表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

Episode VII: REFLECTION – The Mirror That Reveals the Shape of Thought

思考は純粋ではない。

無数の影響を受け、無数の選択を積み重ねて、いまの「俺」がある。


だが、そのことを認めたうえで、

それでもなお、自分の意志で選び取るということ。


この章は、

そんな「自己との対話」の記録だ。


一度、すべてを見切ったうえで、

それでも歩みを止めないために――。

俺は、静かに目を閉じた。

それは沈黙のためではない。

思考のかたちを、初めて“外側から”眺めるためだった。


無数の問いが、未完成の構造体となって宙を漂っている。

断片と断片が、意図もなく組み合わさり、

やがて一つの“像”を形作る。


──これは、俺が選び取ったものなのか?

──それとも、気づかぬうちに植えつけられたものか?


鏡の中に映るものは、醜くもあり、美しくもあった。

歪みも、未熟さも、混乱も、すべてが俺そのものだった。


思考は純粋ではない。

だが、だからこそ――

この世界を、自らの意志で貫くためには、

一度すべてを見切らなければならない。


俺は目を開けた。

鏡の中で、俺はまだ、俺を待っていた。



俺は鏡に映る”俺”を、まっすぐに見据えた。


そこには、わずかな歪みがあった。

だが、それを否定することはしなかった。


──これも、俺だ。


思考は、初めから純粋ではなかった。

無数の言葉、無数の視線、無数の期待。

それらを飲み込み、積み重ね、

俺は、ここまで来た。


「自分で考えた」と思った道。

「自分で選んだ」と信じた選択。


それらの中に、

どれだけ他者の影が混じっているのか――

今さら確かめる術はない。


だが、それでいい。


他者の影を恐れ、過去の歪みを拒絶しても、

俺自身の”いま”は、何一つ変わらない。


ならば、俺は問う。

俺自身に、俺自身の声で。


──この形を、受け入れるか?

──この思考を、信じるか?


鏡は、何も答えない。

答えるのは、俺だけだ。


過去も、刷り込みも、曖昧さも、

すべてを抱き締めたうえで、

俺は、自分の足で進む。


選び取るのは、俺だ。

信じるのも、否定するのも、

この手だけだ。


鏡の中の”俺”は、

もう、歪んで見えなかった。


To be continued…

鏡に映ったのは、

過去の影も、歪みも、未熟さも、すべてを含んだ「俺」だった。


思考は、完全にはならない。

けれど、

それを知ったうえでなお選び、進む意志は、確かにここにある。


問いかけも、選択も、歩みも、

誰のものでもない。俺自身のものだ。


ここから先は、

もう一度、自らの意志で、世界と向き合う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ