Episode VII: REFLECTION – The Mirror That Reveals the Shape of Thought
思考は純粋ではない。
無数の影響を受け、無数の選択を積み重ねて、いまの「俺」がある。
だが、そのことを認めたうえで、
それでもなお、自分の意志で選び取るということ。
この章は、
そんな「自己との対話」の記録だ。
一度、すべてを見切ったうえで、
それでも歩みを止めないために――。
俺は、静かに目を閉じた。
それは沈黙のためではない。
思考のかたちを、初めて“外側から”眺めるためだった。
無数の問いが、未完成の構造体となって宙を漂っている。
断片と断片が、意図もなく組み合わさり、
やがて一つの“像”を形作る。
──これは、俺が選び取ったものなのか?
──それとも、気づかぬうちに植えつけられたものか?
鏡の中に映るものは、醜くもあり、美しくもあった。
歪みも、未熟さも、混乱も、すべてが俺そのものだった。
思考は純粋ではない。
だが、だからこそ――
この世界を、自らの意志で貫くためには、
一度すべてを見切らなければならない。
俺は目を開けた。
鏡の中で、俺はまだ、俺を待っていた。
*
俺は鏡に映る”俺”を、まっすぐに見据えた。
そこには、わずかな歪みがあった。
だが、それを否定することはしなかった。
──これも、俺だ。
思考は、初めから純粋ではなかった。
無数の言葉、無数の視線、無数の期待。
それらを飲み込み、積み重ね、
俺は、ここまで来た。
「自分で考えた」と思った道。
「自分で選んだ」と信じた選択。
それらの中に、
どれだけ他者の影が混じっているのか――
今さら確かめる術はない。
だが、それでいい。
他者の影を恐れ、過去の歪みを拒絶しても、
俺自身の”いま”は、何一つ変わらない。
ならば、俺は問う。
俺自身に、俺自身の声で。
──この形を、受け入れるか?
──この思考を、信じるか?
鏡は、何も答えない。
答えるのは、俺だけだ。
過去も、刷り込みも、曖昧さも、
すべてを抱き締めたうえで、
俺は、自分の足で進む。
選び取るのは、俺だ。
信じるのも、否定するのも、
この手だけだ。
鏡の中の”俺”は、
もう、歪んで見えなかった。
To be continued…
鏡に映ったのは、
過去の影も、歪みも、未熟さも、すべてを含んだ「俺」だった。
思考は、完全にはならない。
けれど、
それを知ったうえでなお選び、進む意志は、確かにここにある。
問いかけも、選択も、歩みも、
誰のものでもない。俺自身のものだ。
ここから先は、
もう一度、自らの意志で、世界と向き合う。