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第三章|整備の終わらない滑走路:島嶼に降りられなかったF-2支援機

時刻:2027年9月5日 05:17 JST

場所:航空自衛隊 那覇基地 第9航空団 指揮所内 作戦フライトプランルーム



「離陸確認、F-2:041、042、043、044、滑走路34より発進。

目的空域、与那国島南西25海里、対艦警戒および低空掃射支援」


作戦幕僚の三宅3佐は、ブリーフィングモニターを見つめながら静かに指示を続けていた。


「本作戦は‘支援’である。戦果より‘影響力の維持’が目的。

繰り返す、F-2は‘空を飛ぶが地に降りない’。現地滑走路は使用不能」


■状況:南西諸島滑走路被害レポート(統幕航空インフラ班提供)

与那国空港:RWYエンドに未処理爆撃跡あり。穴埋め材搬入不可。夜間照明不能。


石垣空港:タクシーウェイ北端が水没。航空燃料備蓄ゼロ。整備機材未配備。


下地島空港:舗装は良好も、駐機場周辺でクレータ散在。緊急滑走路指定不能。


「つまり——F-2は“飛んで行けるが、降りられない”。航続時間=作戦時間」


■F-2 パイロット視点(空中)

搭乗員:小野田1尉(29歳)・機体042号機


「こちら042、目標海域上空。敵影なし。ミッション“可視域制圧”。だが時間がない。もう“帰る時間”を気にしなきゃならないとはな」


僚機から通信。


「敵はいない、着陸もできない、支援要請は出てる。けど、“着けない”から弾も下ろせない。」


「空の支配は“滑走路”が握ってる、とは皮肉なもんだな」


時刻:05:47 JST/那覇基地 作戦管制室


「第2波、F-2編隊の出撃を中止」


幕僚長代理・川端空将補が指示を出した。


「整備部隊から連絡。石垣、与那国両空港の復旧作業が中止された。道路が寸断、資材が搬入できない。作業員、地雷疑似判定区域で足止め。よって**“空路すら地上に依存している”という事実がここで露呈した**」


■地上整備官の回想(石垣空港・前方派遣部隊)

「俺たちは、穴を埋めに来ただけなんですよ」

「でも道が崩れてて、ユンボも届かない。夜は民間人が避難所使ってて、重機入れない。

‘飛行機が降りられない’理由が、**“現地の雑草除去が終わってない”**だなんて、誰が思いますか」


■F-2飛行隊ブリーフィング(那覇基地・09:10 JST)

「戦果なし。支援なし。投弾もなし。航空優勢の維持も、示威飛行でしかない。

だが、お前たちは“飛んだ”という事実を持ち帰った。それは意味がある」


と、飛行隊長の中園2佐が締めた。


だが、パイロットたちの顔は重かった。


「空があっても、降りられない。補給も、整備もできない。

だったら、俺たちは何のために飛んだんだ?」



■補記:戦術評価レポート(内部文書/非公開)

空中支援は“滑走路という地上インフラ”によって初めて“継戦可能な能力”として成立する。


空自の南西展開計画は、**滑走路整備と駐機場防御が整わない限り、持続不能な“飛びっぱなし戦術”**となる。


今回の作戦では「戦闘機はあった。パイロットも飛んだ。だが“着陸地点”が存在しなかった」

 → 戦術的勝利なし/戦略的意義不明


最後の一言(滑走路脇で整備員が吐いた言葉)

「この国の空は、飛ぶよりも、降りる場所の方が守られていないんだよ」

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