとも相手には伝わる。


「マリア、落ち着いて。もう一度言います、ここは戦場で……」


「うるさい!!」


 おもわず怒鳴ってしまう。それはマリアーナの立場なら誰だってそうなるだろう。やっと出逢えた最愛の姉妹。その命が目の前で消えようとしているのだろから。


 しばしの沈黙。と言っても戦闘中だ、それが分からないマリアーナでもなければ全周警戒を怠るようなゼロフォーではない。


「何とか、何とかなりませんの?」


 と問うても誰も反応しない。それはそうだ、ゼロフォーの言葉を借りれば[ここは戦場]なのだから。そしてレイドライバーの秘密は絶対に死守しなければならない。


 一つの命と、レイドライバーという秘密と。


 マリアーナは次の行動に移れないでいた。


 そんなマリアーナに、


「貴方が、貴方が爆破して、くれませんか」


 そう無線通信が入ったのだ。


全48話予定です


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